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「扇辰日和」入船亭扇辰独演会 なかの芸能小劇場 12月2日(日)

今日は先輩から誘われての落語会です。でも「扇辰日和」の名のごとく贔屓の入船亭扇辰師匠の独演会です。考えてみたらこのところ大好きな落語も1ヶ月お留守にしていたのでした。

なかの芸能小劇場は何度も来ていたのだが、久しぶりに中野駅に着いたら歩道橋などができていて、北口近辺は大きく様変わりしていました。会場の小劇場へゆく道順は、北口広場から中野サンモール商店街を通ると、雨に濡れずにたどり着けます。でも今日は天気は晴れで、傘の心配もない。中野通りの反対側から会場へ入りました。ここの会場での落語会ではいつも整理券が発行されます。今日は誘ってくれた先輩があらかじめ取得したものを渡してくれました。

開場時刻になるとその整理券番号順に入場して、あとは自由席で好きな場所に陣取ります。小劇場の名の通り、収容末も少ない会場なので、最後列でも出演者の顔が見えなくなるなんということはありません。今日はちょうど会場の真ん中あたりに陣取りました。

さて開演で開口一番は柳亭市坊さんです。名前を見れば柳亭市馬師匠の一門であることは一目瞭然です。愛想の良い好感を持てる前座さんですね。演目は『子ほめ』。八五郎がご隠居のところに飛び込んで、只の酒を飲ませろという時の表情が凄かった。

続いて扇辰師匠の一席目です。番組表ではお楽しみとなっていたので何が出てくるか。ここ1ヶ月寄席の出番がなかったとのこと。そうでしょう海の向こうまでドサ廻りをしていたのですから。そして今月はいきなり鈴本の夜席でのトリを務めるなどなど。今日もこの席が終わったら、鈴本演芸場が待ってるのでしょう。

そして本根多はあまり聴いたことのない話です。田舎の若旦那の恋煩い。相手は糸屋の娘お糸さん。その雪の降りしきる夜に、その逢瀬を色男に横取りされてしまう。その色男はお祭り佐七ということで、演題は『お祭り佐七』?でもこの噺は『雪とん』という演題で語られているものでした。

「お祭り佐七」という噺の一部ということですが、この佐七という色男は、まだ他にも多くのエピソードがあります。歌舞伎にもなっているものでした。

仲入りがあってゲストのストレート松浦さんのジャグリング。ジャグリングは日本式にいうと太神楽です。同じ曲技でも太神楽は色々伝統的な作法があるようだが、ジャグリングは演者の自由。今日も色々見せてくれました。

まずは白緑黄の3個のお手玉。その3個を自由時代に操る。次が糸の上を踊り回る中国独楽。次が色の変わる3つのリング。次がくっ付いたり離れたりの3つの箱。次が踊る棒で、傘を空中で踊らせる。さらにおわん回し、桶回し、その桶がだんだん大きくなる。そして最後が道路工事現場で見かける三角コーンを、2本の棒で踊らせるという具合です。演者のストレート松浦さん、もう汗びっしょりでした。診ている方も手に汗握るという塩梅でした。

そして最後が扇辰師匠に二席目、今度は根多出しされていた『江戸の夢』、これは劇作家の宇野信夫さんが、あの三遊亭圓生師のために書き下ろした作品です。

マクラはこの作品には著作権がかかっているので、宇野信夫さんのご子息の管理している著作権の使用許諾を得るところから始まりました。ご子息といってももうかなりのご高齢で、コンタクトを取るのに随分苦労をしたとのことでした。でも幸いに口演の許諾を得て今日この席という具合です。そしてこの話は若い演者には扱いづらい話ということを言ってました。

人情話とは言っても煎茶の世界の茶人が出てくる、非常に格調高い話です。演者にも人生を積み重ねた風格というものが求められます。そういう扇辰師匠も、もう円熟期を迎えてると言えるのです。

話は淡々と静かに進みました。会場なんとも言えない静寂感。たしかにいくら上手くても若手では、なかなかこの雰囲気は出せないかもしれません。そして気になるのが往年の三遊亭圓生師。学生時代に見た圓生師の残像が、扇辰師匠に重なって見えてきました。

そう言えば扇辰師匠は三遊亭鳳樂師匠からいろいろな噺を教わってきたと聞いたが、鳳樂師匠を通して圓生の芸を伝承したのかなとも思ってしまったのです。そしてサゲが、「氏(宇治)は争えないものだ」。。。これは一捻り考えないとわからないオチですね。会場も一捻り考えた間をおいて、拍手となったのでした。

今日の席がハネたあとは、お誘いを受けた先輩方との席が待っていました。でも話題は落語から鉄道へ。実はその先輩方は皆鉄ちゃんの端くれでした。世の中、「落」と「鉄」を兼ねてる人って案外沢山いるんです。

鈴本演芸場11月上席夜の部 台所おさん主任 11月2日(金)

寄席の番付を見るときに、いつもチェックするのは誰がトリを務めるのか。そこで真打になってそんなに時間も経っていない、そして有力な若手の名前が出てくると行ってみたくなるのでした。

台所おさん師匠は、二つ目で台所鬼〆を名乗ってた時から、注目にしていました。まずは一度聞いたら絶対忘れないその高座名。名前もユニークだがその芸風はさらにユニーク。そんな台所おさんさんです。早や季節も11月を回り、夕暮れも早くなってきました。

17時開場の鈴本演芸場に着いたら、もう薄暗くなっています。チケットをもぎって中に入って、さてどのくらいの客入りなのかな。やはりおさんさんもまだテレビに出ることもないので、なかなか厳しいようです。

      

やがて開演で開口一番は、あれっ子供が出てきた、と思わせる童顔。林家やまびこさんでした。調べたら林家彦いち師匠のお弟子さんとのことです。演目は『子ほめ』でした。結高持ち時間長かったですね。

続いては柳家圭花さん。柳家花緑師匠の門下です。今日のトリのおさん師匠もそうなので、今日は花緑門下がたくさん出てきます。名前が圭花なんというので、女の子かなとおもってたら男でした。

