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文京らくご会 雲助・白酒親子会 文京シビック小ホール 6月21日(金)

何かとお馴染みになってしまった文京シビックセンター。ここには文京区役所が入っているが大小の多目的ホールがあり、ここで落語会が頻繁に行われています。先日も「三K辰文舎落語&ライヴ」をここで楽しんだところでした。

この文京シビックセンターは東京ドームの裏にあり、JR水道橋駅からは少し歩きます。でもその26階のビルの頭は遠くからも見え、近づけは近づくほどにその豪華さに圧倒されます。

中に入ると巨大な吹き抜けのホールの周囲に、区民のための施設や様々な区の関連団体が入居しています。その2階が小ホールで今日は五街道雲助師匠と桃月庵白酒師匠の親子会です。そこに二つ目になりたての桃月庵こはくさんも加わって親子孫三代揃い踏みということでしょうか。

白酒師匠は一時期ちとしゃん亭でもお馴染みで、いろいろ話をしたこともあります。最近は一気に三人もの弟子をとって輝いていますね。

開演20分前の18:40に開場で座った位置は中程の上手側。見ると舞台前に補助席が配置されているので400席以上。かなりチケットもよく売れたのではと予想されます。そして開演前にはほぼ9割位の入りになっていました。

そして開演で開口一番は桃月庵こはくさんです。そこで今日の番組がひっくりかえるかもしれないという話。どうやら雲助師匠がトリをやりたがらないという話。そうなると親子の順番が入れ替ることになります。ま、もこういう落語会って何か話題になるようなハプニングがないと面白くありません。そんなことを話しながら、演目は『たらちね』でした。

続いては白酒師匠が出てきました。やっぱり順番が白酒→雲助→雲助→白酒となるようです。元気よく始まったのが吉原の話、「三枚起請」かなと思ったがそうではなさそう。『お茶汲み』でした。これは客と花魁の化かし合いの話。面白い割りには、あまり聞くことのない話ですね。

次が雲助師匠、希少価値のあるものに馬鹿高値がつくというマクラから、若旦那の原因不明の患い。でも恋煩いではなく、夏の暑い盛りに蜜柑が食べたくてたまらなくなって患ったという、極めてシュールな話。『千両みかん』でした。

この話サゲがどうだったのかなと忘れてしまっていたが、若旦那の食べ残した3袋、全部で10袋だったから300両分。これを持って番頭が失踪した。理屈としてはわかるのだが、ちょっと無理のあるサゲです。

仲入りがあってロビーへ出ると、主催者のオフィス10の主催する落語会のチケット販売していました。見ると随分先のものもある。そん中から鬼に笑われそうな来年2020年1月のものを買ってしまったのでした。

そうこうしているうちに後半です。幕が開いて出囃子が何となく怪談風です。雲助師匠は圓朝根多も得意なはずなのでこの手のものが出てくるのかなと思ってたら、泥棒の話。ちょっと足元をすくわれた気分。演目は『夏泥』、季節にふさわしい噺でした。

今日のトリは白酒師匠。親が先に上がり、子が最後という塩梅です。そして孫は高座返し。今日は前座がいないから二つ目のこはくさんが前座の役割を粛々と勤めてました。

そして白酒師匠、またまた元気よく始まったのが『笠碁』でした。これは先代柳家小さん師を思い出しますが、動きの少ない静かな噺という印象です。でも白酒師匠が演るとやはり賑やかな演出になるのでした。それにしてもやることの少なかった昔、退屈さの伝わってくる話です。

そんなことでハネたのが21時過ぎてたでしょうか。今日は東京ドームでは巨人対ソフトバンクのプロ野球。これも一緒にハネると帰りの電車が怖いと思ってたが、大丈夫なようでした。でも相変わらず東京ドーム周辺は夜が更けても人通りが多い。なので文京シビックセンター脇の地下鉄南北線入り口に逃げ込みました。

歌舞伎鑑賞教室「神霊矢口渡」国立劇場 6月16日(日)

毎年6月7月の国立劇場では歌舞伎鑑賞教室というものが行われます。これはまだ歌舞伎に馴染んでいない初心者向けに、若手の役者たちがいろいろ解説してくれるという特典付きです。上演されるのは有名な演目の一場面だけですが、これで歌舞伎への興味を持って、劇場へ足を運んで欲しいというものでしょう。チケット料金も安いです。

ということで今年6月の演目は『神霊矢口渡』の中の「頓兵衛住家の場」です。この作品は明和7年(1770年)に人形浄瑠璃として上演され、その後歌舞伎化されたものということですが、の作者は福地鬼外、それはペンネームで何と平賀源内だそうです。

平賀源内という名前は江戸時代の発明家として知られているが、劇作まで手がけてたというのは驚きですね。レオナルド・ダヴィンチにも相当する多能多芸な天才とも言えた人なんですね。

時代は鎌倉時代と室町時代の狭間でもある南北朝時代。新田義貞の息子、新田義峰が主人公として出てきます。その義峰というのは実にいい男、イケメン。それに一目惚れしたのが兄義興の仇、渡し守頓兵衛の娘お舟という展開です。

さて今日は嵐の後の好天気。昨日夜中の雷なんて嘘のように晴れ渡り、爽やかな暑さです。いつもの歌舞伎鑑賞教室では、中学生や高校生などが団体で来ていると、入場前の路上から話し声で賑やかなことこの上ありません。そして入場したら劇場中に数百人のお喋りが響き渡ります。

でも今日はちょっと様子が違う、バスで現れた団体は若者ではなく、どこかの敬老会のような人たちかな。なので団体とは言え比較的静かなものでした。

やがて開演で、いつもは拍子木に太鼓にお囃子で始まるはずなのに、いきなりラップが聞こえてきました。そう言えば普通の緞帳が上がりで、定式幕ではありません。

舞台に登場したのが中村虎之助(成駒屋)さん。今月の歌舞伎入門の解説担当です。そしてこの後幕間を挟んで、新田義峰役で登場します。舞台の中央に立っつと舞台が廻り始め、セリも上がってぐるっと1周して、解説が始まりました。

