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「あったか落語ぬくぬく」成城ホール 2月16日(火)

0216nukunuku01寒い!!つい2日前5月並みという馬鹿な暑さだったのがまたまた冬に逆戻り。こんな日には落語であったまろう。なんということで、今日は「あったか落語ぬくぬく」という、季節にふさわしいテーマの三人会です。柳亭市馬師匠、瀧川鯉昇師匠、三遊亭兼好師匠という、何か共通点や脈絡を感じられない三人会なのですが今日で10回目という、よくぞ続いてる会です。「あったか落語ぬくぬく」、そういえばこのテーマで7月にやったこともありました。

0216nukunuku03 0216nukunuku04成城ホールは今月6日に地域イベントで使わせてもらった会場です。ここは会場のレイアウトを変幻自在に変えられて、フラットな床面でダンスパーティーから、階段席でのコンサートや落語会までこなせる、まさに多目的ホールです。今日はいつも見慣れた落語会用の設営です。

今日の席は3列目で左側です。まあまあ噺家さんの顔もよく見える場所なのでいいでしょう。そこで開演を待つこと暫し、幕が開いて開口一番は三遊亭けん玉さんが、元気よく飛び出してきました。今日のトリの予定の三遊亭兼好師匠のお弟子さんです。

この人とにかく座布団の上では元気いっぱい。とりわけ今日の演目が『子ほめ』で、八五郎の野蛮さをこれでもかとばかり演じていました。そのせいか、世辞を言っても酒にはありつけませんでした。

続いて柳亭市馬師匠です。何が出てくるのかなと思って聞いていると、江戸の職人の話から『大工調べ』に入って行きました。いきなりの大根多です。この話は何と言っても大工の頭の政五郎の啖呵が聴きどころです。

今日の市馬師匠の啖呵は思いの外あっさりしたものでしたが、政五郎の後で与太郎にたっぷり語らせていました。そして時間の関係か、お裁きの場面の前で終わりました。まさにあったか落語というよりも、あつあつ落語でしたね。

続いては瀧川鯉昇師匠です。さて何を語るのか。と思って聞いてると実にマクラが長い。浜松の話とオリンピックの話、それも52年前の東京オリンピツクの思い出話です。浜松を聖火ランナーが走った時に追っかけた話。その時に人里離れた山梨の山の中で、今の小遊三師匠も聖火を持って走ったとのこと。

それがしばらく続いてようやく始まったのが『茶の湯』でした。これも決して短い話ではないはずだが、残り時間が迫ってるのでは。でもそこは鯉昇師匠のこと、上手く枝葉を切り落としながら時間内にまとめていました。これはぬくぬくというところでしょうか。

仲入りがあって三遊亭兼好師匠です。今度はマクラは短いが、まるで見てきたような調子で吉原の話をしてます。でもいいんです。聞いてる方も見たことないんだからお互い様ですね。

そして本根多は『お見立て』です。この噺はまさに兼好師匠の芸風とぴったり。軽妙な調子で花魁喜瀬川と杢兵衛お大尽のすれ違いを語ります。その間に入って苦悩する若い衆喜助に、いつの間にか感情移入してしまうのでした。そしてそこそこあったかかった。これでようやくあったか落語ぬくぬくが成立したのでした。

0216nukunuku05終わって外に出たら、やっぱり今夜は寒かった。

「あったか落語ぬくぬく」兼好・鯉昇・市馬 成城ホール 10月29日(水)

1029attakanuku01このところすっかり秋が深まり、朝晩寒くなってきました。そんな今日この頃にうってつけのタイトルの落語会、「あったからくご・ぬくぬく」とはよく命名したものです。ところが前回は7月末にやっている、それでもあったか落語なのです。「ひんやり落語・さむざむ」なんてものではありません。

別にどうでもよいのだが、出演者は柳亭市馬師匠、三遊亭兼好師匠、瀧川鯉昇師匠。これは固定所属団体の違う3人が集まった会なのです。場所は成城ホールでした。

開場時刻の18時半はもう夜の帳の中。入場して座ったのが前から6列目の真ん中。丁度良い席でした。あとは開演を待つのみ。

1029attakanuku021029attakanuku03開演して開口一番は、瀧川鯉毛さん。こいけと読むそうで、鯉昇師匠の12番弟子と言っていました。声はいいのだがまだ江戸弁が馴染んでないようです。でも声は本当にいい。しっかりと響きます。演目は『饅頭こわい』でした。

