「三遊亭兼好」タグアーカイブ

「三遊亭萬橘エースを狙え」北沢タウンホール 5月19日(木)

0519acenerae01今日の公演の「エースを狙え」?これの意味するところ、別に深い意味はないと思ったが、どうやらそうではなかったようです。

今日北沢タウンホールに出演する二人は、ともに五代目圓樂一門です。その中で最近頭角を現してきた二人の競い合いという意味のようです。実力人気ともに先行している三遊亭兼好師匠を、三遊亭萬橘師匠が追いかける構図です。

会場に着くと案内がありました。今日前座の開口一番があります、と。どうやら萬橘師匠がお弟子さんを取り、その初高座のようでした。すでに兼好師匠も二人のお弟子さんがいるので、自分の一門作りも競っているのかな。まあ、プロデューサーの広瀬和夫氏の演出なんでしょうが。

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さて入場して席は前から5列目の左側。チケット購入が遅くなった割にはいい席が残っていました。そして開演して開口一番が例の前座さんです。名前は三遊亭まん坊さん、さてどうなるか。

落語は最初は短かった、「囲いができたね、へぇ」から入って、演目は『味噌豆』でした。どうもまだ客席の方が始動してないようです。鈴本のようなところでは、前座の時には客席は弁当食べる人、喋る人などいて、ザワザワしているのだが、今日はなぜかシーンとしてるのです。前座さんにとっては極めて厳しい門出になったようです。

そして名実ともに師匠になった三遊亭萬橘師匠です。マクラを喋ってから本根多に入ったのだが、演目がよくわからない。「垂乳根」のようで「垂乳根」でないって感じ。何なのだろうと聴いていたら、やっぱり『垂乳根』だった。サゲも変えてました。買い物から帰って「あ〜ら我が君!」、思いっきり改作風の「垂乳根」でした。

それから三遊亭兼好師匠の登場ですが、なんだか楽屋が険悪です。今日の出演者お二人のバトルが始まりました。それはまるで、桂歌丸師匠と三遊亭円楽師匠のバトルを見てるよう。そして兼好師匠の一言に楽屋から出てきて抗議するという塩梅です。これぞエースを狙ってのバトルでしょうか。

それが収まってから屋久島の話になり、なまじ世界遺産になったために縄文杉などの自然の樹木が痛んできている。植物にも心がある。。。ここまで言うと本根多は事によって。。。

案の定でした。始まったのは『アロエヨーグルト』です。まだ兼好師匠が二つ目の好二郎時代に聴いて、面白かったから是非もう一度と思ってた根多なのです。今日は大収穫です。

それはマンションに住むOLの一室に置かれた観葉植物の会話でした。後の対談で言ってたが、この噺は暑い時に演ると汗を拭く場面がない。そういえば一度だけ手拭いで顔を拭ってましたね。

仲入りがあって萬橘師匠のもう一席。今度はマクラも短く『大工調べ』が始まりました。滑舌があまりよろしくない萬橘師匠が、政五郎の啖呵をどうこなすかが楽しみです。

でもその前に与太郎の方が問題でした。気が長いだけでなく、思いっきりピントを外す。聞いてる方もいささかイライラしてくる位の与太郎です。でもそれが笑いのタネになっています。そしてようやく政五郎が爆発しました。ここでやたら早口になり、滑舌がよくないと見込んでた口から、澱みなく啖呵の言葉が出てきます。萬橘師匠、凄い!

そこで婆さんは逃げたが、因業大家さんが反省して和解するという改作が入ってました。ここからお白州に上がるよりも、筋書きを和解でまとめるほうが自然で、理にかなってると言えそうです。もっとも「大工調べ」の縁台の意味がなくなってしまいますが。

ということで萬橘師匠二席、兼好師匠一席で今日の番組は終わりました。そのあとに広瀬和生氏と今日の二人が出てきて三者対談です。萬橘師匠、まだテンションの高いままでの対談で、あとの二人から散々いじられてました。それに怒っても恐くなく、可愛さがあるのが萬橘師匠の持ち味です。だから噺の中の役柄が怒っても、観客を緊張させることがないのです。兼好師匠が羨ましいの一言。

0519acenerae08こんな二人が今、五代目円楽一門の中堅のホープとして脚光を浴びようとしています。きっと「笑点」も、歌丸師匠なき後にこの二人を採用したら面白くなるよと言いたくなりました。ともあれ今日はよく笑った。大収穫の幸せな一時でした。