まずは歌舞伎の舞台の紹介。廻り舞台にセリ、そして下手にある黒御簾その中で今日の場面、矢口渡の河辺の音を模した太鼓の演奏。などを披露。続いて上手を指差すと義太夫と竹本が二人出てきました。

続いて会場から有志二人が呼び出されて舞台へ上がりました。二人とも女性です。何をやらされるのかな??舞台上手のツケのパチパチという音に乗って動き回るという体験。そして見得を切る動作。そしてホンモノの女性に女形の所作。そして最後は電動式の船に乗って花道を走って下りてゆきました。

この後江戸時代からタイムスリップして平賀源内(中村いてう/中村屋)さんが登場、けったいな箱を持ってます。これがあのエレキテルだったのです。そして次が今日の物語のあらすじ、『神霊矢口渡』の説明に入りました。そこでちょっと注目してくださいと言われたのが、娘お舟(中村壱太郎/成駒屋)が最後に太鼓を打つ場面の動作。これが「人形振り」という演出ということです。

もともと人形浄瑠璃から始まった作品なので、この最後のクライマックスの場面での感情の高まりを、元祖の人形の動作で表現するという趣向です。初めて見るものでした。

最後に舞台の写真を撮ってSNSで発信してくださいということで、この時だけは禁断の写真撮影が許可。会場から一斉にパチパチパチとシャッターの音。さてどれだけSNSに発信されてるのでしょうか。

20分の幕間があっていよいよ始まりました、「頓兵衛住家の場」。この場面に来るまでに、主人公の新田義峰(中村虎之助/成駒屋』の兄。新田義興が、竹澤監物と渡し守頓兵衛(中村鴈治郎/成駒屋)のだまし討ちにあって討ち死にするという前置きがありました。

新田義峰が連れの傾城うてな(上村吉太朗/美吉屋)とともに、その仇の頓兵衛の住家に現れて、娘お舟と顔を見合わせたその瞬間、お舟が一目惚れでよろめく。これが会場の笑いを誘っていました。それで宿ではないはずなのに義峰の一行を泊めてしまうのでした。それにしても壱太郎さんの娘役って、いつも本当に可愛いのです。

それうち泊まってる客人が義峰であることが、主人の頓兵衛にわかってしまう。そこで恋と親子の板挟みになったお舟は、結局義峰一行を逃そうとする。その時に親の頓兵衛から間違って刀で刺され、さらに打擲されながらも最後の力を振り絞って、村の囲みを解く太鼓を鳴らす場面になります。

ここで黒子が出てきて膜で覆ってお舟の着替え、いよいよクライマックスの人形振りが始まりました。お舟の両側に人形師に模した黒子が付き添い、人形の仕草で髪を振り乱すパフォーマンス、これがこの劇の見せ場です。

そして櫓に登って遠のく意識の中太鼓を叩く。するとどこからか矢が飛んできて頓兵衛の喉を突き通す。これはかつて討たれた義興の怨霊のなしたことと解説されていました。ここで幕となりました。

今日はイヤホンガイドは借りずに観ましたが、比較的わかりやすかった。中学生高校生くらいでも、十分楽しめるのではないでしょうか。

一つ誤解してたことがあります。てっきりこの劇の中に平賀源内のエレキテルが出てくるのかなと思ってたのだが、それはありませんでした。やはり芸能は芸能、科学は科学なんでするね。

開演は11時で終わったのは13時過ぎ。時間も短いから気楽に楽しめる歌舞伎観劇でした。

鈴本演芸場6月上席夜の部 桃月庵白酒主任 6月10日(月)

好天気高気温だった5月から一転梅雨入りした東京。今日は肌寒く雨が降る降る風も吹く。こんな日に好き好んで鈴本へ落語を聴きにゆきました。今日のトリは贔屓の桃月庵白酒師匠です。

この人最近ずいぶん人気が上がってきましたが、平日夜でこの悪天候でどれだけ客を呼び込めるのかな。そんな心配をしながら開場直後に入場しました。

いや、心配ご無用開演前から結構入っています。そのうちに開演となりました。そして開口一番は桃月庵あられさんですって。名前を見れば白酒師匠のお弟子さんであることは明白なのだが、何番弟子なのかな?何人もいるようで賑やかですね。

あられさん、調べると2017年8月入門で2019年1月前座デビュー、三番弟子とありました。まだ本当にほやほやなんですね。そして名前も桃の節句シリーズ。でもこの人前職がありそうです。そんなに若くはなさそう。鳥山明さんのあられちゃんとは全然イメージが違う。それにしても声がでかい!演目は『道灌』でした。

そして高座返しに出てきた女性の前座が気になりました。誰かな?ようやくわかりました。林家彦いち師匠のお弟子さんでひこうきという名前だそうな、その後も最後まで高座返しと、仲入り後幕開き前の注意事項説明を朗読していました。

続いては白酒師匠の一番弟子のこはくさん。最近二つ目になって、名前もはまぐりからこはくになったとのこと。登場したらいきなり会場から「待ってました頑張れ!」という大声。結構贔屓筋が来てるようです。この雨の中を。そして演目は『たらちね』。

あとひしもちという二番弟子がいるはずなのだが、今日は見ませんでした。調べたら5月に二つ目になりたてで、名前も白浪となっていました。

次ははダーク広和さんの手品。赤いジャケットで出てきて軽ーい手品です。緑と黄色の紐、赤と白の紐。これをいろいろ細工しながら五輪の輪を出してみたりとか。でもこの人はいつ見ても新根多を見せてくれます。

そして再び落語で、柳亭こみちさん。久しぶりに見ます。この人は前座の頃から見てましたが、芸歴を重ねるにつれて風格が感じられるようになってきました。演目は『熊の皮』でした。