続いて柳亭市馬師匠です。旅の話から入って、江戸っ子の二人組が上方見物。えっ、つい先日彦丸さんのを聴いた「兵庫の鮫講釈」かなと思ったが、兵庫まで行ってない。京都の伏見です。演目は『三十石』でした。

この根多は三十石船の周囲で起こる様々な光景を描写していて、上方の噺家さんの多くはは米朝師匠の展開で演りますね。でも江戸落語では録音に残ってる圓生のは趣向が違いました。どっちで演るのかな?聴いていたら話しの展開は米朝流でした。

これまで江戸落語での『三十石』は聴いたことがなかった。市馬師匠のが初めてでした。そしてこの噺では船頭の歌う舟歌がでてきます。

そこで市馬師匠のご自慢のノドをたっぷり聴かせてもらいました。鳴り物も入り、下座から掛け声も入るということで、上方流の演出たっぷりの『三十石』を楽しませてもらいました。

次は三遊亭兼好さんです。ガラリと空気が入れ替わります。マクラでは最近の政局。どうも小渕優子さんを贔屓しているようなのです。その前は小保方晴子さんだったそうです。気持ちはよくわかります。同じ気持ちを共有です。

そして本根多は一転して『干物箱』。こうまでも本根多とは関係ない話を振っておきながら、いきなり道楽息子の若旦那の話。でもそこに違和感を感じさせないのが兼好さんの話術というものでしょうか。くすぐりもたっぷり、笑いの多いひと時でした。

仲入りがあってあと一人、瀧川鯉昇師匠です。幕が開いて、出てきて、ゆっくりと座布団に座って、おもむろに頭を上げて、ぐるりと会場を見回して、暫しの沈黙。会場から散発的な笑い。

ようやく話し始めたのが、おとぼけネガティブトークで笑いを取るスタイル。もうすっかり鯉昇師匠の掌に乗ってしまいました。本根多ではお江戸で木枯らしの吹く寒い夜の、町方の見回りのお役目。今日の演目はどうやら『二番煎じ』のようです。

後半で瓢に入れた酒、猪の肉と鍋。いやあ飲んで食べて温まりたいという気分にさせてくれました。まさにあったか落語ぬくぬくそのものでした。

1029attakanuku04終演は21時を大きく回ってました。このあったか落語の趣向もまだまだ続きそうです。

国立演芸場 7月中席初日 柳亭市馬主任 7月11日(金)

0711kokuritsu01台風一過。夏にしては珍しいピーカン晴れ。そして急に暑くなった。でも昨日までは台風が来ているので行けるかなと心配していたのでした。

国立演芸場もすっかり夏。中席のトリは柳亭市馬師匠です。そして今日は初日で何を聴かせてくれるのか。開演15分前位に入って行ったが客足は今ひとつ。半分も埋まってない状態でした。

0711kokuritsu020711kokuritsu03 まず開口一番は柳亭市助さん。名前からしても市馬師匠のお弟子さんです。

国立演芸場の定席では、前座も15分位の持ち時間があるので、かなりたっぷり語ります。演目は『子ほめ』でした。

次に柳亭市弥さん。この人もあちこちで前座姿を見ていたのだが、もう二つ目になって1年半ということです。落ち着いた高座で『金明竹』でした。

続いては柳家小せんさんの予定が、代演で桂文雀さんで『ぞろぞろ』でした。これも持ち時間の余裕があったのか、お稲荷様のご利益のあたりの仕込みをたっぷり演ってたので、「元犬」なのか「ぞろぞろ」なのかすぐにはわかりませんでした。

そこで一度幕が下りてまた上がって、江戸家小猫さんの登場です。そしてまず芸名の小猫の由来。代々猫八そして小猫は親から子へと伝承されるという事で、今の猫八師匠は実の父親という事です。さらにお爺さんがあの、お笑い三人組でお馴染みだった猫八師匠です。

でもさらにその先代がいた、という事で今目の前にいる小猫さんは四代目なのでした。 そして江戸家流の指笛の鳴らし方も披露して、鳥の声や動物の声。それは昔から寄席で聴く事の出来た代々の猫八・小猫の芸そのものでした。切れ味もありました。

続いて柳家小のぶ師匠です。初めて聴く人なので中堅クラスの真打ちなのかなと思ってたらとんでもない、もう長老と言われてもよいくらいのご年配。

後で調べた見たら寄席には出演しない幻の噺家と言われている人だった。CDも発売してるのでした。ということはこんな人に出会えた事がラッキーと言うべきなのかもしれません。