「あったか落語ぬくぬく」成城ホール 2月16日(火)

0216nukunuku01寒い!!つい2日前5月並みという馬鹿な暑さだったのがまたまた冬に逆戻り。こんな日には落語であったまろう。なんということで、今日は「あったか落語ぬくぬく」という、季節にふさわしいテーマの三人会です。柳亭市馬師匠、瀧川鯉昇師匠、三遊亭兼好師匠という、何か共通点や脈絡を感じられない三人会なのですが今日で10回目という、よくぞ続いてる会です。「あったか落語ぬくぬく」、そういえばこのテーマで7月にやったこともありました。

0216nukunuku03 0216nukunuku04成城ホールは今月6日に地域イベントで使わせてもらった会場です。ここは会場のレイアウトを変幻自在に変えられて、フラットな床面でダンスパーティーから、階段席でのコンサートや落語会までこなせる、まさに多目的ホールです。今日はいつも見慣れた落語会用の設営です。

今日の席は3列目で左側です。まあまあ噺家さんの顔もよく見える場所なのでいいでしょう。そこで開演を待つこと暫し、幕が開いて開口一番は三遊亭けん玉さんが、元気よく飛び出してきました。今日のトリの予定の三遊亭兼好師匠のお弟子さんです。

この人とにかく座布団の上では元気いっぱい。とりわけ今日の演目が『子ほめ』で、八五郎の野蛮さをこれでもかとばかり演じていました。そのせいか、世辞を言っても酒にはありつけませんでした。

続いて柳亭市馬師匠です。何が出てくるのかなと思って聞いていると、江戸の職人の話から『大工調べ』に入って行きました。いきなりの大根多です。この話は何と言っても大工の頭の政五郎の啖呵が聴きどころです。

今日の市馬師匠の啖呵は思いの外あっさりしたものでしたが、政五郎の後で与太郎にたっぷり語らせていました。そして時間の関係か、お裁きの場面の前で終わりました。まさにあったか落語というよりも、あつあつ落語でしたね。

続いては瀧川鯉昇師匠です。さて何を語るのか。と思って聞いてると実にマクラが長い。浜松の話とオリンピックの話、それも52年前の東京オリンピツクの思い出話です。浜松を聖火ランナーが走った時に追っかけた話。その時に人里離れた山梨の山の中で、今の小遊三師匠も聖火を持って走ったとのこと。

それがしばらく続いてようやく始まったのが『茶の湯』でした。これも決して短い話ではないはずだが、残り時間が迫ってるのでは。でもそこは鯉昇師匠のこと、上手く枝葉を切り落としながら時間内にまとめていました。これはぬくぬくというところでしょうか。

仲入りがあって三遊亭兼好師匠です。今度はマクラは短いが、まるで見てきたような調子で吉原の話をしてます。でもいいんです。聞いてる方も見たことないんだからお互い様ですね。

そして本根多は『お見立て』です。この噺はまさに兼好師匠の芸風とぴったり。軽妙な調子で花魁喜瀬川と杢兵衛お大尽のすれ違いを語ります。その間に入って苦悩する若い衆喜助に、いつの間にか感情移入してしまうのでした。そしてそこそこあったかかった。これでようやくあったか落語ぬくぬくが成立したのでした。

0216nukunuku05終わって外に出たら、やっぱり今夜は寒かった。

「三遊亭兼好独演会」高円寺ちとしゃん亭 4月13日(月)

0413chitoshan01先日の入船亭扇辰師匠の独演会から二週間後の今日、今度は三遊亭兼好師匠の独演会です。いつもなら運動を兼ねて歩いて高円寺まで行くのだが、今日は生憎の雨。ちょっと体が鈍り気味です。

でも今日の兼好師匠の笑いは、そんなジメジメした空気を吹き飛ばしてくれることでしょう。

呑み処ちんとんしゃんに着いたのが19時過ぎ、今日は幟も出ていない。雨に災いされてます。そして今日は久しぶりに紫文師匠の姿も見えました。

0413chitoshan02 0413chitoshan03 0413chitoshan04開演30分前には大部分の席も埋まり、さすが兼好師匠で客の入りも上々です。そして奥の楽屋も賑やかなようで、今日はお弟子さんのけん玉さんも来てるのかな?