続いては柳亭市馬師匠。大御所の登場です。でも今日のような早い上がりでは持ち時間も短く大根多はありません。演目は『狸賽』でした。市馬師匠をじっくり観るのは次の機会ですね。

次が林家楽一さんの紙切り。以前は紙切り芸人と言えば、先々代の林家正楽師を想い出してしまいますが当時は一人だけ、オンリーワンの世界でした。現在は5人か6人いるそうです。そういう意味で絶滅危惧種ではなく種族繁栄と言うべきか。

いつもの客席からのお題拝借。「あじさい」「梅雨入り」「韋駄天」「連獅子」など。今日は客席の乗りはいいのだが、なぜか紙切りのリクエストは静かでした。あっ、この人も言ってました。紙切り芸人にとってやりにくいお題というのは、沢山の個体を切らなくてはいけないもの。「101匹わんちゃん」「千羽鶴」「千手観音」・・・・

続いては春風亭百栄師匠。持ち時間は少ないはずなのにマクラが長い。そのマクラのテーマは10年に一人・・・。そして寄席に来てください。で、本根多はと心配したら短い創作根多で、コンビニ強盗の話でした。

そして仲入り前は古今亭文菊師匠です。高座に出てくるその歩き方がちょっと変??気取ってるとも何ともつかない、上下動の大きな歩き方。以前柳家三三師匠がこんな歩き方で出てきてたが、もっと極端です。そして語り始めたその調子も変?文菊師匠は正統派古典落語というイメージがあったのだが、それを壊そうというのかな?

確かに落語ブームの今、中堅真打は沢山輩出されて、特徴がなければいくら上手くても埋もれてしまいます。厳しい競争社会だな、なんて想像したのだが、この客席からの無責任な観測が当たってるかどうかはわかりません。今日の演目は『そば清』でした。この噺の主役の清兵衛さんの「ど〜〜〜〜も」もかなり誇張気味でした。そしてそのサゲは、客もボーッと聞いていたらわからない考え落ちでした。

そして仲入り。前座のひこうきさんの注意事項の朗読が終わって再び幕が開き、ホームランの漫才です。最近鈴本に足を運ぶと必ずと言っていいほど出てきます。

いつもテーマは無題、聞き終わると頭の中は空っぽになります。でも寄席ってそれでいいんですよね。少なくとも知識教養人格を高める場ではありませんから。

続いて古今亭菊之丞師匠です。そう言えば昨晩の大河ドラマ「韋駄天」に出るということで見ていたのだが、ちょっと用足しに行ってる間に出てしまったようです。残念。ご本人から視聴率が落ちてたとの自虐的な言葉が出たので、自分が用足し行ったのが原因だったかと、責任を感じたのでした。

それはともあれ演目は『片棒』、とは言ってもこれをまともに演ってると持ち時間が足りないはず。この話の一番賑やかな次男の祭りの場面だけで終わってしまいました。この人もじっくり聴くのは次の機会です。

そしてトリ前の彩りで、柳家小菊姐さん。「おてもやん」似の唄で始まり、大作「かえる」と「へび」と「なめくじ」の三部作を披露。あとは「さのさ」に「品川甚句」で終わりました。

どうも仲入り後は時間が押してるようで、次々と短めに終わってる感があります。それとも楽屋の立前座の時間管理が厳しいのかな???

最後のお目当、トリの桃月庵白酒師匠が出てきました。客席を見渡すと概ね席が埋まったように見える。でもその間に空いてる席もあるはずだから、6割7割位は埋まってるということか。いつもは客の入りの少ない平日夜、そして悪天候でもこの結果です。やはり白酒師匠の観客吸引力が上がってるということの証か。

あまり長いマクラは振りません。入った話は若旦那の恋煩い。「崇徳院」?「紺屋高尾」?ではない『幾世餅』」でした。若旦那とは、搗き米屋の若旦那だったのでした。これは古今亭の根多で、白酒さんもそのルーツを辿れば古今亭ですよね。恋煩い根多とはいいながら結構慌ただしい。清蔵さんの恋い焦がれる3年間がドタバタと落ち着きなく、あっという間に過ぎてゆきました。

この噺には現代のマーケティングに通ずるテーマがあります。それはエピソードで物を売るという発想。確かに見栄っ張りの江戸っ子が幾世大夫の名声に憧れて、幾世餅を先を争って買ったという心理が理解できます。

そしてハネた時に時計を見たら20時40分。仲入りの時にひこうきさんが予告した終演時刻ピッタリでした。今日は上席10日間の千秋楽です。きっと出演した芸人さんたちを待ってるのは楽しい打ち上げでしょうね。外は相変わらず雨がかなり本降り状態でした。

けんこう一番 三遊亭兼好独演会 よみうり大手町ホール 4月6日(土)

今日も贔屓の三遊亭兼好師匠の独演会です。でも考えてみるとかなり久しぶり。ここ1年落語鑑賞は月イチくらいのペースにまで落ちてたのでした。そして久しぶりに4日の鈴本から2日あけて今日のよみうり大手町ホールでした。

地下鉄の大手町駅は広い。東京メトロ4路線が地下でつながって、どこへでも移動できる。そして今どこにいるかがわかりにくい。探してるうちに読売新聞の親の入り口を見つけ、ここが正解でした。エスカレータを上がると会場前ロビーに辿り着きました。

入場して兼好師匠変わりないかな?なんて思いながら見てると、弟子が一人増えた様子です。ずいぶん背の高い前座が舞台をうろうろしている。来ている浴衣がつんつるてん。調べたら三遊亭しゅりけんという名前が出てきました。いい男じゃないですか。そうか、けん玉に始まって、じゃんけんの次はしゅりけんと来ましたか。ぜひ今度聴きたい!