喉を痛めてるのかな??声が出にくいようです。したがって迫力を期待するのは無理。年季による味わいを求めることになりますが、それにしても地味な噺家さんです。演目は『たがや』で季節感たっぷりでした。

そして仲入り前が柳家小里ん師匠です。生粋の江戸言葉を聞かせてくれる師匠ですね。演目は『青菜』でした。誇張のないゆったりとした「青菜」で仲入り前を締めてくれました。

仲入り後は橘家圓十郎さん。この人も初めて見る人でした。元相撲取りと見間違う体型でノッシノッシと現れたがどうも高座に座るのが大変そうです。 そして語り口はどこかで聞いた事のある調子。そうです、あの橘家圓蔵師匠の芸風をそのまま継承してたのでした。

調べると師匠は竹蔵師匠なので、間一代おいた隔世遺伝のようなものです。演目は『湯屋番』だが、やはりかなりハチャメチャにアレンジされた「湯屋番」でした。

次が五明楼玉の輔さんの代演で、柳亭燕路師匠です。その前に圓十郎さんから小さい師匠なので前へどうぞなんて言われていましたが、確かに座布団が大きく見えます。でも声はよく通るのでだいじょうぶ。演目は『天狗裁き』でした。

そしてトリ前のヒザは柳家小菊姐さんの俗曲。寄席の彩りです。国立演芸場へご案内〜〜い、実は本当は吉原、から始まって民謡、そして都々逸。「都々逸はすぐ終わっちゃうのだからぼんやり聞いてては駄目よ!」といつものお叱り。そして最後が『両国』をたっぷり聞かせてくれました。

いよいよ最後がお目当て柳亭市馬師匠の登場です。落語協会会長となって今をときめく市馬師匠、演目は。道楽や勝負事のマクラで話題を振り、『笠碁』に入ってゆきました。

ご自慢のノドを聴かせてくれる場面はありませんが、これも柳家の有名な演目。湿っぽく静かな展開の噺の中でも、適度な起伏やくすぐりで飽きさせない。そして最後に「被り笠つけたままじゃないか」とストンと落として終わりました。

0711kokuritsu04ハネてから外に出ると西の空が真っ黒で怪しい雰囲気です。一雨降る前に帰りを急いだのでした。

第25回大手町落語会 日経ホール 6月14日(土)

0614ootemachi00今日は久しぶりの書き込み。そうです。この「お江戸そーほー亭」はTypePadからプログを自分のレンタルサーバーに移し、ドメインも新たに再スタートしました。

CMSもWordPressに切り替えて面目一新です。しかし1万点にも及ぶ写真の移行はまだ進行中です。

そして今日の「大手町落語会」は、珍しく昼間の明るい時間帯の落語会なのです。休日で人もまばらな大手町の日経ホールに足を運びました。

着いたのが13時前でしたが、少しフライングして開場していました。入った席は中段、悪い席ではありません。日経ホールの客席はかなり傾斜があるので、前の人の頭はほとんど気になりません。

番組表を見ると今日は全て根多出しされていました。少々早めの夏噺ということで、何と圓朝の怪談噺が二席組まれていました。やがて開演時刻が迫って係の人が場内を回って、携帯の電源を切ってくださいの連呼です。

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幕が開いて開口一番は神田松之丞さんの講談です。初めて聴く名前ですが、チラシの束の中にいくつも公演案内がある。彗星の如く現れたホープなのかな。。

とにかく開口一番の講談はやる方も聞く方もいささか苦痛が伴う、なんて言いながら相撲話しに入ってゆきました。演目は『雷電の初土俵』。

江戸時代は平均身長が150センチの中で、雷電は190センチ以上。勝率は9割を超えるということで、とにかく負けなかったそうです。でも横綱にはなれなかったのでした。

いきなり幕内付け出しの初土俵の取り組みの様子、とにかく大きくて強い雷電をかなり誇張気味に語っていました。

続いて柳亭市馬師匠の『かぼちゃ屋』です。与太郎の出てくる噺ですが、今日は早い上がりなので軽い噺でご機嫌伺いという具合です。まあ、後続が階段噺二席なので大根多は避けたという事かもしれません。軽妙な調子で聴かせてくれました。