そして演目が『狸の恩返し』なのですが、いつもの札に化けるのではありません。茶釜に化けて寺の和尚さんの茶の伴になったのでした。あまり聞くことのない噺でした。

次が丸一仙三郎社中の江戸太神楽で、仙三郎師匠と仙成さん仙四郎さんの3人で出てきました。そして演目は仙四郎さんの傘回し、仙成さんの五階茶碗、そして吉右衛門ではない仙三郎さんの土瓶回し、最後は花笠と撥の取り分けで締めてました。

そして柳家緑助さん。二つ目になったばかりで今日は2回目の高座とのこと。世界が変わったと言っている。聞くところによれば噺家さんにとって一番変化を感じるのは二つ目になった時ということですが、客目線ではその変化はあまりわかりません。せいぜい羽織を着始めたなということ程です。

でも考えてみれば、前座修業でコキつかわれていた環境から解放されるのだから確かに大違いなんでしょうね。逆に仕事は自分で取ってこなくてはならない。自己責任の世界に入るのでした。緑助さん、今日の演目は『たらちね』でした。

続いて柳家甚語楼師匠。何だか苦玉を噛み潰したような顔で出てきました。そして演目は『粗忽長屋』でした。まさに落語らしい落語ですね。

次がダーク広和さんの手品。今日は会場が余裕たっぷりでやりやすい?そうなんですちょっと寂しい。でもなんだか乗りのいい客が若干名いるようです。そして見せてくれたのがはめ絵パズルのような手品。初めて見ました。

そして柳家勧之助さん。この人も花緑門下で、真打になる前は花ん謝と名乗ってましたね。何だか歌舞伎役者のような風貌で、だから勧之助なんという高座名をもらったのかな?演目は『熊の皮』でした。

そして仲入り前は春風亭一朝師匠。お古いところで吉原の話。そこにゆくためには駕籠をあつらえて通るのが物騒な追い剥ぎの出る蔵前通りということで、『蔵前駕籠』でした。

仲入りがあってホンキートンクの漫才です。それにしてもこのところ、この二人にはよく出会います。今乗ってますね。出てくるなり、乗りの良い客から「待ってました」の掛け声を受けて。絶好調です。しばしのドタバタを見せてもらいました。

次が三遊亭白鳥師匠。「白鳥の湖」の出囃子に乗って、黒と赤のツートンカラーの羽織に白鳥の紋の出で立ちで登場。白鳥ワールドに入りました。でもマクラでおさんさんへのエール。初めてのトリというのは大変緊張するということで、今楽屋で固まってるということです。

そして今日の話は創作で、お馬鹿な看護士みどりちゃんと患者の吉田さんの話、調べたら『ナースコール』という演題でした。

続いてトリの前のヒザは林家二楽さんの紙切り。まず「桃太郎」でご機嫌伺い。あとは会場からのお題に答えて「職務質問」、「猫と鶏」でした。時間が迫ってるようで、この三題で終わりました。

そしてトリは台所おさん師匠の登場です。またしても乗りのいい客から「待ってました!」「たっぷり!」。でも確かに緊張しているようなのです。この緊張が解けて仕草全開の熱演が見られるかな。

昨日が初日で、本当に初めてのトリ。どうも何か失敗があったようです。でもこれから10日まで続けるうちに自分を取り戻してくるのでしょう。

少し長いマクラから、京都へ話が飛ぶ。「祇園祭」かなと思ってたら『愛宕山』でした。でもこれまで聞いてきた『愛宕山』とは随分味付けが違います。黒門町の桂文楽師の流れとも違う、だからと言って桂米朝師匠の流儀とも違う。独特の味付けなのです。

また幇間の一八のお調子もあまり出てこない。それでも話が進むうちに仕草いっぱい、座布団からはみ出るほどに熱が入ってきました。でもやはり以前見たおさん師匠本来のハチャメチャには戻ってないようです。千穐楽前にもう一度見てみたいな。なんて感覚で見ているうちに、一八さん崖下から戻って、30両は忘れてきました。

帰り時の出入り口の櫓では、いつものとおり前座が追い出し太鼓を叩いていました。でもいつも違ったのは通りすがりの人が足を止めて、写メをパチパチやってたのでした。

歌舞伎公演「通し狂言 平家女護島」国立劇場 10月8日(月)

しばらく歌舞伎公演のなかった国立劇場も今月から始まりました。今月の演し物は「通し狂言 平家女護島」。これは俊寛の鬼界ヶ島の場として有名な狂言ですが、通しで演じられるのは23年ぶりということです。

以前から歌舞伎座にもよく足を運ぶが、最近国立劇場との公演の趣向の違いがはっきりと見えるようになってきました。今年の歌舞伎座の公演は舞台ショウの色合いが濃くなって、上演作品そのものが後ろに隠れてしまった印象があります。それと対照的に、国立の方は作品に主眼を置いて、長く演じられなかった場を含めて通し狂言の形で復活させる試みが多いように思えます。今回もその趣向でした。

この作者は近松門左衛門で元々は五段構成だったが、今日の公演ではその中から物語の基幹部分である三段を、三幕構成にして観せてくれました。

それを演ずるのは、中村芝翫(成駒屋)さんが平清盛と俊寛の一人二役、片岡孝太郎(松嶋屋)さんが俊寛妻東屋、そして中村東蔵(加賀屋)さんは後白河法皇。

中村芝翫さんは、襲名して初めての国立劇場でのお目見え、もちろんご子息の中村橋之助さんも、能登守教経役で共演しています。

     

序 幕 六波羅清盛館の場
二幕目 鬼界ヶ島の場
三幕目 敷名の浦磯辺の場
同 御座船の場

そして開演になりました。まずは序幕の六波羅清盛館の場。ここでは虐非道な巨悪の権化、平清盛が出てきます。そこらの小悪役ではない。巨悪なのでそのスケールと憎たらしさをどのように表現するかが魅せどころでした。