そうこうしてるうちに開演が近づきました。幕が開いて開口一番はいきなり兼好師匠の登場です。陽気も良くなり、外は桜満開。年号も令和と決まり、兼好師匠の次女が大学卒業したとのことです。

そういえば兼好師匠は女房子持ちで会津藩から出てきて、三遊亭好楽師匠に入門したんですね。それから20年経過したのでした。そんないい陽気にふさわしい演目でまず『千早振る』でご機嫌伺いでした。

続いては二番弟子の三遊亭じゃんけんさん。この人は前座なりたてのほやほやの時から見てましたが、1年ぶりくらいになるのかな。前座は1年も見ないと飛躍的に成長しているものですが、この人はどうかな。確かに見違えるほどに上手くなってました。演目は『道具屋』ですが、なんだか口調が師匠によく似てきた。同じようなリズムで語ってゆきます。

そしてまた兼好師匠の二席目。マクラも短く入った話は『百川』でした。兼好師匠のこの噺、まだ二つ目の好二郎の時に聴いてます。でもあの時と比べてずいぶん演出の趣向が変わったようです。

当時はまだ圓生から継承してきた流儀のままに演じていたように思うのだが、今日は現代人にもわかりやすいようにという配慮でしょうか、古臭い部分をとことん切り落としてました。四神剣の話も出てこない、単なる祭り道具。そして鴨池先生の薬籠は薬箱でした。何だか違う「百川」を聴いてるみたい。でも百兵衛さんの「うっしぃ」はそのままでした。やっぱり「百川」は「百川」だった。

仲入りがあって後半はゲスト出演のリコーダーとギターの演奏会から始まりました。桜満開の花見の喧騒のような空気から、爽やかな草原の空気に入れ替わったようです。

リコーダーは日比健治郎さん、ギターは伊東福雄さんです。日比さんと兼好師匠は20年来の友人とのことでした。演目は『パリの空の下』『シェルブールの雨傘』など、映画のテーマ曲。そしてポールマッカートニー作『ミシェール』。それからリコーダーの起源の話。昔の英国で小鳥に歌を教えたしいうエピソードをもとに一曲。これは何の鳥ですか?その鳥は「ウソ」だったのです。ホントですか???

そしてメンデルスゾーンの『歌の翼』、そして最後が滝廉太郎の『荒城の月』で締めくくりました。主題をリコーダー、ギターの伊藤さんは伴奏に徹していました。そしてまた落語の空気に戻り、兼好師匠の三席目です。

出囃子は師匠お気に入りの「さんげさんげ」。唄入りの出囃子というのも珍しいものがあります。そして始まったのが『井戸の茶碗』でした。最後を締めくくる格調高い根多です。

これはごく正統的な「井戸の茶碗」でした。このような噺は、噺自体が重いのであまり開削や独自のくすぐりなども入れにくいのかもしれません。笑い箇所も少なく淡々と進み、だんだん心が豊かになってくような演出でした。

てなことで今日の独演会も終わりました。このような会には必ず演目表が貼り出されてますが、今日の演目表にも趣向が凝らされてました。もともと兼好師匠は漫画イラストが得意な人ですが、ここにもイラストを入れてたではないですか。まさに「けんこう一番」面目躍如の独演会でした。

次回は7月12日(金)に国立演芸場だそうです。一般発売前の特別枠ということで、早くもチケットを購入したのでした。

鈴本演芸場4月上席夜の部 隅田川馬石主任 4月4日(木)

ようやく年号も令和と決まり、桜も満開になりました。どうも人々は外でぱぁっと花を咲かせたい気分ですが、さてこんな時期の寄席の方はいかに。

今日はまたまた鈴本演芸場の夜席にお邪魔しました。今日のトリは隅田川馬石師匠です。でももともとこの上席の主任は蜃気楼龍玉師匠です。今日は休演でした。でも馬石師匠も贔屓の噺家さんなので、あたしにとっては問題なし。何だかいい高座を聴かせてもらえそうな予感です。

龍玉さんのHPコピーを見せて割引木戸銭で入場して、いつもの席に着いたが、やはり会場は寂しい。こういう時の観客は一箇所にまとまるのではなく、前後右左と適度な距離を空けて埋まってゆくものです。みんな友達がいないんだなぁ。

さて開演、開口一番は前座で林家彦星さん。調べると福島県出身で林家正雀師匠のお弟子さんとのことです。淡々とした語り口は、正雀師匠譲りなのかな。そうではなくとも前座にとって師匠は絶対的な存在で、似てくるのは仕方のないことでしょう。演目は『道具屋』で、出てくる与太郎も天衣無縫な馬鹿ではなく、頭のネジが1本2本足りないような馬鹿でした。

続いては桃月庵こはくさん。名前を見れば師匠は誰かは明白ですね。桃月庵白酒師匠。もう白酒師匠には3人もお弟子さんがいるんですね。みんな名前は雛祭りにちなんだよう名前になってます。そしてこはくさんは一番弟子のようですが今は二つ目。ちょっと変わったユニークな語り口です。演目は『代脈』で実に楽しそうに演じていました。

次がダーク広和さんの手品。今日も初めての根多を見せてくれました。片手でのカードの広げ方のうんちく。最近黙って演じるのではなく、いろいろ解説が入ります。

寄席の手品は喋りも大切なんですね。そしてこれまで手品の根多を300種も作ってきたということです。手品師としてこの数字、多いのか少ないのかはよくわからないが、でも毎回も違う根多を見せてくれるということは、多いのでしょうね。

そしてまた落語に戻って、金原亭馬治さん。ご隠居、美味い酒を飲ませろ!『子ほめ』が始まりました。最近「子ほめ」というと前座ばかりですが、たまに真打以上の「子ほめ」を聴くと、なぜか新鮮な気分です。で、馬治さんのはというと、ずいぶん粘っこい「子ほめ」ですね。でもやはり前座と比べてしまうと、格の違いがあります。やはり真打は真打というものでした。

続いても落語で橘家文蔵師匠です。登場して会場をぐるっと見回して、後ろに座ってる人を前に詰めたら、2列で済んでしまう。芸人さんにとって、客の入りは生活の糧。その辛さよくわかります。