一方どこか寂しいと思ったら、今日は東京ガールズのお二人はどこかの席に出演中のようです。女将さんと二人での下座なのだが、紫文師匠の三味線の調子が悪そう。外は本降りの雨でその湿気にやられたのかな。

このちとしゃん亭は開演の前がなぜかシーンとしてしまうのです。客同士の会話もなくなります。そして開演の開口一番はやっぱり前座の三遊亭けん玉さんでした。なんだかちょっと緊張気味のようです。目が笑ってない。。。

そして始まったのが八っあんとご隠居さん。そして俳句の話に入ったので『雑俳』でした。相変わらず緊張が見られるが、声は快調。いい声をしてますね。これは落語家としての宝ですね。

続いて三遊亭兼好師匠の一席目です。いつもの滑らかの兼好節が始まって、会場は和やかな笑いです。そしてマクラで充分引きつけてから、お爺さんお婆さんとお稲荷様の話。『ぞろぞろ』でした。これは実に呑気な話ですね。お稲荷様のご利益で茶店に吊るしてある草鞋が、売れても売れてもぞろぞろ。

それを真似した床屋さんが、お稲荷様に願をかけると客が来て、髭を当たるとあとから髭がぞろぞろ。考えてみるとちょっとキモチ悪い話ですがそこは兼好師匠、軽妙に落として下りて行きました。

ここで仲入り、ちょっと早めの仲入りかなと思ったら、飛び入りのゲストです。三遊亭歌太郎さんでした。どこか物腰の柔らかさを感じさせる芸風です。三遊亭歌武蔵師匠のお弟子さんです。この人一度見たことがあると探したら、三年前に鈴本で古今亭駿菊師匠の日に見ていました。

演目は新作という範疇だが明治時代の噺として聞かせてくれたのが、電報の出てくる話。インターネットのおかげで電報なんて今はすっかり見なくなったが、昔は緊急連絡の唯一の手段でした。演目名がわからないので後から聞いたら、『電報違い』。これは三遊亭圓歌の作ということだが、当代か先代なのと思って調べたら、さらに前の初代だったそうです。初代が電報、二代目が電話、そして当代は山の穴というところでしょうか。

気になったのが話の中の名古屋弁。名古屋に11年住んだ者として、どえりゑあ違ったでよ。

さて仲入りのトイレ休憩の後、兼好師匠の二席目。そろそろ皆な腹が減ってきたのを察してか、上がってすぐに羽織を脱いで、マクラも短めに本根多に入りました。一文無しの熊さんのところに、猫の病気のお見舞いの立派な鯛。でも頭と尻尾だけで間がなかった。『猫の災難』でした。

その中で兄いの帰りを待つ熊さんの酒を飲む仕草を見ているうちに、早く打ち上げの酒が飲みたくなってきたのです。それも落語の中ではいい酒、特上の酒。実に美味そうに飲んでるではありませんか。

終わって打ち上げ準備に入るのだが、外は雨で客も外で待機することができない。そして結構な人数が打ち上げにも残りました。そして酒が恋しい!

ようやく準備ができて席に着いて、いつもはまずビールとなるのだが、その前の高座の余韻が残ってたのか、最初っから日本酒という人ばかりです。みんな同じ想いだったのでした。

やがて今日の出演者3人が揃って出てきました。もともとノリのいい兼好師匠です。緊張気味だったけん玉さんもすっかり馴染んできました。馴染んでくるとこの人結構乗ってきます。もう目も笑ってるし、舌の回転もさらに滑らかになりました。何で兼好師匠を選んだの?面白いから。そんな塩梅です。

ノリノリの雰囲気の中気がついたら時刻も23時を回っていました。そろそろ中締めということで会場を後にしました。

気が会うふたり 入船亭扇辰・三遊亭兼好 新宿文化センター 11月26日(水)

1126kigaau01これはいずれも贔屓をしている二人です。その二人の競演もなかなか興味のそそられるものがあります。

場所は新宿文化センター、なんだか一度来たことのある場所と思ったら、落語とは何も関係ないITセミナーの会場に使ったことのあるホールでした。

1126kigaau02 1126kigaau03 1126kigaau04そして雨の新宿。なんだか歌の文句に出てきそうな天気。そして晩秋だから日の入りも早い。場所は繁華街から外れた暗〜い路地の脇にあります。

そこに入るともう何人もの客が開場を待っていました。道楽亭の席亭と思しき人が時計を見ながら、一番太鼓とともに開場しました。

座った席は前の方で正面にも近く、悪くない席ですが唯一心配なのが、前列の同じ位置に座る人。座高の高い人は来ないで、と祈りながら座りました。また客席も傾きがなく最後列まで真っ平らなので、尚更心配。

