「堀之内」 健脚なる粗忽者

もともと落語は笑うためにあるものですが、この噺位笑いの多いのも珍しいかもしれません。
今は亡き古今亭志ん朝のCDでは30分位の噺ですが、最初っから終いまで笑いっ放し。笑い疲れました。こんな粗忽者がよく生きていられるものと思いつつも、そこを最後まで聞き手を白けさせずに語り抜くのは、ひとえに志ん朝のリズム感で聴かせる巧みさと言えましょう。071010ososhi02.jpg

もともとこのお祖師様のご利益は厄除けですが、各種祈願も受け付けるとあります。しかし粗忽を治すためのお参りというのも笑ってしまいますね。
笑った後落ちついて考えると、この噺の主の粗忽者は凄い距離を歩いているのです。少なくともJR中央線も総武線も無かった時代ですから。
そこでその足跡をたどってみると。

神田~両国           2km 行き先を間違えた
両国~浅草           2km またまた違うところへ行った
浅草~神田           3km 元に戻ってしまった
神田~新宿~高円寺  12km ようやく目的地へ
高円寺~新宿~神田  12km あっという間に帰宅
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計                  31km そしてそのあと金坊を連れて湯屋へ

堀之内の金比羅様ではない、水天宮様じゃない、不動様でもないお祖師様と言いながら神田、両国、浅草あたりをうろうろしてから、行き先は何と新宿を通り過ぎて高円寺の近くの杉並区の妙法寺なのです。そこを往復しています。
志ん朝はその道中を一瞬でワープしました。
いくら分析して実地検証して非現実的と言っても意味ありません。落語なのですから。

そこで私も歩いてこの妙法寺を訪ねてみました。神田ではなく下北沢からです。神田より近いですが7km位、それでも1時間以上かかりました。

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場所は環七沿いにあるのですが、少し奥まったところなので、何かお願い事がないと通り過ぎてしまいます。
「堀之内」の噺の中ではこの周りも門前町の様相で、お題目を唱えながら多くの人がお参りしている様子が演じられています。しかし現在では周辺にマンションありコンビニありで、時代の変化は止めようがないようです。
中へ入るとそこはまさしく日蓮宗本山、門徒向けのイベントの準備が行われていました。

071010ososhi04.gif作家の有吉佐和子の碑もありました。これは近所に住んでいた縁で、この妙法寺をこよなく愛していた事から、周囲の人達の薦めで作られたそうです。

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