でも客は意地悪なもの。こういう日を狙って鈴本に足を運ぶのです。こういう時に限って、年に一度聴けるかどうかの名演技に出会えるかもしれないというのが、これまでの経験値です。でも今日の文蔵師匠は早い上がりで持ち時間も限られてるんでしょう。軽い噺しかできないはず。演目は『目薬』、結構卑猥な話でした。

次がぺぺ桜井さんのギター漫談。何とも賑やかな紋様のジャケットを着てギターを抱えて出てきました。JRの駅の発車オルゴール。駅によってみんな違います。それを一通り聞かせてくれました。

再び落語に戻って柳家喬太郎師匠です。今や人気者でなかなかチケットも取れなくなってきたキョンキョンだが、こんな鈴本の寄席にも出演してるのです。ところで近くで見るとずいぶんダイエットしたようですね。一頃この人太り過ぎでヤバいよ、と心配したこともあったがもう安心して見ていて大丈夫ですよね。

そして演目は『宮戸川』でした。何でも呑み込んでしまうウワバミのような叔父さんの手にかかって、半ちゃんお花のカップル一丁上がり。でもこの先台本が破れての言い回しはありませんでした。

そして仲入り前は五街道雲助師匠。やはり上席の主任の蜃気楼龍玉師匠も、今日のトリの隅田川馬石師匠も、この雲助一門で、師匠はその引き立て役に徹しています。そして今日の演目は『辰巳の辻占』でした。

この噺、2月に国立演芸場の鹿芝居の根多だったのだが、普段あまり聞くことがありません。なぜなのかな?面白い面白くないというよりも、聞き手にとって話の筋道をイメージしにくいところがあるようです。なのでボーッ聞いてるのではなく、少し構えて聴いたのでした。

仲入りがあって後半になる前に、前座が出てきてお客への注意事項の朗読。いつもの携帯の電源を切ってください云々です。そして幕が開いて漫才のホームランの登場。この二人は筋書きのあるネタというよりもかなりアドリブで話すようです。

そして今日の客席には三列目中央に若いノリのいい男女のグループが来ていたので、いじり始めました。そして時計を見て時間ということで下りていったのです。

次は落語に戻って、今日は柳家甚語楼師匠です。始めたのが『猫と金魚』「猫金」です。この噺は今は亡き橘家圓蔵師匠のお気に入りでお手の物だったのが想い出されます。とにかくこの噺の聴かせどころは、ピントの狂った番頭さんのやりとり。圓蔵師匠のは何とも言えないをかしさがあったが、今日の甚吾楼師匠も負けてはいません。ナンセンスさを競っていました。

そしてトリ前のヒザは林家正楽師匠の紙切り芸。まずはいつものとおり「相合傘」でのご機嫌伺いで始まりました。そして客席からのお題は、「桜並木」と「端午の節句」でした。

最近聞いた話で、紙切り芸人さんにとって一番悩ましいお題は、「101匹わんちゃん」と「AKB48」だそうな。確かにこれを切っていると、年を取ってしまいそうです。今日は「欅坂46」をリクエストしようかと思ってたが、言い出す勇気はありませんでした。

そして今日のトリは隅田川馬石師匠です。本来の主任の蜃気楼龍玉師匠は弟弟子で、今日は休演。どこか別のところでお座敷がかかってるのでしょうね。会場を見渡すと客の入りはちょうどいいとのことです。そのココロが何とも切ないものでした。

要は客の入りが本来の主任の龍玉師匠より多いと、龍玉師匠にとって何のための主任なのかということになる。逆に大幅に少ないと、代演とはいえこんなのをトリに起用した意味がないということになる。少し少ないのが丁度良いそうです。でもあたしは密かに期待していた。今日の馬石師匠は記憶に残る名演技を聴かせてくれるのでは、と。

始まったのが恋煩いの話。最初は「崇徳院」かなと思ってたがそうではない。搗き米屋の若旦那が、吉原の傾城の花魁に恋をした、ということで『幾世餅』でした。この噺は古今亭の噺の代表格。まさに得意芸のつぼにはまったような熱い演技です。比較的クールだと思ってた馬石師匠が、ここまで熱のこもった演技を聴かせてくれたというのも嬉しい誤算でした。

やはり平日の鈴本演芸場の夜席には福がある。パラパラと空席の多い会場で聴く記憶に残る名演技。何度も何度も寄席に足を運ばなくては出会うことのできない幸運。今日はそんな気分でした。

三遊亭鳳樂独演会 国立演芸場 3月29日(金)

もう3月も月末日、とは言ってもあと2日あるが休日なので、今日が実質の月末日です。そして多くの企業の期末日でもあります。さらに何と言っても平成最後の落語会なのでした。

そんな日なのですが、会場の国立演芸場に着くとロビーには人が溢れていました。でも考えてみると鳳樂師匠のファンは年配者が多いので、もう期末日月末日なんて関係ない人が大部分なのかもしれません。そういう自分も半分そうでした。

すぐに開場で入場して着いた席は中央ブロックの前から3列目。前に福禄寿様さえ来なければいい席です。そして待つこと暫し開演です。開口一番は三遊亭鳳月さんでした。

鳳樂師匠最後の弟子ということで、二つ目になった今でも開口一番を務めて、高座返しもしなくてはなりません。でも羽織は着て上がってきました。白っぽい薄色の羽織ですが、何だか徹夜明けみたい。ヘアスタイル変えた?でもやはりこの人はもともとステージ慣れしていたもので、落ち着いた口調で携帯の電源を切ってくださいと、言ったあと泥棒の話に話題を振ってゆきました。

でも泥棒の話といいながら、出てきたのは八っあんと大家さん、何の話かな?そのうちに造作のない部屋に絵を描いてもらう。『だくだく』でした。

続いては三遊亭鳳志さん。焼き餅をこんがり焼くところから入った噺は、『悋気の独楽』でした。この人も真打になってもう10年は経ってるのでは。そろそろ飛躍する姿を見たいですね。何と言っても同郷の噺家さんなので、親近感も違います。