やがて二番太鼓が鳴り、続いて前座の出囃子。きっと辰のこさんか、けん玉さんのどっちかが出てくるかなと思ってたら、出てきたのは辰のこさんでした。一番弟子の小辰さんが軽いフットワークで飛び回ってたのと比べて、二番弟子の辰のこさんは師匠といっしょに回ることが多いように思えます。前座さんの行動パターンというのも、見ていてなかなか面白いものがあります。

でも辰のこさん、病み上がりで名前も変えて、調子が上がってきたようです。演目は『手紙無筆』でした。

そしてまずは三遊亭兼好師匠です。出囃子がいつもと違う、長唄が入ってる。趣向を変えたのかな。でもいつもと同じ調子で語り始めました。マクラではゆるキャラの話。ゆるキャラといえば、今年は何と言ってもぐんまちゃん。そのぐんまちゃんを軽いノリで風刺。あたしゃ応援してるんだから、あんまりいじめないでね。

そこから泥棒の話、そして入った根多が『だくだく』でした。でもサゲが違う。「だくだくっと血が出たつもり」はなかった。一捻り入れていました。

続いて入船亭扇辰師匠です。出囃子はいつもの「からかさ」そして兼好師匠とはまったく違う、ゆっくりしたリズムで語ります。この二人は所属する協会が異なるが、一緒に高座で共演することが多いようです。

そして本ネタに入った途端、豆腐屋の売り声を間違えてしまった。これも趣向かなと思ったら本当に間違えたようです。聞けば「井戸の茶碗」を演ったばかりだったそうです。これもご愛嬌ですね。

豆腐屋といえば『甲府い』か『徂徠豆腐』。今日は『徂徠豆腐』でした。仲入り前にまずたっぷり聴かせてくれたのでした。

仲入り後は再び扇辰師匠です。あとに兼好師匠が何やら大根多を用意してるということで、軽く短く『道灌』でした。いつもはこの噺、前座のを聞くことが多いのだが、久しぶりに真打以上の聴きました。

そして最後が兼好師匠の二席目。でも「芝浜」でも「文七元結」でもありません。その代わりに用意してたのは昔のお店の旦那の道楽。それも義太夫です。『寝床』でした。これもみっちり演ると長い話ですよね。それをみっちり演ったのです。

よどみなく明るく流れてゆく『寝床』で、話の中では聞くに堪えないという旦那の声を、声帯模写で演ってました。それを聞いた今夜は義太夫熱になるかもしれません。

1126kigaau05ハネたのが21時を少し回ったところ。外に出たらまだ雨。雨の新宿の夜も更けてという塩梅でした。

「あったか落語ぬくぬく」兼好・鯉昇・市馬 成城ホール 10月29日(水)

1029attakanuku01このところすっかり秋が深まり、朝晩寒くなってきました。そんな今日この頃にうってつけのタイトルの落語会、「あったからくご・ぬくぬく」とはよく命名したものです。ところが前回は7月末にやっている、それでもあったか落語なのです。「ひんやり落語・さむざむ」なんてものではありません。

別にどうでもよいのだが、出演者は柳亭市馬師匠、三遊亭兼好師匠、瀧川鯉昇師匠。これは固定所属団体の違う3人が集まった会なのです。場所は成城ホールでした。

開場時刻の18時半はもう夜の帳の中。入場して座ったのが前から6列目の真ん中。丁度良い席でした。あとは開演を待つのみ。

1029attakanuku021029attakanuku03開演して開口一番は、瀧川鯉毛さん。こいけと読むそうで、鯉昇師匠の12番弟子と言っていました。声はいいのだがまだ江戸弁が馴染んでないようです。でも声は本当にいい。しっかりと響きます。演目は『饅頭こわい』でした。

続いて柳亭市馬師匠です。旅の話から入って、江戸っ子の二人組が上方見物。えっ、つい先日彦丸さんのを聴いた「兵庫の鮫講釈」かなと思ったが、兵庫まで行ってない。京都の伏見です。演目は『三十石』でした。

この根多は三十石船の周囲で起こる様々な光景を描写していて、上方の噺家さんの多くはは米朝師匠の展開で演りますね。でも江戸落語では録音に残ってる圓生のは趣向が違いました。どっちで演るのかな?聴いていたら話しの展開は米朝流でした。