それと対照的な俊寛妻東屋の役柄。捕らえられて清盛の前に突き出されてもなお、凛とした美しさを表現するものでした。

次に出てくるのが能登守教経。これが東屋に瞬間への操を立てる自害を進言した。まあ、この辺りの展開は、現代の価値観では受け入れられないものだが、江戸時代まではあり得たのでしょう。

二幕目は有名な「俊寛鬼界ヶ島の場」以前もこの場面だけは何度か観ていました。この場面だけを切り取って公演されることも多くあります。今日は通し狂言の中で、同じ芝翫さんが清盛役を演った後、その敵役の俊寛を演じていたのも今日の見せ所でした。

そしてこの場から海女の千鳥(坂東新悟/大和屋)が登場。清楚な出で立ちで、仕草で可愛さを表現。これが島流しの殺伐とした空気を和ませる要素になっていました。

ここで出てくる敵役が平清盛腹心の瀬尾太郎兼廉(中村亀鶴/八幡屋)。海女の千鳥を御赦免船に乗せないで1人取り残すという意地悪をするが、これは意地悪というよりも杓子定規の官僚主義的な対応とも解釈できるものでした。だからこの場面で怒った俊寛との決闘で討たれる下りには、多少の同情が残るものです。

そしてこの場での見せ所として、海女の千鳥の口説きと、最後に取り残される俊寛の絶望の叫び。その時花道からせり出してきた波の敷物が、やがて舞台いっぱいに広がって、孤島の寂しさを表していました。

三幕目は敷名の浦磯辺の場となり、再び平清盛が出てきます。でも原作ではその間に常盤御前のくだりが挿入されているのですが、この一連のストーリーとは関係のないものなので、今日は割愛されていました。でもなぜ近松門左衛門がこのような場を入れたかという理由は、御赦免船が鬼界ヶ島から帰ってくる、長い時間の経過を表現したいということです。

それは国立劇場での4時間の公演時間には入りきらないものでしたが、この狂言の演題「女護島」は、実はこの場で出てくるものだったのです。

御赦免船が瀬戸内海の敷名の浦に着いて、そこに御座船に乗った平清盛がやってくる。その御座船には後白河上皇が乗っていたのです。そこで清盛が後白河上皇を殺害しようと、船から突き起こしたのを海女の千鳥が救出。しかしそれに怒った清盛に殺害されてしまう。

この間舞台装置の裏方は大わらわ。御座船を回したり波のシートを整えたりと、黒子が右往左往してました。
最後はこの海女の千鳥に加えて、第一幕で自害した東屋の亡霊が現れて、清盛は体の中から燃え上がる炎に包まれて行きました。

左右に海女の千鳥と東屋の亡霊、中央は御座船の上で、炎の描かれた衣装を広げたところで幕となりました。驕る平家は久しからず。

鈴本演芸場9月上席夜の部 柳亭市馬主任 9月5日(水)

台風襲来で予定が狂い、暇になった今日。ならば落語を聴きにゆこうと鈴本へ向かいました。今日のトリは柳亭市馬師匠です。久しぶりの市馬師匠、どんな噺を聴かせてくれるのかな。

台風一過でまだ風が吹き荒れている。東京でもこんな強風が吹いているから、台風の通り過ぎた関西を襲った暴風は、ちょっと想像し難いものがあります。

でもこんな日って、どのくらいの客が寄席に足を運ぶのかな。今日の鈴本もちょっと客足が鈍い気がします。トリが市馬師匠というのに。更に言えば暴風雨の最中だった昨日の夜はどうだったのかな?4人?興味ある人は、是非そういう日に来てください、ということです。

いつもの上手側2列目に席を確保して待つこと暫し、開演です。開口一番は三遊亭ぐんまさん。三遊亭白鳥師匠の二番弟子だそうです。

もうかなり高座慣れをしていて、ウケを意識しながら演技してました。演目は『初天神』。金坊のイメージの重なる顔つきで駄々をこねるのが真に迫ってる。飴を買ってもらえないところで、天を仰いで、「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」息の続く限り叫んで、会場から拍手。見せ場まで用意してくれました。

続いては柳亭市弥さん。先日もそら豆で会ったばかりでした。客席から軽く手を振ったのですが空振りだった。そして今日のの演目は『手紙無筆』でした。でもよく声が通りますね。

そして次が鏡味仙三郎社中の江戸太神楽。仙三郎さん、仙志郎さん、仙成さんの三人で出てきました。いつもの傘回し、五階茶碗、そして吉右衛門じゃない仙三郎さんの土瓶回し。そして笠の取り分けで締めてました。

次が五明楼玉の輔師匠の登場で、演目は『宗論』。落語で宗教を扱うというのはかなり際どい話なのでは、といつも思いつつ笑って聞いてしまう「宗論」でした。

続いて柳家小ゑん師匠。この人はいつも創作で勝負しているので、聞いていて演題がわかりません。部屋のリフォームが出てきたので演題は「リフォーム」なのかなと思って調べたが、わかりませんでした。

さて続いてはペペ桜井さん。ギター漫談です。駅のチャイムシリーズなどなど。

次が春風亭正朝師匠。正統派の古典落語ということで、『蔵前駕籠』でした。吉原の土手八丁が出てきて「蜘蛛駕籠」かなと思ったが、「蔵前駕籠」でした。この噺、久しぶりに聴きました。

続いて仲入り前、古今亭菊之丞師匠です。寄せ通いを初めて10年になりますが、いつもどこかでこの人の高座を見ている。でも10年前と比べて、明らかに年輪を重ねてきていますね。名前は菊之丞のままですが。そして今日の演目は『親子酒』でした。

仲入りに入ってトイレタイム。その時に楽屋から出てきた柳亭市弥さんと顔を合わせた。「観にきたよ!」「あっ、あんなもんです!」。実は彼の今日の「手紙無筆」は、先日のそら豆で演っていた演目なのでした。もしそれを想い出しての一言としたら、彼もなかなかですね。