次が林家正雀師匠の『牡丹灯籠より〜お札はがし〜』です。持ち時間30分の中での話の組み立てでかなり省略がありました。旗本飯島平左衛門の娘お露と浪人萩原新三郎の出会いから、焦れ死にしたお露が同じく看病疲れで死んだ女中のよねと、幽霊になって新三郎のところに通い詰め、やがて幽霊と気がついた新三郎が家の周りにお札を貼り、海音如来像を抱いて防御。そこで幽霊と100両で取引した伴蔵が、お札を剥がし、海音如来を隠してしまうというくだり。「牡丹灯籠」の白眉ともいえる場面でした。

女中のよねが発する「ともぞ〜さん」という声の気味悪さが聴かせどころですね。

そこで仲入りとなり、続いては隅田川馬石師匠の『真景累ケ淵より〜発端〜』、宗悦殺しの場面です。長い長い噺の一部を切り出して30分にまとめるという事では、一番やりやすい場面だそうです。確かに「豊志賀の死」などを演るとたっぷり1時間かかってしまうことでしょう。

それにしても圓朝作の怪談噺を、連続でなく二つ同じ席で聴くというのもなかなか無いものです。これも場内シーンとして聴いていました。

そして最後が柳家さん喬師匠の『船徳』。圓朝ワールドからガラッと空気が入れ替わりました。四万六千日、お暑い盛りです。でも今日の外はまだ30度には達してなかったのでした。

さすがに怪談噺二席を聴くといささか疲れます。さん喬師匠もちょっとやりにくかったのではと邪推。比較的淡々とはなしが進んで行ったように感じられました。

0614ootemachi03そしてハネたのが16時過ぎ。外はまだ日がカンカン照りです。今が一年中で一番日が長い時期なのでした。

「あったか落語ぬくぬく」兼好・鯉昇・市馬 成城ホール 7月30日(火)

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「あったか落語ぬくぬく」、何とも今の季節にそぐわないキャッチコピーの落語会です。汗びっしょりになって辿り着いた成城ホールで更にぬくぬくになるのか!でもこういうへそ曲がり的企画が大好きな小生は、迷う事なくチケット予約してしまいました。

夕刻の成城ホールは夕立前、雲行きが怪しい。そして蒸し暑い。そこに少し早めに到着しました。やがて開場して分厚いチラシの束を受取って、座った席は前から三列目の右半分の席。なかなかいい席です。噺家さんと目が合う席です。

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開口一番は柳亭市助さん。市馬師匠の四番弟子です。泥棒の話から入って、演目は『出来心』でした。結構笑いました。

続いて三遊亭兼好さん。まずは挨拶口上で「あったか落語ぬくぬく」の釈明。冬場ならよいのだが、今は確かに季節にそぐわない。軽妙なギャグを飛ばしながら、何やら色っぽい話になってきた。演目は『宮戸川』でした。
この噺は女が男を追いかける逆ストーカー的な噺で、濡れ場でプチっと話が終わってしまう。初めて聞いた人はきっと満たされない想いが残ります。

なぜ「宮戸川」なのかというと、この噺には続きがあり、そこで宮戸川が出てくるのだが、今そこまで聴かせてくれる事はほとんどありません。いつも濡れ場で話が終わります。兼好さんもそうでした。

そして次が瀧川鯉昇師匠です。「あったか落語ぬくぬく」とはまさにこの人のためのキャッチコピーのようです。兼好さんのリズム感のある調子から、打って変わってこのまったり感は何だ。長〜〜い休憩と思って聞いてくださいですって。

そして入った噺は『蛇含草』。ゆつくりゆったりのペースです。そして餅を食い過ぎて苦しそうな場面も軽目でした。もっともこの演技が真に迫り過ぎると、聴いてる方も気持ち悪くなってしまいます。

仲入りがあって最後が柳亭市馬師匠です。あと一人、宜しくおつきあいお願い致します。その後すぐに本根多で『らくだ』でした。

同じ月に同じ噺を聞くことはよくあるが、今月は『らくだ』月間です。1週間前にも池袋演芸場で、古今亭菊之丞師匠の通しの「らくだ」を聴いたばかりです。でも今日の市馬師匠のはかなり雰囲気が違いました。なぜか明るい屑屋にあまり恐くないらくだの兄ィ。深刻になり過ぎずコミカルな展開です。

市馬師匠のお得意のノドでかんかんのうを唄うのかなとという期待。でもこの噺の展開ではそうはゆかない。大家さんのところでは、屑屋も嫌々唄わなくてはならないのでした。

でも漬物屋から菜漬けの樽をもらってくる場面では、屑屋も少し面白がってるという演出を入れていました。そして酒を飲んで屑屋とらくだの兄ィの立場の逆転の見せ場も、実に明るく演じてたのでした。そこで話が切れました。らくだの死骸を日本一の火屋に運んでゆく場面はありませんでした。