これまで江戸落語での『三十石』は聴いたことがなかった。市馬師匠のが初めてでした。そしてこの噺では船頭の歌う舟歌がでてきます。

そこで市馬師匠のご自慢のノドをたっぷり聴かせてもらいました。鳴り物も入り、下座から掛け声も入るということで、上方流の演出たっぷりの『三十石』を楽しませてもらいました。

次は三遊亭兼好さんです。ガラリと空気が入れ替わります。マクラでは最近の政局。どうも小渕優子さんを贔屓しているようなのです。その前は小保方晴子さんだったそうです。気持ちはよくわかります。同じ気持ちを共有です。

そして本根多は一転して『干物箱』。こうまでも本根多とは関係ない話を振っておきながら、いきなり道楽息子の若旦那の話。でもそこに違和感を感じさせないのが兼好さんの話術というものでしょうか。くすぐりもたっぷり、笑いの多いひと時でした。

仲入りがあってあと一人、瀧川鯉昇師匠です。幕が開いて、出てきて、ゆっくりと座布団に座って、おもむろに頭を上げて、ぐるりと会場を見回して、暫しの沈黙。会場から散発的な笑い。

ようやく話し始めたのが、おとぼけネガティブトークで笑いを取るスタイル。もうすっかり鯉昇師匠の掌に乗ってしまいました。本根多ではお江戸で木枯らしの吹く寒い夜の、町方の見回りのお役目。今日の演目はどうやら『二番煎じ』のようです。

後半で瓢に入れた酒、猪の肉と鍋。いやあ飲んで食べて温まりたいという気分にさせてくれました。まさにあったか落語ぬくぬくそのものでした。

1029attakanuku04終演は21時を大きく回ってました。このあったか落語の趣向もまだまだ続きそうです。

笑福亭笑助さん、三宿の夢吟坊で50回目の落語会 7月8日(火)

0708muginbo01笑福亭笑助さん芸歴17年と聞いたが、夢吟坊で50回目というのは本当に駆け出しの時分からここを修行の拠点にしていたのですね。

その夢吟坊は今日は梅雨まっただ中、天井のエアコンからポタポタ。よくよく湿度が高いようです。 今日はいつもより遅めの開演15分前くらいに入りましたが、席はかなり埋まってます。客足もまずまずです。 今日はゲストが三遊亭兼好さんなので、追っかけも来ているのかもしれません。

0708muginbo02 0708muginbo03そして開演でまず笑福亭笑助さんが高座に上がりました。ぐるっと客席を見回して視線は天井に、そして梅雨ですね〜。

まずマクラで振った話題は山形県民になった事。実に楽しく幸せそうな日々の様子が伝わってきます。なにしろカモシカはどこにでもいてほとんどの県民が見ているが、噺家(ハナシカ)は珍しいそうです。そして落語家(ラクゴカ)よりも酪農家(ラクノウカ)だそうです。

山形幸せ日記のあと根多出ししていた『遊山船』。喜六清八の仲良しコンビが橋の上での夕涼みです。

まずバンバ〜〜ンという花火の場面で、膝立ちになって両手を思いっきり拡げると、この会場は天井が低い。釣り照明に邪魔された。

賑やかな夕涼みで楽しませてくれましたが、この噺のテーマで面白いのは、上方の粋な言葉遊びが出てきます。「さてもきれいな碇の模様」「風が吹いても流れんように」と、江戸とは一味違う趣でした。

続いてゲストの三遊亭兼好さん。この席は2回目だそうです。そして笑助兄さんと言っていた。なんだ笑助さんが芸歴では先輩だったんですね。

いつもの軽妙な調子で始めるのは怪談噺?「番町皿屋敷」?その前に皿屋敷伝説は全国にあるという蘊蓄を語ってくれました。江戸時代に播州皿屋敷という歌舞伎浄瑠璃根多が作られて、それが今でも残っているとの事です。

そして番町の青山鉄山の屋敷で、奉公人のお菊が主人の横恋慕を断って、預けられた10枚組の皿が一枚足りない。それを口実に折檻されて井戸に放り込まれた。「うらめしや〜青山鉄山、一枚、二枚・・・・・」 と、そこまでがこの噺の前半で、後半はいつも聴き慣れた『お菊の皿』に移ってゆきました。