そして「正札付」の出囃子が鳴って三遊亭鳳楽師匠の登場です。今日は二席の根多は根多出しされています。まずは『町内の若い衆』。仲入り後の「鼠穴」が長いので、まずは軽い根多でご機嫌伺いでした。

そこで10分の仲入りがあり、2階のロビーに出ると相変わらず打ち上げの受付をしていました。今日は参加せずに帰る予定でしたが、受付簿を覗くと結構集まってるようです。参加したい気も半々なのだが、来る前に腹ごしらえしてしまったのでした。

そして鳳樂師匠の二席目の『鼠穴』が始まりました。まずは師匠の着物に注目。茶色の結城は圓生大師匠のお内儀さんの着物を仕立て直したとのことでした。人情噺を演る時によく着用するとのことです。今日の「鼠穴」の根多に合わせて用意したものでしょう。

江戸名物の伊勢屋稲荷に犬の糞というだけあって、伊勢屋という屋号はあちこちに沢山あった。あまり沢山あって紛らわしいから、主人の名前と組み合わせて、伊勢Xなんというのも現れる。伊勢丹はその典型だそうです。

そしてもう一つの江戸の名物は火事です。「鼠穴」はお店と火事の話です。さらにもう一つ仕込まなくてはならないのが、夢は五臓の疲れ。全くの死語で、「鼠穴」の話の中でしか聞いたことのない謂れですが、この噺のサゲがわかるためにはこれを仕込んでおかなくてはならないのです。

田舎での親の身代を継いだ兄弟の話、弟の竹次郎が身を粉にして成功した後に兄を訪ねて飲み明かし。泊まった寝床で見た長〜い夢。その夢の中に出てきたのが江戸名物の火事でした。一気に財を失い、娘を吉原に身売りして受け取った50両を掏摸に盗み取られ、吾妻橋から身を投げようとして目が覚めた。夢は土蔵の疲れという塩梅でした。

やはりこのような噺にこそ鳳樂師匠の持ち味を存分に楽しめます。ということで平成最後の落語会を締めくくっていただきました。

弥生の一人看板 蜃気楼龍玉 国立演芸場 3月13日(水)

今日の公演はちょっと変わった趣向です。かねてより三遊亭圓朝の作品の口演にこだわりを持っている蜃気楼龍玉さんが、『緑林門松竹(みどりのはやしかどのまつたけ)』という演目を通し口演で語ります。

五街道雲助一門にはユニークな高座名とユニークな芸風の人が目立ちますが、蜃気楼龍玉さんはその最たるもの。圓朝作の長講に挑戦をする中、今日聴かせてくれるのが圓朝初期の作品である「緑林門松竹」です。

今まで聴いたことのない噺でしたが、調べるとこれを高座に掛けていたのは昭和の名人と言われた林家彦六師、六代目三遊亭圓生師が双璧だったとのことです。先日亡くなった桂歌丸師匠も手掛けてたのでは?とググってみたが出てきませんでした。残念。

開場前に国立演芸場に着くと入場待ちの人で1階ロビーは人で溢れていました。龍玉さんはまだテレビにも出てこない中堅真打のはずだが、もうしっかりと自分のファンを掴んでるようです。それもミーハー的な落語ファンではなく、年配者が多いのです。

入場して着いた席は最後部から1列前。でも国立演芸場はそんなに広い会場ではないので、演者の顔の見える距離です。もっとも前列に福禄寿が来なければの話ですが。そして会場は7、8割の入りです。

しかしいつもの定席とは何か雰囲気が違う、下座からのお囃子は聞こえてこない。静かなものです。前座もいないようです。やがて二番太鼓が鳴って、すぐに開演でした。

今日は龍玉さんが仲入りを挟んで前半後半、約2時間たっぷりの独り語りです。開口一番の前座も出てこず、いきなり龍玉さんの本番が始まりました。そして侍が刀を手にした試し切りをしたくてたまらなくなるという話。マクラから何やら物騒な話が出てきます。

そうです今日の噺は実におどろおどろしいもので、殺し、殺し、殺しの連続なのでした。解説によれば龍玉さん芸の力でどれだけ人が殺せるかという挑戦だそうです。そして芸が生ぬるいと聴いてる観客にとって殺しが、殺しのように見えないとのこと。そして本ネタでは刀ではなく、「蒼白譽石(そうはくよせき)」という恐ろしい毒薬が次々と人を殺すのでした。

とにかくこの噺、登場人物に善人はいません。出てくる人物全てに悪人の所業。まあ圓朝作の長講はおどろおどろしいものが多いのだが、これは極め付きと言えましょう。でもここまで悪人が次々登場すると、物語としては面白くなってきます。

この話はこれまで演ずる人によって、圓朝の原作からかなり改編されたり、演題もずいぶんいじられたようです。そして今回のも本田久作氏による脚色とあるので、龍玉さんに合わせて話も構成されてるようです。

前半仲入りまでは「新助市譽石を奪う」の話が続き、医者の秀英の妾のおすわと息子と駆け落ちをして、その二人から仇討ちを返り討ちにして、手入れを受ける場面で終わりました。さあ、新助市はどうなったのでしょうか。。。

仲入りの後は場面が変わって、女占い師としてまたかのお関が登場します。そしてそのお関が惚れた小僧平吉が後半の主人公。そして無事生き延びた新助市も登場してきましたが、お関に毒殺され60両奪われる。

さらに「平吉天城に乗り込む」の場面もありました。ここで天城の道場に乗り込んで、またしても譽石を使って一門を含めて大量殺人。最後は平吉もお関に毒殺されて、お関も自分で譽石を舐めて死ぬというサゲでした。

でも調べるとこの話はまだ先があって、原作では平吉もお関もまだ生きていて「田舎の惨劇」という場で常陸国大宝へ行き、そこでまた譽石を使って村民を大量に殺害。

最後はこの二人服毒自殺という筋書きとのことですが、ここまで演ると2時間では収まりきれないのでしょう。この噺の原作は圓朝の口述速記のみということなので、以後に口演する演者にとっては改変の自由度の高い作品なのかもしれません。

