『桂雀々芸歴40周年 写真家 橘蓮二 特選落語会「桂はつらいよ」雀々奮闘編』・・何とも長いタイトルです。これは一体何なのか?何がそんなにつらいのか?そんな疑問で向かったのが成城ホールです。
そこで見たのはあの雀々師匠がフーテンの寅さんに扮したチラシやポスターでした。結構似合うじゃないか。

でもそれだけではない。そこで売られていたパンフレットを見ると、今日の出演者が葛飾柴又あたりであの渥美清の「男はつらいよ」シリーズの再現をしているスナップ写真。それを写真家の橘蓮二さんが撮っていたのでした。でもこれは今日の落語会のため?それもたった一回の落語会のため?それにしてもずいぶん手の込んだ趣向です。

これだけ手の込んだPRをしたならば、それに見合った客入りにならないと格好がつかないな。でも成城ホールは満席になったとしても400人弱です。開場して開演間近になったら客席はほぼ埋まっていました。そして落語会にしては珍しく、会場の照明が落とされました。そしてスクリーンに富士山の写真。そこに「松竹」と出るのでしょうが、なぜか「成城ホール」。そこでひと笑い。
そして開口一番は桂宮治さんでした。阿波踊りの出囃子にのって出てきました。このところ落語を聴くことが少なくなっていたので、いささか浦島太郎状態ですが、この宮治さんも、以前見た前座時代からずいぶん芸風が変わっていました。日々進化してるんでしょう。

まずは今日の企画の説明。これは松竹がスポンサーとして支援しているとのこと。そして雀々師匠の楽屋でのうるささの紹介。そんなこと言いながらすっかり雀々師匠のテンポになっています。テンションが高い。それにつられて開場も笑いが多い。

演目は『たらちね』でしたが、マクラが長くあっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、時事ネタギャグを連発するから肝心の噺の筋書きは、最初のところで終わってしまいました。そうかこれが宮治さんの芸風になりつつあるのか。

続いては桂三四郎さん。これ以降の落語は全て上方です。そして話し始めたネタは創作です。これもドタバタネタですが、師匠は現桂文枝師匠ということなので、師匠譲りの創作なのかな?演題は「二転三転」とあったが、ネットで調べても情報はありませんでした。

そして桂春蝶さん。その前の三四郎さんのドタバタから、何か落ち着いた空気で始まりましたが、やがてまたドタバタになっていったのです。でもストーリーを聞いてるとどう考えても『権助提灯』なのだが、これまで江戸落語として聞いてきた「権助提灯」とあまりに違います。

これまで聞いてたものは、旦那の奥方とお妾さんとのお互いの遠慮(でも内心は闘争)だったが、この春蝶さんのは闘争心むき出し。可哀想なのは旦那と権助です。いったい本宅と妾宅とを何度往復したことか。江戸落語版ではせいぜい3回か4回というところだが、今日は10回以上往復して夜が明けました。

仲入りがあってすぐに舞台の緞帳の前に人だかり。そこで始まったのが宮治さんの大声でのパンフレットの販売です。とにかくテンションを上げて売るというのが、今日の販売戦略なのでしょうか。次々に売れている、凄い!

休む暇すらない仲入りの後は鏡味味千代さん。紅一点だがフーテンの寅さんシリーズには欠かせない、妹のさくらの役があります。倍賞千恵子さんに成り代わっての役柄ということでしょうか。

鞠と撥の取りわけ、五階茶碗、傘回しなど江戸太神楽の代表芸を見せてくれました。傘回しの中で寅の風船を回そうとしたのだが、うまくできない。でもリハーサルの時もうまくいったことはなかったとのオチをつけてました。

そして最後が桂雀々師匠の登場。まずは高座に見台、膝隠し、そして小拍子が無かったのを前座が持ってくる。まだまだあります張り扇も備えてる。そこでまずは江戸と上方の落語の生い立ちの違いの説明。上方は大道芸で通行人の気をひくための演出として、見台をパチンパチンと叩くのです。

そんなマクラからまたまたハチャメチャのギャグの世界に入ってゆきました。話根多はというと、どうやら『蝦蟇の油』のようです。これも考えて見ると、フーテンの寅さんに忖度した根多と言えます。

こんな小さな根多でトリの高座が持つのかなと思ってると、それを持たせるのが雀々師匠なんですね。またしても脱線しまくりです。外は12月の気温と寒いのに、高座は熱気そのもの。最後は酔っ払って腕を切ってしまって血が止まらない。その血を拭き取るための手拭いを次から次へと懐から出してくる。小道具も実に用意周到でした。

そして幕が降りる前にもうひと趣向。今度は本物のフーテンの寅さんのビデオが流れてこれでおしまい。時刻は21時半を回っていました。それにしても今日はよく笑った。笑い疲れた。

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