ここからは兼好節炸裂で、くすぐりいっぱいの『お菊の皿』です。そして最後はお菊が酔っぱらって出てくるあたり、兼好さんの楽しい改作も見られました。

仲入りがあって、笑助さんの二席目。根多出し演目は『八尾ゴリラ』。初めて聞く根多です。そうでしょう。江戸でこれを演るのは勇気がいる?でも思い切って演ってしまいます。

やはりこれは新作根多で、舞台が大阪市の東の東、奈良県との県境に近い八尾市です。そして八尾市というのは「河内音頭」の発祥の地ということでした。そして出てくる地名があまり江戸では馴染みのない地名。だから東京ではあまり演らないのか。。。

とにかくゴリラによく似た八尾市民の男が、ゴリラと間違えられて捕えられて天王寺動物園で8年。そして逃げ出して八尾市に戻って河内音頭の踊りの輪の中にいた。という、本当のような嘘の話でした。

上方ではここで河内音頭の鳴りものが入るということなので、本場で聴いてみたい噺ですね。

そして50回目の夢吟坊寄席も無事終了。そして笑助さん、山形ライフをお楽しみください。

「三遊亭兼好独演会」高円寺ちとしゃん亭 10月28日(月)

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今日は楽しいちとしゃん亭、贔屓の三遊亭兼好師匠の独演会です。兼好師匠はつい先週23日にも深川江戸資料館で見ています。今日はもっとこぢんまりしたちとしゃん亭です。

天気が良かったので高円寺まで歩いて、少し時間調整して19時頃に入りました。開演は19時半です。着いたら東京ガールズの柳家小糸さんが迎えてくれました。普段の洋装だったので今日の出演はなさそうです。訊いたら柳家紫文師匠が開口一番との事です。

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席に着いて待つ事暫し、いつしか満席になりました。そして紫文師匠が登場です。
まずは象牙の三味線の撥を見せてその後、小さな撥に取り替えてまずは『木遣りくずし』。でもやっぱり大きい撥の方がやりやすいと、次が『深川くずし』。いつもはお馴染みの「長谷川平蔵」なのだが今日は何だかいつもと違います。

続いて新作の都々逸。しかし新作というのはすぐに忘れてしまうそうで、メモを確認しながら披露してくれました。これは寄席では見る事のできない光景。でも面白ければ全てよしです。そして長谷川平蔵をやろうかどうかと言うと、やってくださいとのリクエスト。そこでさらに3題演って次へ交代でした。

次に本命の三遊亭兼好師匠が出てきました。いつもの軽〜い調子で始まりました。何だか今日はちょっぴり下根多が出てくる。そんなマクラの後始まったのが『浮世床』でした。この噺は例によっていくつもの小咄部品の組み合わせでできているもので、今日は何の話が出てくるのかな?

出てきたのはヘボ将棋と夢の逢瀬の話でした。それにしても半ちゃんは長〜夢を見たものです。そして夢の中の濡れ場で「半ちゃん何か食わねぇか」。

そこで10分の仲入りがあって兼好師匠の二席目。今度は『干物箱』でした。これは先代の黒門町の桂文楽の得意根多でした。そも若旦那のイメージは兼好さんとうまく重なります。兼好さん独自のギャグも交えて、トントントントンと進みました。本当に兼好さん絶好調ですね。

この後はお楽しみの打ち上げ。今日は打ち上げまで残る人はいつもより少なめです。兼好さん、普段着に着替えてと思いきや、着物を着たまま。首にタオルを掛けている。訊いたら今治産だそうです。そりゃあ良いもんだ。ってぇ調子で酒も進んで、23時を回ったところで退散しました。

入船亭扇辰・三遊亭兼好 気が合う二人 深川江戸資料館 10月23日(木)

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雨がほとんど降ってなかったので門前仲町から歩きました。清澄通りから江戸資料館のある通りへ入ると、古い商店の商店主から声をかけられました。面白そうな店なので入ってみると、先程兼好さんが前座を引き連れて立ち寄ったそうでした。江戸資料館で出演する芸人さんもよく立ち寄るそうです。

開演が19時で30分前に到着。既に開場していたので入って席に着きました。席は最前列の右端でなかなか良い席です。客足は今ひとつ、半分くらいかな。

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そんな中開演。開口一番は雷門音助さん。雷門の亭号は珍しい。芸協に3人いるだけです。たぶん助六師匠のお弟子さんなんでしょう。そういえば先代の八代目助六師匠の操り人形踊りを思い出してしまいます。