そしてトイレから戻ると、募金をしてました。今日の北海道の地震へのチャリティということで、こちらも少し協力したのでした。

仲入り後は、ホンキートンクの漫才。最近鈴本でよく見かけるのだが、この二人、今乗りに乗ってますね。喋りだけでなく、息のぴったり合ったコントもなかなか見せます。

続いて柳家喬の助さん。名前は知ってたが見るのは初めてかもしれません。結構声がでかい。「XXXXX続きはWebで。。。」なんてマクラで言ってたが、演目は『宮戸川』。そしてこのセリフをサゲで使ってたのです。「台本が破れて」というのもちょっと今の時代には古臭いので。

そしてトリ前は林家正楽師匠の紙切り。もうあまり持ち時間がないようです。客席からのリクエストも、後を引かないような取り方でした。切ってくれたものは爪や煎餅の袋ではありません。相合傘、内緒話、稲刈りでした。

いよいよあと一席。トリの柳亭市馬師匠です。「待ってました!」の一声がかかります。そういえば今日はずいぶん早い上がりから「待ってました!」がかかってたような。

マクラは短く名工の話。そして飛騨高山と言えば左甚五郎。左甚五郎の噺はいくつかあるが、今日は東下りの鳴海宿。と言えば『竹の水仙』です。改編もない極く伝統的な「竹の水仙」でした。

市馬師匠、なんだか少し痩せたみたい。これまでの筋肉質感がない。体調は大丈夫なのかな。ちょっと気になった高座でした。

ということで21時前。今日の鈴本行脚は終わりました。

祖師ヶ谷大蔵で柳亭市弥独演会 アトリエそら豆 8月26日(日)

この落語会はいつも土曜で、土曜になかなか体の空かない我が身にとって参加できないことが多かった。でも今回は日曜ということで参加したのでした。会場のアトリエそら豆は小田急線の祖師ヶ谷大蔵の有名なウルトラマン商店街の中にあります。その女将さんは世田谷区の創業塾で知り合った人なのでした。何と言っても世田谷区の中で行われる落語会、できるならば足を運びたいところでした。

柳亭市弥さんは柳亭市馬師匠門下の二つ目。最近若い二つ目の露出度が上がり、何人かの売れっ子二つ目はあちこちで見かけます。また有線放送やラジオ番組で、名前の知ってる二つ目さんに出会います、

市弥さんもその一人、前座時代にはあちこの寄席や落語会で見かけました。前座の時から印象の強い人は、その後もスクスク伸びてゆくようです。そして今日もその進化を楽しめるのかもしれません。

蒸し暑〜〜い夕刻です。祖師ヶ谷大蔵の駅を降りで真っ直ぐアトリエそら豆に向かって、入口の戸を開けると、もう営業中ではなく、只今準備中状態です。そして市弥さんもなにやら忙しそうに準備してましたが、開演40分前だというのに高座の設営も何もできていません。そこで女将さんから設営作業の猫の手として駆り出されました。今日は申し込み人数は少ないそうでした。

やがて人も入ってきて17時。少し遅れ気味で開演しました。でもあと二組が来ていません。でもこういう落語会に遅刻したら、演者からうんといじられるんですよ。それを知ってのことでしょうね。

市弥さんもそのつもりでいます。いろいろ地方巡業などのマクラを喋りながら、遅刻者が入ってくるのを待っている。やがて飛んで火に入る夏の虫が3人入って来た。いらっしゃいませ、どうぞ最前列の席へ、と市弥さん座布団の上からご案内です。でもまだあと一組が来ていない。

すると女将さんが1時間間違えてるからまだ来ないよと言ったので、市弥さんようやく羽織を脱ぎました。入った本根多は『手紙無筆』でした。

マクラの時の話し方と、本根多に入ってからの話し方が違う。なにやらどっしりした江戸弁が板についてきたようです。聞いたら生まれ育ちも現在の居住地もこの近所なので、さほど違和感はないのでしょう。

まず一席終わって続けて二席目です。今度は与太郎の出てくる噺。叔父さんから働けと言われて、叔父さんの仕事をやってみると言えば、「道具屋」?、いやそうではない、『かぼちゃ屋』でした。

まあ、「手紙無筆」も「かぼちゃ屋」も、今は見ることもできない江戸の風物。150年以上前の江戸の風物。これを聞き手にタイムスリップした気分にさせるのも落語家の腕の見せ所。今はそれの腕を磨く時期なのでしょう。

短い仲入りがあってあと一席。遅刻者を待ってのマクラが長かったので、今度はマクラ短く入った噺は『甲府い』でした。人情話なので笑いは少ない。今度はしっとりと聴かせなくてはなりません。二つ目にとってはこのような噺は、師匠や兄さん達との共演の場ではできないことでしょう。こういう一人会こそ、腕試しの場となるものと思われます。

観客もしっかり聞き入っていました。たっぷり聴かせて今日の独演会は終わりました。さあ後は打ち上げで名物「市弥弁当」が出てきます。

「市弥弁当」・・・聞いたら単なる幕の内弁当に「市弥弁当」と名付けたものではないそうです。ここには市弥さんの好きなものが入ってる。それは何かと言えば、唐揚げとマカロニサラダだそうでした。すでに高座の真正面にある調理場でも、弁当の用意ができてます。

でもその前に高座を片付けて、テーブルや椅子を元の食堂の配置に戻さなくてはなりません。ここでもまた女将さんの号令一下、猫の手を貸しました。

そしてみんなが席に着いたら、ワンドリンクと例の「市弥弁当」が運ばれてきました。市弥さん、着替えないで客席に入ってきた。いいのかな。そしてその「市弥弁当」を胸に掲げて、ワンショットサービスです。もちろんツーショットもOK。そして各テーブルを回りながら、精一杯のサービスをしてくれました。その「市弥弁当」結構ボリュームがあって美味かったですよ。

てな塩梅で、「真夏の蒸し暑い夜の落語会」でした。市弥さん本当にお疲れ様。今後のご活躍を期待します。

酒米「亀の尾」を使った美味い酒

贔屓の柳家小満ん師匠のエッセイ「小満んのご馳走」を読んでいたら、妙に心に引っかかる一節がありました。それは新潟県の久須美酒造の醸造する「亀の翁」という銘柄を絶賛しているのです。