聴いているといつの間にか、演じている龍玉さんが見えなくなって、圓朝ワールドに包まれるような気分でした。救いがない話、でも面白い。こんな今日の国立演芸場、蜃気楼龍玉独り語りのひと時でした。

如月の三枚看板 喬太郎・文蔵・扇辰 銀座ブロツサム中央会館 2月20日(火)

どうも最近落語会を追いかけるのが面倒になってきて、入船亭扇辰師匠の席が多くなってしまった。それに伴って橘家文蔵師匠にもよくお目にかかります。今日はそれに加えて柳家喬太郎師匠でした。場所は銀座の外れの銀座ブロッサム中央会館です。

ここは何度か来ています。そして今日の落語会は毎年1回ずつで10年続いているそうです。開場時刻前に来たらやたら人が待っています。

最近このお三方人気が上がって、集客も好調のようです。入場するとこの二階席のあるホール(定員900名)がほぼ満席になる勢いです。凄い!

一階の中程の席に着いたら直前の席だけが空いている、でも何となく嫌な予感。どんな人が座るのか?座高の低い弁天様ならいいのだが、座高の高い福禄寿様みたいなのが来たら最悪と思ってたら、来たではないですか、福禄寿様だ!周りの人と比べても10センチ頭が飛び出てるのです。

そして開演で開口一番は前座の橘家門朗さん。なかなかよく通る声です。調べたら橘家文蔵師匠のお弟子さんで、まだ文左衛門時代に入門していたとのことです。演目は『道灌』でした。

続いては柳家喬太郎師匠。最近特に活躍が目立ちます。また古典と創作と二刀流もこの人の特徴、さて今日は。東京駅で出会ったチンピラの話から入っていったのが極道の話でした。

聞いたことのない話で、終演後の演目表には『小政の生い立ち』とありました。調べるともともとは清水次郎長外伝の講談根多で、落語としてこれを演るのは喬太郎師匠だけのようです。ちょっとキョンキョンとしては毛色の違った噺ですね。

次が入船亭扇辰師匠です。いつも扇辰師匠を聴いてるのは小ホールのような狭い会場が多かったのですが、これだけ広い会場では声のトーンが違います。大きく響かせるような調子で話していました。

昔のインチキな見世物小屋の話をいくつか。この見世物小屋というと、期待するのが源頼朝公のご幼少の頃の髑髏だが、これは出てきませんでした。

さてそこから入ったのが『一つ目の国』。江戸から北に百里ってぇと、栃木県の宇都宮を通り越した那須のあたりなのかな、ここに一つ目の国がありました。何となく落語っぽい夢のある噺でした。昔の志ん生の録音が残ってますね。

さて15分の仲入りで、残るのは橘家文蔵師匠です。出てきてから客席を見渡したら今日は大入り!実に嬉しそうです。気合も入ることでしょう。

武士鰹大名小路生鰯茶店紫火消錦絵火事に喧嘩に中っ腹伊勢屋稲荷に犬の糞。から始まって江戸の名物の中の火事にまつわる話。「富久」「火事息子」などいくつかあるが、どうやら『鼠穴』のようです。

最近文蔵師匠に出会う時には人情話が多い。昨年末も「芝浜」を聴かせてもらいました。しんみりとした時間が流れます。お店の旦那である兄と、3年間頑張って3戸前の蔵と間口5間半の店を開いた弟の竹次郎。兄の店に行って一緒に飲み崩れた後の竹次郎の長〜い夢。悪夢。広い会場もすっかり文蔵ワールドに浸っていた感がありました。今となってはわかりにくい「夢は土蔵の疲れ」もそのままでした。

ハネてから会場の外に出るのがこれが大変。900人のホールがほぼ満席だったから、人の波をかきわけて出なくてはなりません。またその前に貼り出された演目表の写真を撮らないと、ブログが書けないのです。人だかりの中、何とか無事に撮ることができました。

国立演芸場2月中席 鹿芝居「嘘か誠恋の辻占」2月11日(月)

寒い!立春を過ぎてそろそろ春の気配と思ってたら、超号泣の寒波襲来です。今日は国立演芸場2月中席恒例の鹿芝居です。今日は初日なのでした。さて何かハプニングの起きそうな予感です。

今日は三連休最終日で月曜だが休日。そのせいか満員御礼が出てました。めでたい事です。そして今日の鹿芝居の演目は「嘘か誠恋の辻占」ということで、「辰巳の辻占」という噺を脚色したものということです。

国立演芸場に着くと人が多い!何となくざわざわしています。そしてやがて開演。開口一番は林家彦星さんでした。名前からしていい男のようなイメージだが、出てきた彦星さん。イメージ通りでした。声もなかなかいい。演目は『牛ほめ』でした。

続いては金原亭馬久さん。この人は体も大きく存在感がある。前座の時から記憶に残ってましたが、着々と芸歴を重ねて腕を上げてるのでしょう。今日の演目は『狸札』でした。

次が金原亭馬治さん。今日は後から鹿芝居があるので、落語の方は軽目です。演目は『真田小僧』でした。

続いて蝶花楼馬楽師匠。あれ、少しスリムになったかな。でもマクラは健康の話ではなく酒の話。そこから入ったのが『替わり目』でした。

そして一度幕が降りて再び開くと漫才のハル&ヨノ??何ということはない、古今亭菊春さんと金原亭世之介さんのコントでした。今日は落語の出番はないそうです。

まずは世之介さんが紐の手品。寄席の手品でアサダ二世さんがよく演ってる根多です。その後菊春さんが歌舞伎の「助六」に扮して登場。大向こうから「成田屋」!の声がかかりました。手品と助六の取り合わせ、誰がどう見てもミスマッチなアンバランスなコンビでした。

続いては林家正雀師匠。今日の演目は『松山鏡』でした。越後の松山村の出来事で、いかにも田舎っぽく決めてくれました。

そして仲入り前最後はは金原亭馬生師匠で、演目は『稽古屋』。途中鳴物も入って艶っぽく聴かせてくれたのでした。

そこで仲入りになる前に獅子舞があります。演ずるのが先のハル&ヨノのコンビ。やはりこれがあるから落語を演ってる暇はないのです。また獅子舞と鹿芝居はセットとして組むのが慣例とのことと言ってました。

やがて二匹の獅子は客席へ下りて、満員の会場を回って祝儀をねだります。祝儀を上げた後、肩の凝る人は肩、腰の痛い人は腰、足の悪い人は足、頭の悪い人は頭を噛んでもらうと万病が治る。

多くの人は頭を噛んでもらってました。誰もがもっと頭が良くなりたい???