それはともあれ音助さんの演目は『たらちね』。うん、いい声している。美声だ。聞きやすい。しかしまだ現代っ子の語り口が残ってる。これからの進化が要期待ですね。

続いて入船亭扇辰師匠です。「からかさ」の出囃子に乗って口をへの字に結んで上がってきました。一回り会場を見回していきなり、ドンドンドンドン「先生っ!いるか!」。どうやら『野ざらし』のようです。

扇辰さんの『野ざらし』は何度か聴いたかな。特に6、7年前の鈴本のトリの時の熱演が記憶に残っています。今日は最後の幇間が出てくるところまで聴かせてくれました。サゲも古風に「新町の幇間(たいこ)。しまった馬の骨だった」でした。まだもう一席あるためか、ずいぶん軽目の『野ざらし』でした。それにしても扇辰さんは古いスタイルをしっかり守りますね。

そして三遊亭兼好師匠です。今度はにこにこにながら出てきました。その前とえらい違いです。軽いなあ。
マクラではタイトルの「気があう二人」の因縁について話してましたが、兼好さんは五代目圓樂一門ということで、前座時代に初めて他の協会の仕事をもらったのが扇辰師匠だったそうです。ご両名ともちとしゃん亭でもお馴染みです。

そして演目は『茶の湯』を軽〜く、をかしく。また噺もこんな噺だからますます軽くなります。でも青きな粉はまだしも、ムクの皮というのが現代人にはイメージできない。だからと言って洗剤を入れる訳には行かないでしょう。それにしても不味いと思う。

そこで仲入りがあって再び兼好さんの登場。お後の扇辰師匠が大根多を仕込んでいるので軽く演ります、と。
今度はあまり聴いたことのない噺。あとで出ていた演目表では『日和違い』。調べると上方の噺でした。桂枝雀師匠の根多だったそうです。上方でも珍しい噺とのことです。

易者の嘘にのせられて傘をささずに出かけて雨に降られる噺です。文句を言うと易者は駄洒落で逃げ口上という具合でした。

そして最後が扇辰師匠の二席目、今度は短いマクラがありましたがすぐに本根多へ。演目は『竹の水仙』でした。場所は尾張の国鳴海の宿です。

名工左甚五郎の東下りの道中の話で、甚五郎先生長逗留の出来事と、花入れに入れると花を開く竹でできた水仙の話です。
これを時間無制限でゆったりと聴かせてくれました。そしてハネたのが21時半。

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外は大雨ではと心配しながら出たのだが、幸い降っていなかった。ほとんど傘をさすことがなかった。普段の行いの違いかな。。。

「あったか落語ぬくぬく」兼好・鯉昇・市馬 成城ホール 7月30日(火)

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「あったか落語ぬくぬく」、何とも今の季節にそぐわないキャッチコピーの落語会です。汗びっしょりになって辿り着いた成城ホールで更にぬくぬくになるのか!でもこういうへそ曲がり的企画が大好きな小生は、迷う事なくチケット予約してしまいました。

夕刻の成城ホールは夕立前、雲行きが怪しい。そして蒸し暑い。そこに少し早めに到着しました。やがて開場して分厚いチラシの束を受取って、座った席は前から三列目の右半分の席。なかなかいい席です。噺家さんと目が合う席です。

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開口一番は柳亭市助さん。市馬師匠の四番弟子です。泥棒の話から入って、演目は『出来心』でした。結構笑いました。

続いて三遊亭兼好さん。まずは挨拶口上で「あったか落語ぬくぬく」の釈明。冬場ならよいのだが、今は確かに季節にそぐわない。軽妙なギャグを飛ばしながら、何やら色っぽい話になってきた。演目は『宮戸川』でした。
この噺は女が男を追いかける逆ストーカー的な噺で、濡れ場でプチっと話が終わってしまう。初めて聞いた人はきっと満たされない想いが残ります。

なぜ「宮戸川」なのかというと、この噺には続きがあり、そこで宮戸川が出てくるのだが、今そこまで聴かせてくれる事はほとんどありません。いつも濡れ場で話が終わります。兼好さんもそうでした。

そして次が瀧川鯉昇師匠です。「あったか落語ぬくぬく」とはまさにこの人のためのキャッチコピーのようです。兼好さんのリズム感のある調子から、打って変わってこのまったり感は何だ。長〜〜い休憩と思って聞いてくださいですって。