「獺祭」のような大量販売の銘柄ではない、希少銘柄です。でも小満ん師匠が推薦するなら、何か際立った特徴があるのではと、その久須美酒造を訪ねたこともありました。残念ながら予約なしに行って見学したり、その場で購入できるものではありませんでした。そこで長岡市内にある酒販店で求めてみました。

そのオリジナル銘柄の「亀の翁」は720mlで9千円代。ちょっと手が出ない、と思ってたら、その酒販店の店主が、「亀の翁」と同じ酒米を使って、同じ杜氏が別の酒蔵で作ったものがあるということ。純米大吟醸で価格も1900円だったので迷うことなく購入したのでした。正月に飲んだら実に美味かった。

その時はそれで終わったのだが、あれから「亀の翁」が頭から離れない。調べるうちに同じ酒米「亀の尾」を使った銘柄はいろいろあり、新潟県だけでなく、東北地方一円の酒蔵で作られていることがわかりました。

「亀の尾」はもともとは山形県が起源の米の品種で、寒さには強いが、害虫に弱い一方化学肥料が使えないなど、栽培が難しいということで、一時は米農家から見向きもされなくなった。

ところがこの米を使った酒が美味いという伝説を頼りに、久須美酒造が酒米として栽培を始め、それを使った銘柄として「亀の翁」は製品化されたそうです。さらにその米を他県の酒蔵にも伝えて、これを使った銘柄がいくつも誕生するという経緯がありました。

そして東京でも、通販抜きで手に入ることがわかったのです。渋谷のデパ地下で、酒コーナーの店員に聞いてみると、最近ずいぶん入荷することが多くなったと言っていました。そこで購入したのが「亀仙人」。山形県の銘柄で、「亀の尾」100%精米歩合42%の純米大吟醸。そして生酒。生酒だから冷蔵保管しなくては、味が変質してしまう。1升瓶から冷蔵庫に入るボトルに移したのでした。

以前、二子玉川のデパ地下で宮城県の「阿部勘」という銘柄を購入したことがあったが、「亀の尾」を原材料とした酒には共通の風味があります。酒米として有名な「山田錦」とは明らかに風味が違う。美味いだけでなく、何か強烈な自己主張を感じるのでした。

美味い日本酒の銘柄は沢山ある。「浦霞」「一ノ蔵」「鮎政宗」「妙高山」「八海山」「天狗舞」「獺祭」・・・。でも「亀の尾」の酒は、何か日本酒党として、これが求める酒のゴールなのだという感触を抱いたのでした。

「亀の尾」の由緒

第63回むぎんぼう寄席 夢吟坊三宿本店 7月10日(火)

久しぶりのむぎんぼう寄席、今日は主催者の笑福亭笑助さんが山形から帰ってきている日です。久しぶりとはいうものの、実は5月のに参加するつもりだったのが、仕事の関係の飲み会に誘われてパスしてしまいました。ところがその日に笑福亭鶴瓶師匠がサプライズ参加してたのです。う〜ん残念、と地団駄踏みました。

今日こそはと思って夢吟坊に来ましたが、残念ながら前回のサプライズはなさそうです。代わりと言ったら失礼になりますが、今日は三遊亭圓丸師匠が招待されていました。いつもは若手がゲスト参加するのだが、今日はお古い師匠に来てもらってるんですね。さて何を聴かせてくれるのかとチラシを見たが、今日は根多出しはありませんでした。

少し遅めに着いたのですぐに開演です。まずは笑助さんの一席目、山形の夏の風物詩から始まりました。いえ、花笠音頭ではありません、蚊戦ってぇか、とにかく虫が多いそうです。アパートの階段、きっと外階段でしょう。蜘蛛の巣を避けるため阿波踊りスタイルで下りていく。

そんな話です。でも蒸し暑さは東京にも劣らないようです。そんな楽しい山形ライフ存分に楽しみつつ4年が過ぎ、今年秋に次の人に譲って山形を離れるそうです。

そして夏の食べ物は鰻。始まったのが『うなぎや』でした。笑助さんが演じるから当然上方版の「うなぎや」でしたが、筋書きは江戸版と同じです。

でも今や鰻は高嶺の花。日本鰻は絶滅危惧種と聞いてるので、そんな鰻を食べること自体に後ろめたさを感じる今日この頃。この噺を聴くのも、笑いながらもちょっと複雑な気持ちになりました。

さて続いて今日の客演の三遊亭圓丸師匠です。この人は落語芸術協会なので、これまであまり聴く機会がありませんでした。でも新宿末廣亭とか池袋演芸場などでよくトリをとってるので、今度はこの人目当てでゆかなくっちゃ。

高座に上がって見えた風景は、最前列の席に誰も座ってない。それにしてもいつもは最前列ど真ん中に陣取る人が必ずいたのに、今日はなぜかいないのです。でも後ろ半分はほぼ埋まっている。客席から見ていてもちょっと奇妙な雰囲気です。

そんな雰囲気を睨みながら、続いても夏の噺です。仲むつましい夫婦のかみさんが病でこの先がない。『三年目』でした。しっとりと聴かせてくれる噺です。

見ると客席の同じ列の反対側に小さな女の子と一緒に来ているお母さん。子供も一生懸命聞いてるが、悋気の話、わかるかなぁ?圓丸師匠もちょっと気になってるようです。でもたっぷり聴かせてくれました。

仲入りがあって再び笑助さんの登場です。いつもはここで笑助手拭い争奪のジャンケンが始まるが、持って上がって来たのは、なんと洗剤のスプレーボトルです。そのラベルには笑助さんの似顔が書いてあり、その名は「落クリン」。ラックリンと読むそうで、そのキャッチコピーは、「落語も洗剤もオチが肝心」。何でも山形で親しくなって、笑助さんの活動に協賛してくれている会社の取り扱い製品に、こんな洒落を組み込んだそうです。きっと本当によく落ちるんでしょうね。

そして始まったのがやはり夏の噺。植木屋さん、といえば『青菜』、もちろん上方版の「青菜」です。でも微妙に江戸版とは味付けが違います。江戸は醤油味、上方は塩味、こんな違いか。