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ハネてから会場の外へ出ると雨。でも降りは弱かったので傘は刺さずに成城学園前駅に向かったのでした。

「あったか落語ぬくぬく」鯉昇・兼好・市馬 成城ホール 3月5日(火)

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「あったか落語ぬくぬく」何ともはや力の入らないネーミングです。でも力が抜ける事は悪い事ではありません。肩や腰のこりはりも立ち所に治ってしまいます。嘘です。

そんな趣向の落語会、、、かどうか知りませんが、当時要するのが瀧川鯉昇師匠、三遊亭兼好師匠、そして柳亭市馬師匠です。どの人も脱力系です。

そして開場前に成城ホールに着くと、客足もゆったり。みんなあったかぬくぬく状態でした。外は結構寒いのだが。。。

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やがて開演で開口一番は瀧川こいつ?あいつ?どいつ?どんな字を書くのかな。あとで演目表見たら、瀧川鯉津でした。

名前を見れば鯉昇師匠のお弟子さんである事は一目瞭然です。かなり奥手の入門ではないのかな。最近の前座さんは30代なんて当たり前のようですから。

話し始めると結構聞きやすい口調です。もうすっかり場慣れしている印象でした。そして演目は『熊の皮』。融通の利かない甚平さんが出てきました。

続いて柳亭市馬師匠がにこやかに出てきました。客席からは唄を催促するような拍手が。でもそういつも唄ってる訳にはゆかないようです。

クラでは二八蕎麦の話しが出てきて、観客には『時そば』と思わせておいてするりと『うどん屋』に入っていったのでした。粋な「そば〜〜〜い」という売り声から、ちょっと間の抜けた「な〜べや〜き〜〜〜うどん」。でもやはり良い喉しています。同じ話を何度も繰り返す酔っ払いをたっぷり演じ聞かせてくれました。

続いて三遊亭兼好師匠。今度はマクラから軽妙なギャグが炸裂します。そして入った噺が『崇徳院』。それも実に兼好流のくすぐりがたっぷりで、笑いの絶える事がありません。笑っているうちにすっかり体の力は抜けていました。

15分の仲入りがあって、最後が脱力系のエースとも言える瀧川鯉昇師匠です。高座に上がって深いお辞儀をしてから、隅から隅まで客席を見回して話し始めます。

よく聞いていると、この人も兼好さんとはまち違った趣味で、独特のくすぐりを入れてきます。そして入った根多が『長屋の花見』ですが、いつも聴いている『長屋の花見』ではありません。かなり手を加えています。

大家さんに呼ばれたことで、長屋の住人が何で呼ばれたのだろうかと詮索を始める。このくだりが実に長かった。大家さんのところの猫を食べちゃったことかな。。。さらっとさりげなく凄い事を言いますね。

その後大家さんのところへ行ってからは、いつもの『長屋の花見』でした。それでも時間配分として、上野の山の花見の席の描写はかなりあっさり目でした。そしてサゲは独自のものを仕込んでいました。

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ハネたのは21時を回っていました。しかしこの時間になってもあったかぬくぬくの人もかなりいたようで、この独特の空気に浸っていました。

しんけん祝おうぇ 大分出身噺家大集合 成城ホール 12月21日(金)

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噺家さんの出身地を追っかけてゆくと、実は全国津々浦々いろんなところから江戸に集まってきているのがわかります。むしろ生粋の江戸っ子は極く少数派です。そんな中九州は、大分県と鹿児島県が実力者を輩出して

いる県ともいえます。これは意外な事実です。さて何を隠そう小生も出身地は大分県速見郡日出町。そんなところから大分県出身の噺家さんには特別の親しみを感じます。

今日はその五人衆が集まるというのだから見過ごすわけにはゆきません。香盤順にゆけば、柳亭市馬師匠を筆頭に、桂文治師匠、三遊亭鳳志師匠、三遊亭歌奴師匠、そして春風亭朝也さんとなります。

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開演は18時45分何だか中途半端な時刻です。開口一番は市馬師匠のお弟子さんの柳亭市助さん。調べたらこの人だけは北海道出身でした。