そして入った噺は『蛇含草』。ゆつくりゆったりのペースです。そして餅を食い過ぎて苦しそうな場面も軽目でした。もっともこの演技が真に迫り過ぎると、聴いてる方も気持ち悪くなってしまいます。

仲入りがあって最後が柳亭市馬師匠です。あと一人、宜しくおつきあいお願い致します。その後すぐに本根多で『らくだ』でした。

同じ月に同じ噺を聞くことはよくあるが、今月は『らくだ』月間です。1週間前にも池袋演芸場で、古今亭菊之丞師匠の通しの「らくだ」を聴いたばかりです。でも今日の市馬師匠のはかなり雰囲気が違いました。なぜか明るい屑屋にあまり恐くないらくだの兄ィ。深刻になり過ぎずコミカルな展開です。

市馬師匠のお得意のノドでかんかんのうを唄うのかなとという期待。でもこの噺の展開ではそうはゆかない。大家さんのところでは、屑屋も嫌々唄わなくてはならないのでした。

でも漬物屋から菜漬けの樽をもらってくる場面では、屑屋も少し面白がってるという演出を入れていました。そして酒を飲んで屑屋とらくだの兄ィの立場の逆転の見せ場も、実に明るく演じてたのでした。そこで話が切れました。らくだの死骸を日本一の火屋に運んでゆく場面はありませんでした。

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ハネてから会場の外へ出ると雨。でも降りは弱かったので傘は刺さずに成城学園前駅に向かったのでした。

「あったか落語ぬくぬく」鯉昇・兼好・市馬 成城ホール 3月5日(火)

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「あったか落語ぬくぬく」何ともはや力の入らないネーミングです。でも力が抜ける事は悪い事ではありません。肩や腰のこりはりも立ち所に治ってしまいます。嘘です。

そんな趣向の落語会、、、かどうか知りませんが、当時要するのが瀧川鯉昇師匠、三遊亭兼好師匠、そして柳亭市馬師匠です。どの人も脱力系です。

そして開場前に成城ホールに着くと、客足もゆったり。みんなあったかぬくぬく状態でした。外は結構寒いのだが。。。

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やがて開演で開口一番は瀧川こいつ?あいつ?どいつ?どんな字を書くのかな。あとで演目表見たら、瀧川鯉津でした。

名前を見れば鯉昇師匠のお弟子さんである事は一目瞭然です。かなり奥手の入門ではないのかな。最近の前座さんは30代なんて当たり前のようですから。

話し始めると結構聞きやすい口調です。もうすっかり場慣れしている印象でした。そして演目は『熊の皮』。融通の利かない甚平さんが出てきました。

続いて柳亭市馬師匠がにこやかに出てきました。客席からは唄を催促するような拍手が。でもそういつも唄ってる訳にはゆかないようです。

クラでは二八蕎麦の話しが出てきて、観客には『時そば』と思わせておいてするりと『うどん屋』に入っていったのでした。粋な「そば〜〜〜い」という売り声から、ちょっと間の抜けた「な〜べや〜き〜〜〜うどん」。でもやはり良い喉しています。同じ話を何度も繰り返す酔っ払いをたっぷり演じ聞かせてくれました。

続いて三遊亭兼好師匠。今度はマクラから軽妙なギャグが炸裂します。そして入った噺が『崇徳院』。それも実に兼好流のくすぐりがたっぷりで、笑いの絶える事がありません。笑っているうちにすっかり体の力は抜けていました。

15分の仲入りがあって、最後が脱力系のエースとも言える瀧川鯉昇師匠です。高座に上がって深いお辞儀をしてから、隅から隅まで客席を見回して話し始めます。

よく聞いていると、この人も兼好さんとはまち違った趣味で、独特のくすぐりを入れてきます。そして入った根多が『長屋の花見』ですが、いつも聴いている『長屋の花見』ではありません。かなり手を加えています。

大家さんに呼ばれたことで、長屋の住人が何で呼ばれたのだろうかと詮索を始める。このくだりが実に長かった。大家さんのところの猫を食べちゃったことかな。。。さらっとさりげなく凄い事を言いますね。

その後大家さんのところへ行ってからは、いつもの『長屋の花見』でした。それでも時間配分として、上野の山の花見の席の描写はかなりあっさり目でした。そしてサゲは独自のものを仕込んでいました。

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ハネたのは21時を回っていました。しかしこの時間になってもあったかぬくぬくの人もかなりいたようで、この独特の空気に浸っていました。