ここで出てくる酒が「柳蔭(やなぎかげ)」、上方ではこれだけで通るのだが、江戸では「本直し」と呼んだそうです。そのためか江戸版では植木屋さんが飲んでから、これは「直し」ですねと聞き返している。

調べて見ると焼酎と味醂を半々に割った酒で、夏に冷やして飲んだとあります。聞いただけで甘ったるそうで、酒通にはどんなものかなと疑問が湧くのだが、酔狂な酒蔵が復活販売していました。もう売り切れのようだが落語ファンなら一度やって見たい。ならば今流行の黒霧島と本味醂を混ぜたらどうなるかな。てな塩梅で義経に先おこされ、弁慶が出て来て終わりました。

この落語会の一つの特徴は後払い。木戸銭の額は決めずに観客各々の心尽くし次第なのです。これじゃあ儲からないだろうなと思いつつも、封筒に入れて受付に渡したのでした。そういえば一度、財布を忘れてその木戸銭すら出せなかったことがありました。あとで埋め合わせはしたのですが。

歌舞伎鑑賞教室「日本振袖始」国立劇場 7月8日(日)

毎年6月と7月の国立劇場では、歌舞伎鑑賞教室が行われています。これは中学生、高校生、大学生、社会人、そして外国人向けの歌舞伎のPRを兼ねた公演です。入場料も安く有名演者の歌舞伎が観れるので、大変お得感があります。但し一幕だけなのですが。

更に言えば歌舞伎のイロハから若手の役者さんが説明してくれるから、イヤホンガイドなどなくてもよくわかります。なのでこの時期になると必ず1回は観に行くのでした。

昨日までの雨がようやく収まり、と言っても東京ではさほど降らなかったが、岐阜県と関西以西は大変な水害です。被災地の人たちの無事を祈らずに入られません。そんな中国立劇場に足を運んだのでした。

ここではも鑑賞教室としての対象者が優先で、一般客はその後ろの席になります。その対象者が中学生高校生の場合は、入場前から賑やかそのものです。そして席に着いても劇場の空間全体がガ〜〜〜と唸ってるのです。そして今日はというと、少なくとも中高生ではない。社会人なのかな?いつもより若い人たちが多いように思われました。

今月の演目は『日本振袖始』。でもこの演題から実際の物語は全く想像ができません。実は素戔嗚尊の八岐の大蛇退治の話なのです。それがなぜ「日本振袖始」なのか?誰もが抱く疑問なので、前半の「解説歌舞伎のみかた」の中でしっかり説明がありました。

開演で場内が一時真っ暗になって、花道のスッポンから現れたのは、坂東新悟(大和屋)さん。今日は稲田姫役で出てきます。いつもの通り歌舞伎用語の説明に入りました。舞台装置の説明、スッポン、花道、揚幕、定式幕・・でも今日は回り舞台の装置などは省略していました。

上手下手や黒御簾などの説明をしてから、舞台裏から小鼓、大太鼓、笛が出てきて実演。ツケが鳴って立ち回りの実演のあとに見得を切る。その後女方の演じ方の実演。そして義太夫節の竹本が出てきました。そこで一趣向。

昔の難解な言葉回しを、あえて現代の言葉に置き換えて、竹本が唸って聞かせてくれたのです。よくわかったのだが何だか言葉が軽くなったような感じ。そして場外乱闘のような立ち回りを見せてくれました。

そのあと今日の演目の『日本振袖始』の解説に入りました。これは「古事記」「日本書紀」に記されている題材を元に、近松門左衛門が書き上げた作品です。その演題の意味とは、八岐の大蛇の生贄に出された稲田姫の袖に、名剣一振りを忍ばせていた事が、「振袖」の起源ということです。

この中で八岐の大蛇とは八つの首を持つ大蛇、これをどのように表現するかが最大の見どころとして観てほしいということで、前半の「解説歌舞伎のみかた」が終わりました。幕間です。
20分の幕間の後、「日本振袖始・出雲国簸の川川上の場」ここは八岐の大蛇の棲む窟に8つの瓶が置かれていました。八岐の大蛇の8つの頭が各々酒を飲む想定です。そして室の中には生贄の稲田姫がいました。

そしてスッポンから岩長姫(中村時蔵/萬屋)が出てきて、8つの瓶に入った酒に誘われて、それを飲みながら酔って行く場面がしばらく続き、そのうち次第に大蛇の本性を現して、稲田姫に襲いかかってひと呑みにしてしまうのでした。

次に素戔嗚尊(中村錦之助/萬屋)が威勢よく現れて、八岐の大蛇との一騎打ちです。そこに現れたのが、中村時蔵さん演ずる八岐の大蛇本体に加えて、分身が七人現れて合計8人。

ここでは激しい立ち回りというよりも、八岐の大蛇と素戔嗚尊を加えた9人で、さまざまな形を決めて行くような演出です。そして形を決める瞬間に、大向こうから「よろずや!」の掛け声が入りました。

そして稲田姫が隠し持った名剣で大蛇の背中を破って現れ、7人の大蛇の分身も討たれて消えて、本体だけが残りました。でもそこで討たれて倒れるのではなく、素戔嗚尊と稲田姫も加えて、3人で形を決めて終わりました。

まあ、今日は話もシンプルで実に分かりやすかった。これならば中高生でも、解説なしでもよくわかったのではと思うのでした。

終演の後外に出るとまだ十分に明るい。でもちょっと残念なのは、劇場のロビー横の和風カフェが、3月をもって閉店していました。いつも国立劇場へ行った時時間つぶしで入って、気に入っていたのですが。蒸し暑い中を、ちょっぴり寂しい気持ちで帰宅したのでした。

鈴本演芸場6月下席夜の部 蜃気楼龍玉主任 6月22日(金)

先週に引き続いて今日も鈴本演芸場の夜席です。今日の主任は蜃気楼龍玉師匠です。この人も直接言葉を交わしたことはないが、気になる噺家さんです。圓朝根多など、長講大根多に取り組む芸風を確立しているところに注目しています。

いつものとおり開場時刻の少し前に行くと、既にチケット販売が始まっていて入れるような。その前に龍玉さんの幟の写真を撮っておこうと、風の向きが良くなるのを待っていたら、何と鈴本演芸場のスタッフの人が、幟を撮りやすい角度に開いてくれたのでした。ありがとう!