演目は前座噺の定番となった『子ほめ』です。普通の前座の調子なのだが、聴いていて何となく笑ってしまう。不思議な可笑しさがある。

続いて先陣は春風亭朝也さんです。二つ目ですがこの人、本当に久しぶりに見ました。進化してるかな?演目は『壷算』。なかなかいい調子でした。

次は三遊亭歌奴さん。もう真打になって4年位経つのかな。ずいぶん風格が出てきました。それを見せる活かすかどうか、マクラを相撲の話に振ってから入った噺が『佐野山』。これは「横綱谷風の人情相撲」という別題もあるようですが、これは今だったら完全に八百長相撲ですね。

出世もできず引退する佐野山に、花を持たせて負けた谷風の情が江戸っ子の心を掴んだ。時代も変わるものです。

そういえば現在の佐ノ山親方は、同じ大分県出身の元千代大海なんですね。歌奴さん、それを意識して『佐野山』の演目を選んだのかな。

続いて仲入り前は柳亭市馬師匠です。この人は落語協会の副会長を勤める人で、大分県出身者としては出世頭です。やはり格が違います。

歳末なので借金取りが来る。それを如何に追い払うか。相手の好きなものでいい気持ちにさせて払いを伸ばしてもらう策略です。『掛取り万歳』でした。ここで市馬師匠はまたまた自慢のノドを披露。特に三橋美智也の物まねは念が入っていました。すっかり引き込まれてしまいました。

仲入りがあって幕が開くと、今度は桂文治師匠の襲名披露。大分五人衆が横一列に並んで真ん中に文治師匠。そして司会が朝也さんです。朝也さんなかなか堂に入っています。

そこで各人各人言いたい事言いっ放しです。ただ一人黙っているのが真ん中の文治師匠。ニヤニヤしながら頭を下げていました。そして最後に会場もお手を拝借で幕が下りました。

再び幕が開くと今度は三遊亭鳳志さんが上がってきました。やきもちの話から入ってどんな噺につながるか。つながった噺は『悋気の独楽』。時間がなくなったのかな?あまり時間のかからない噺を選んだようでした。でもお妾さんの色っぽさ、結構旨く演じていました。

最後がお待ちかね桂文治師匠です。襲名披露では一言も発しなかった分、高座では発しっ放しになるのではという予感。

どうもこれまで聴いた事もない噺のようです。終わった後貼り出されていた演目を見ると『幽霊の辻』。ドタンバタンもありで、実にどうも賑やかなものです。そして茶店の婆さんの実にオーバーな表現。そして場面場面で見せる、見栄を切るような間。でもこれどこかで見た事のあるような演出です。

後から調べてみたら演芸作家の小佐田定雄さんの創作でした。それが亡き桂枝雀師匠のための創作だったという事で、まさに枝雀流の爆笑の演出を取り入れた筋書きだったようです。

そして最後に本当のお化けが出てきたように見せて、実はお化け屋敷の見世物だったというサゲでした。いやあ迫力あった。

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ということで今日は久しぶりに中味の濃い落語会を堪能しました。大分五人衆、今日は皆さんそれぞれに良かったですね。また次回もあったら見に行きたいと思いました。

気になるふたり「小満ん・市馬の会」銀座ブロッサム中央会館 10月11日(木)

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何となく気になってチケットを買ってしまったこの二人会。場所は東銀座の外れの銀座ブロッサム中央会館。日に日に日暮れが早くなって、18時前に到着したらもう真っ暗。秋の夜長の落語会というところです。

この銀座ブロッサムのホールというのは結構広い。調べたら定員900人でした。

客の入りは4割位で空席が目立ったが、それでも鈴本演芸場くらいは満席にする人数が集まっていたのかもしれません。

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やがて開演で、開口一番は柳亭市也さん。演目は『金明竹』でした。時間の関係か、中橋の加賀屋佐吉からの関西弁の使いとのやりとりだけでした。関西弁も板についていたようなので、市也さん、出身地をチェックしたのですが落語協会のホームページには載っておらず。時々ホンモノの関西人が江戸落語を演っていることがあるので。

続いて柳家小満ん師匠の一席目です。今日は二席ずつ聴かせてくれるようです。

この人はかつての黒門町の桂文楽に憧れ、入門して落語家になったと聞いていたが、芸風も黒門町を彷彿させるものがあります。演目は『厩火事』、これも黒門町の十八番でした。