仲入りがあっていよいよ鹿芝居の始まり、舞台の幕が歌舞伎の定式幕に変わりました。拍子木が入って幕が開きました。今日の演目は『嘘か誠恋の辻占』。

鹿芝居といえば、「らくだ」「芝浜」「文七元結」などが定番ですが、今日は『辰巳の辻占』の話、あまり聴くことの少ない話です。そもそも落語というのは登場人物が少ないので、そのまま芝居にしても一座のメンバー全員に役は回ってきません。そのために話を膨らませる必要があるのです。

この鹿芝居は竹の屋すずめの名前で正雀師匠が脚色しているようです。この一座の馬生師匠と正雀師匠の門下の芸人さんの特徴を生かした役を作って、オリジナルの噺根多を脚色してるようでした。

でもだいたいパターンは決まってます。やはり主役は馬生師匠で伊達男の若旦那。正雀師匠は女型。でも今日は娘役専門の林家彦丸さんが来てないので、正雀師匠直々に辰巳の花魁になってました。そうやって本番に入っていったのはよいのですが、今日は初日でした。想定外の連続です。

滑ってひっくりかえって鬘が脱げたりセリフが飛んだり、でもそこは落語家の本領発揮で、失敗は笑いのアドリブで乗り越えてゆきます。転んでも只起きない芸人魂です。でもそれでいいのだ。

終わり良ければすべて良し。笑って楽しんで終わればそれで上々なのでした。そして最後は舞台からの手拭いを撒いて、三本締めで終わりました。ああ、今年も手拭いを取ることができなかった。。。。

アトリエそら豆落語会 柳亭市弥独演会6 1月27日(日)

今日の落語会会場のアトリエそら豆は、小田急沿線の祖師ヶ谷大蔵の商店街の中にあります。その商店街は「ウルトラマン商店街」として異彩を放っています。

その一角にあるカフェ。そして柳亭市弥さんも祖師ヶ谷在住ということで、典型的な近所落語会なのです。集まってくる人も多くは近隣の住人ですが、ここのママさんの人脈で東京の反対側から来る人もいます。

開場時刻に駆けつけたところ、予約を入れるのを忘れていた。まさに飛び入りだったのだが、キャンセルが出ているということで歓迎して入れていただきました。

既に店のテーブルを寄せて高座も設えてあります。もう落語会は何度も主催しているので慣れたものです。そして市弥さんも現れました。

今日は既に前のお座敷を終えてとの事です。観客も続々入店して20人程度の会場は満席です。子供もいる。まさに近所のお父さんお母さん、お爺さんお婆さん、そして子供たち。典型的な町内イベントの雰囲気の中、開演時刻の17時を回り、ラジカセの出囃子が鳴って市弥さんが上がってきました。

まずは少し高いところから会場を見回して、今日は子供さんが多いですね。と、学校落語の乗りで始めました。子供に喜んでもらえるのが与太郎の出てくる話で、始まったのが『牛ほめ』でした。まあ確かに、穴が隠れて屁の用心は喜びますね。でも秋葉さまのお札ってイメージできるかな?

続けて二席目は『千早振る』。これは子供向きであるようなないような。最近の子供は百人一首やるのかな?知ったかぶりでこれほどの講釈ができるのかな、という位長い講釈をしてました。端折らないでフルセットで聴かせてくれたのかもしれません。

そこで仲入りが入ってもう一席あります。今度は少し大きな根多を入れてくるのでしょう。それにしても今日は寒い。寒い日にふさわしい『二番煎じ』を入れてきました。

江戸時代の町内夜回りとその見張り番の話です。番屋での酒と猪鍋が出てきたときには時刻は18時を回ってました。そして後ろの調理場では名物「市弥弁当」の仕込みの音と、いい匂いが漂ってきます。そこで市弥さん扇を箸に見立てて目の前の子供に食べさせたつもり。子供もそれに乗ってたべたつもり。見ているこちらもますます腹が減ってきました。

その中で気になったのが、町内見回り係の一人の黒川先生。何度も出てきます。後からわかったのは、会場に来ている実在の人物でした。打ち上げの弁当タイムの時は隣に座っておられました。

そんなこんなでいじりいじられの「二番煎じ」も楽しく終わり、店内を現状復帰していよいよ「市弥弁当」が食べられる打ち上げです。なぜ「市弥弁当」なのか?それは市弥さんの好きな唐揚げが多く入ってるとのことです。

ワンコインの飲み物を頼んで、初笑いの乾杯してあとは市弥さんとの歓談です。聞けば出囃子を鳴らしてくれた人が生の落語が初めてとの事。よく出囃子の鳴らし方わかったな。

最近は落語のCDやDVDが多く出回ってるので、録音も含めて落語は初めてという人はほとんどいないでしょう。CDやDVDならば、今は亡き昭和の名人の芸を見ることもできます。志ん生、文楽、圓生、志ん朝、・・・何でもござれ。

でも声を大にして言いたい。やはり落語は生が一番です。演者と同じ空間で同じ空気を吸ってこそ、観客も落語の世界に参加できるのです。そんな雰囲気で今日のアトリエそら豆落語会は終わりました。