さてチケットをもぎって入ると、もう既に前の方の席はかなりの入りでした。龍玉さんの応援隊かもしれません。足元の広い席に陣取って待つこと暫し、開演です。

そして開口一番が、古今亭まめ菊さん。先週来た時にちょっと気になった女性の前座でした。何だか春風亭ぴっかりさんの前座の頃の印象と重なって、この人名前は、そして師匠は誰?と気になってたのです。早速今日その高座を見ることができました。

小さくて可愛くて元気かいい、そして喋りは絶好調!!今年3月に前座デビューとは思えない度胸の良さです。始めたのが『子ほめ』なのだが、なぜか会場からの笑いが少ない?いや、観客も笑う前にあっけにとられてるようです。でも何だか微笑ましい。

そんな会場の空気などどこ吹く風で快進撃が続きます。もちろん師匠から教わった通りに演ってるのでしょうが。そして赤ん坊を褒める場面になってようやく観客が笑い始めました。ようやく女の子がガラっ八を演ずる違和感が解けて来たようです。

最近女性の落語家が増えて、それぞれ個性を発揮して活躍していますが、前座の初対面の高座で強烈な印象を受けたのは久しぶりです。思い出せば立川こはるさん、春風亭ぴっかりさん(当時は春風亭ぽっぽ)、そして今日の古今亭まめ菊さん。もう顔と名前は忘れません。しっかり脳裏に焼き付きました。ちなみに師匠は古今亭菊之丞師匠だそうです。

続いて古今亭始さん。またまたこの人も出て来て早々絶好調を受け継いでます。そして歌舞伎や落語の褒め言葉、掛け声。そして花火の話から『たがや』が始まりました。でもマクラで花火が隅田川に落ちるまでの「たまや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」が長過ぎた。そして侍の首が飛ぶサゲまで、一気に駆け抜けてゆきました。

次が鏡見仙三郎社中の太神楽。二席続いた絶好調の熱冷ましと言うべきか。傘回し、五階茶碗、土瓶回し、笠の取り分け、会場の中から感嘆の声が上がってたのでした。でもこの社中はなかなか元気ですね。

続いて桂三木助さん。マクラは知ったかぶりの話から、『転失気』に入りました。次から次と出てくる芸人さんを見ながら一息という感覚です。でも最初っから最後まで絶好調だったら、聞く方も疲れてしまいます。

そして今日出演の演者の一門の大御所、五街道雲助師匠です。トリの蜃気楼龍玉さんも雲助師匠のお弟子さんです。この一門は古典の大根多で鳴らしていますが、まだ前半の上がりなので軽く泥棒の話でした。演目は『夏どろ』でした。

それからアサダ二世さん。出囃子がいつもの演技中のかったるいお囃子。でもかったるい調子ではなく、今はは普通です。そして「今日はちゃんとやります」から始まりました。先週も見たのだが、やはり同じ演目といっても、微妙に毎日変えてるようですね。そして今日は最前列のお客さんをかなりいじり回していました。そのお客さんも一緒にヨタを飛ばして楽しんでいたようです。

続いては五明楼玉の輔師匠です。久しぶりにお目にかかりました。今日は創作根多で、ガンの告知に関する話。調べたら山崎豊子の小説「白い巨塔」の主人公、「財前五郎」そのまま演題にしてしまった話のようです。

そして仲入り前は隅田川馬石師匠です。この人は大山詣り根多のデータ提供などで酒を酌み交わしたこともある人で、あちこちの席で出会います。そして今日は弟弟子のトリのために、その露払いというところでしょうか。でも仲入り前は少し持ち時間も長いようで、『粗忽の釘』をゆったり目に聴かせてくれました。粗忽男に呆れて天を仰ぐ仕草が何とも言えなかった。

そして仲入り。いつしか鈴本演芸場では仲入り後の開演前に前座が出て来て、上演中のマナーのお願い。携帯スマホタブレットは電源を切ってください。写真撮影や録音はお断り、トリの龍玉さんの演技中は出入り止め、などなど。それを今日はあのまめ菊さんが担当していました。

まめ菊さん、何だか楽しそうに喋ってます。また舞台に出て来ての高座返しやめくりの時も、楽しそうなのです。この人本当に根っからの天然採れたて落語大好き娘なんですね。

幕が開いてホンキートンクの登場、先週も見るはずだったのが、体調悪く休演でした。もう治ったのかな。でもそんな心配を吹き飛ばすような、これまた絶好調。安心しました。

次が春風亭百栄師匠です。ももえです。でも山口ではありません、春風亭百栄です。ビートルズを彷彿させるマッシュルームカットも健在でした。そして今日の噺は創作で寿司屋の話、調べたら『寿司屋水滸伝』だそうです。ちょっと客に考えさせるくすぐりが多いですね。

そろそろトリの龍玉さんが気になって来ましたが、それまでにもう一人、紙切りの林家二楽さん、久しぶりに見ました。高座のスタイルは正楽師匠に準じていますが、一題一題少し時間をかけて丁寧に切ってるようにも見受けられます。今日は「桃太郎」「花嫁のブーケトス」「ドンキホーテ」の三題でした。

そして「待ってました」とばかりに、蜃気楼龍玉師匠の登場です。マクラも少なく話し始めたのは『牡丹灯籠』でした。もちろん寄席のトリでも話切れるものではないほどに長い噺。新三郎がお露の幽霊に取り殺されてしまった後の、伴蔵とおみつの『栗橋宿』の場面でした。下席は昨日21日から始まったので、ことによると昨日は「お札はがし」を演ったのかな。