はったりや誇張の少ない淡々とした芸でまずは一席目を聴かせてくれました。

次は柳亭市馬師匠で演目は『猫の災難』。これは師匠の先代小さんが得意だった演目で、マクラでも小さんの事を話していました。

それにしても熊さん、調子いい。うまくやってやがる。猫可哀想と思わせてくれました。

仲入りがあって、今度は市馬師匠が先。マクラで歌舞伎の話を始めたので芝居噺かなと思っていたら、若旦那が帰ってこないのを親父がプリプリ怒っているところから始まった。『七段目』でした。

ここで市馬師匠、決定的な見せ場を用意していました。若旦那と定吉が仮名手本忠臣蔵七段目の平衛門とお軽の場面の真似事を始めると鳴り物が入りました。そして歌舞伎の演技が実に実感味がある。音曲の得意な市馬師匠の本領発揮です。

そして一気にサゲの「階段のてっぺんからか」「いいえ七段目」。会場大いに楽しみました。

最後が小満ん師匠の二席目。マクラで市馬師匠のお芝居だ楽しんでいただいたでしょうから、今度は吉原へご案内します。そして始まったのが『明烏』でした。

でもこの『明烏』、これも黒門町の十八番だったのだはずなのが、かなり異なった味付けで始まりました。

高座のお茶を飲みながらの演技だったが、今日は今ひとつ喉の調子が良くなかったようです。

しかしそんな中、小満ん師匠もとっておきの見せ場を用意してくれていました。それは黒門町の筋書きにはなかった、若旦那と花魁浦里との濡れ場です。これで地味目だった小満ん師匠の芸に、一気に花が咲きました。

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終演は21時丁度で、まだ賑わっている銀座へと向かったのでした。

「あったか落語ぬくぬく」その弐 成城ホール 7月23日(月)

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「あったら落語ぬくぬく」??何ともこのお暑い季節にますます暑苦しくなりそうなネーミング。どういうことなんだろうか?

出演者は三遊亭兼好師匠、瀧川鯉昇師匠、そして柳亭市馬師匠。三人会です。何となく緩いキャラの師匠方を集めた落語会ということなのかな。

成城では一時の涼しい日が終わり、また暑さが復活です。早目に会場に着いてしまったら、三遊亭兼好師匠のご出勤です。「やあやあ!今日楽しみにしてますよ。」と一言声を交わす。

少し時間調整をして会場に入ると、席は最前列の左端から4番目。ちょっと横過ぎるかな。。そして客入りは9割以上。なかなかの賑わいです。

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やがて開演で幕が開くと、まずは前座の開口一番。市馬師匠のお弟子さんの、柳亭市助さん。初めて見る人です。

おっ、この人江戸弁が板についてる。結構雰囲気出してるじゃないか。いいぞいいぞ。調べたら1991年生まれという事で、純然たる平成っ子です。演目は『狸札』または『狸の恩返し』でした。

続いて三遊亭兼好師匠です。何だか変な出囃子。というよりも小唄みないなのが場内に流れて、白っぽい羽織で登場。いつも黒が多いと思っていたが、珍しい出立ちです。それとも初物なのかな。

まずはこの「あったか落語ぬくぬく」という季節外れのタイトルの解説です。でも考えてみると暑いから「ひんやり落語寒々」ではどうにもサマになりません。

そんな与太を飛ばした後入った噺は『野ざらし』です。何だかやけに賑やかな落ち着きのない野ざらしです。そのかわり笑いは多い。しかし今まで聴いてきた野ざらしに比べて軽い!

途中八っぁんが調子に乗って釣り竿を振り回しながら唄を歌う。これは後から出てくる市馬師匠への挑戦状のようです。

慌ただしく話が進んで、骨が沢山あったのに八っぁんが酒をかけて帰って、ほろ酔い気分で待っていたら現れたのは髭もじゃの男。幇間ではありませんでした。

サゲも変えていました。でも考えてみても、幇間に馬の骨では今時わかる人は少ないから、無理ないですね。

次は瀧川鯉昇師匠です。高座に上がって深々とお辞儀をして、ぐるっと場内を見回して暫しの沈黙。早々天然のおとぼけが始まりました。

静かに語り始めて師匠の故郷の静岡県の引左(いなさ)。ここには第二東名のジャンクションがあるなど。あまり本根多とは関係なさそうです。

本根多は『船徳』でした。まさに今の季節にふさわしい噺です。鯉昇師匠の『船徳』は一風変わっている。若旦那の徳さんの居候ぶりから始まりました。そして徳さんは質屋の若旦那という仕込みがありました。