ずっと笑い通しだった客席も、トリ根多になってすっかり空気が変わりました。客席は龍玉さんの話に静かに聴き入っています。笑いの場面はほとんどありません。最後に幸手堤の土手下で、伴蔵が女房おみつを殺害する場面まで演じて、今日の高座は終わりました。

後ろに座ってた女性が、ずっと聞いていたい、と話してた。落語は笑いだけではない、しっとりと聴かせるのもまた芸のうち。特に圓朝ものは西洋の演劇やオペラにも通ずるドラマ性が聴かせどころなのでした。

これを書いている今日も鈴本演芸場下席夜の部では同じ番組を上演している。根多出ししてないので分からないが、今日は何を演るのかな。

鈴本演芸場6月中席夜の部 鈴々舎馬るこ主任 6月11日(月)

このところ鈴本演芸場の夜席はちょっと気になってる若手真打が続々。そして6月上席は昨年真打になった鈴々舎馬るこさんの初主任なのです。馬るこさんとは直接言葉を交わしたことはないが、世田谷区の成城ホールでの公演ででよく見かけます。その他にも世田谷との縁の深い芸人さんですね。そんな馬るこさんを鈴本のトリで見れるということで、これを目当てに中席の初日に足を運びました。

折しも台風接近で、雨で肌寒い。客足はどうなのかな。チケット買ってモギりは一番乗りでした。いつもの右側の2列目に席を陣取ったのでした。

     

客足は決していいものではなかったが、どうやら馬るこさんの応援団が来ているようです。何となくざわついてます。そして開演で前座の開口一番。金原亭駒六さんです。名前からして馬生師匠のお弟子さんであることは言うまでもありません。演目は『たらちね』でした。

次が柳家かゑるさん。二つ目には珍しく、袴を履いて出て来ました。柳家かゑるというと、どうも大御所の鈴々舎馬風師匠の若手の頃の高座名だったことが思い出されます。調べたら孫弟子でした。その間に柳家獅堂師匠がいたのです。でも鈴本の寄席であまり見かけることのない人です。

かゑるさん、声がでかい。その前の駒六さんが落ち着いた声だったので、余計にそのデカさが目立ちます。演目は『子ほめ』でした。

続いてアサダ二世さんの手品。今日はちゃんとやります、の一言で始まりました。そして今日は今まで見たことのなかった芸を見せてくれたのです。それは赤と白の紐を輪にして繋いで、一瞬で白と赤の輪を入れ替える。タネも見せてくれたが要は目の錯覚を使ったものですが、やはりそこは年季の入った芸ですね。寄席の手品ってこんなもんですよ、とさりげない一言でかわしてゆきます。

そして柳家小せん師匠。先日の三K辰文舎の落語とライブで見たところでした。きょうは本業の落語です。演目は『黄金の大黒』。だんだん調子が上がって、小せん節炸裂で終わりました。

次が柳亭燕路師匠、久しぶりに見ます。でもあまり変わりはありません。落語にとって泥棒の噺はおめでたい噺ということで、泥棒の出てくる噺なのだが、あまり聞いたことのない噺。

「出来心」「鈴ヶ森」「締込み」「転宅」「穴泥」「もぐら泥」「だくだく」「釜泥」・・泥棒話は多けれど、今日のは『夏泥』でした。

続いては柳亭こみちさん。ここは色物の時間なのだが、またまた落語家が出て来ました。漫才のトンキーホンクの一人が急病で、その代演だとのことです。昼頃に呼び出されたと言ってました。

そこで落語家であるにもかかわらず、色物の芸を依頼されて、寄席の踊りのレパートリーを2題披露。「奴さん・姐さん」そして「かっぽれ」でした。この人日本舞踊もできるようで、にわか仕込みではないものを感じたのです。

次が古今亭文菊さん。落ち着いた講座の雰囲気で、出てきた話題は「あくび」。それも駄あくびではなくあくび道というべきか。『あくび指南』でした。筋書きは普通の「あくび指南」から少し改編していたようです。

そして仲入り前は三遊亭歌之助師匠。もともと薩摩出の芸人さんなので江戸の古典落語はなし。創作中心なので、聞いたことのある古典根多は出ないだろう。

そして来年春に四代目三遊亭圓歌を襲名します。それがあるためか、今日の演目は師匠の三代目圓歌の追憶でした。この人は涙もろいようです、親愛なる亡き師匠の思い出話ということで、最後は目に涙してたようです。

仲入りがあって、幕が開くとペペ桜井さんのギター漫談。東京の駅のチャイムから始まって、ギターを道具にした芸を聞かせてくれました。

次が春風亭一朝師匠。マクラも短く始まったのが『野ざらし』でした。始めの部分を結構時間をかけて演っている。でもやはりトリの馬るこさんを凌ぐような講座にはならないよう、途中で切って下りてゆきました。

トリ前のヒザは翁家社中の江戸太神楽。今日は小助さんと小花さんのコンビで出てきました。落語協会のHPの芸人プロフィールを見ると、メンバーは小楽、和助、小花の三人でしたが、もう小楽師匠は出てこないのかな。。。持ち時間も推してるようで、「五階茶碗」と「ナイフの取分け」でした。

そして最後のトリが鈴々舎馬るこさん、いや馬るこ師匠です。出てきたら追っかけ隊が満を持してたように「待ってました!」。いやぁ初の鈴本の主任、そして初日から「待ってました!」は嬉しいの一言でしょう。地元の世田谷区でもよく見かける人だから、こちらも半追っかけ隊の気分で聞いてました。

さて夏の噺として入った噺は『青菜』。もっと重いネタかなと期待していたが、でもこの人は軽い話にもくすぐりの尾鰭を沢山をつけて演じる人だから、しっかり持ち時間いっぱい演ることでしょう。

そして植木屋のカミさんが押入れから出てくる場面、その暑苦しさは真に迫ってました。痩せ型の人よりも、太目の人が演じた方が夏の実感が湧く噺ですね。むっとした熱気が伝わった後、弁慶にしておけで終わりました。馬るこさん汗びっしょりでした。

今日は観客数こそあまり多くなかったが、何か会場の乗りのよかった日でした。