この噺はトントントンとリズムよく進めるのが普通の演じ方と思っていたら、鯉昇師匠のは何ともふわふわしたおとぼけです。

そして最後のサゲがまた違っていた。徳さん、客の一人を川に流してしまったのです。道理で質屋の若旦那だから。

仲入りがあって残すは柳亭市馬師匠一人だけ。颯爽と上がってきました。マクラも短く始まったのは『鰻の幇間』。今度は間違いなく幇間が出てきます。

前の二人が風変わりな演技をしていたので、今度は正統な演技で迫ってきました。

話が進んで一八が一人になったところで、独り言言いながら唄を歌う。それも兼好さんが唄っていたのと同じ唄。「さっきまずいのを聴いたから」と返礼という事でした。遊んでますね。

こんどはサゲは黒門町の時から演じられていたものでしたが、履物全部持ってゆかれるような虐めっぽいサゲではありませんでした。

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今日は深刻にもならず、しんみりともせず、背中に冷や汗という事もなく、何かゆったりした噺三題。いや前座を含めて四題。終わってみれば、やっぱり「あったか落語ぬくぬく」だったのです。

新春初笑い「狛江寄席」 狛江エコルマホール 1月7日(土)

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今年の初笑いは狛江から。昨年購入していた狛江寄席のチケットを持って、狛江エコルマホールへ向かいました。さて今日の出演者はなかなか豪華です。林家木久扇師匠、三遊亭小遊三師匠、柳亭市馬師匠、そして春風亭一之輔さん。特に一之輔さんは今年3月に21人抜きの抜擢で、真打ちに昇進なのです。

もともとこの人国立演芸場では二つ目ながらトリを取っていたという程の実力者です。まだ真打ちじゃなかったの、という声も聞かれる程なのです。

12時半開場というので、それに合わせて狛江エコルマホールに入ると、まだ客席に入れてくれませんでした。ロビーでの待機です。
その間に一生懸命木久扇グッズを売っていたのが、師匠の愛弟子のきりんさん。とにかく背が高いのです。190センチを越えるという事で、落語界随一の長身だそうです。

きりんという名前だからきっと首が長〜〜いのかな、と思っていたらそんな事はありませんでした。とても均整の取れたいい男です。そこで笑点でも話題の「木久蔵ラーメン」を衝動買い。
木久蔵ラーメン、洒落やジョークではありません。本当にあるのです。

やがて客席も開場して着いた席が一番左端。前の方なのだがかなり角度は斜めです。ひょいと見ると、きりんさん、客席でもラーメン売りです。

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やがて開演で開口一番は春風亭一之輔さんでした。各寄席回り50日間連続の昇進披露の興行が予定されており、もう高座の上で風格すら感じます。

マクラでの子供の話から入っていったのは『初天神』。子供の演技はお手のもののようですが、そんなに憎たらしい金坊ではありませんでした。

続いて三遊亭小遊三師匠。マクラでは落語会の変遷と昨年なくなった立川談志師匠の話し。前座時代に談志師匠に稽古してもらった話しなどを聞かせてくれて、さて本根多。
本根多は『浮世床』。小遊三師匠らしく、軽い調子で笑わせてくれました。

仲入りがあって、次は柳亭市馬師匠です。マクラは相撲の話です。そこで呼び出しの声、行司の声を披露。なかなかいいノドをしている!そして極め付きが相撲甚句でした。

そこから相撲根多に入るものとばかり思っていたら、またまた意表をつかれた。『時そば』でした。マクラとの共通点は「そば〜〜〜〜い」という売り声だったのです。
あとは極く標準的な「時そば」です。捻りはありませんでした。

そして最後が林家木久扇師匠です。笑点ではすっかり与太郎的なスタイルが印象づけられていますが、今日もその延長のような調子です。そして自分は馬鹿ではありませんと強調??
そんな調子で世相を語り、持ち時間終了。

これは一体何の根多なのだろうと、帰りにロビーの掲示を見てびっくり。『彦六伝』ですって。確かに木久扇師匠の師匠が林家彦六師匠だったのでしょうが、その話は語られてなかったように思う。

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とにかく今日は全体を通して脈絡無し。軽い根多でただ馬鹿馬鹿しくて笑うのみ。これが正月明けの初笑いなんですね。

ういえば今日登場した師匠連も寄席から寄席の梯子で、あちこちで短い持ち時間で顔見せの時間つなぎをしていたようです。正月は寄席芸人さんに取っては実に慌ただしい時期なんですね。