新春吉例顔見世 神田神保町新春寄席 東京堂ホール 1月7日(土)

2017年の初笑いはいつもの傳承話藝を聴く會の寄席です。いつものお馴染みの出演者に加えて、めくりなどの寄席文字を提供している橘右樂師匠も登場します。

そして今日も正月晴れの良い天気。風は弱いが昼間でも底冷えがします。そんな神保町のすずらん通りの一角の東京堂書店のホールが今日の会場です。いつもの会場です。

またまた早く着き過ぎてしまった。でもここは1時間前でも開場して入れてくれるので助かります。いつもの右側の最前列に陣取り開演を待つことしきり。ふと後ろを見るといつのまにか満席です。大部分は常連客だが、継続は力なりとはよくぞ言ったもの。同じメンバーで同じ企画でも、10年続くとこれだけ常連客が来るものです。

     

さて開演して開口一番は桂藤兵衛師匠です。いつもと違う紋付袴で出てきました。正月です。今日は根多出ししてないので何が飛び出すかわかりません。

正月根多では干支を扱った話をすることが多いのだが、12もあるとやりやすいもの、やりにくいもの様々だそうです。一番やりにくいのが羊だそうで、そもそも落語ネタで羊が出て来るものはほとんどありません。ならば鶏はってぇと。。。。

鶏も少ないようで大部分は小噺。その中から鶏にちなんだ小噺でご機嫌伺い。でも入ったのは鶏ではなく猪の出て来る噺でした。再来年だ。
でも初めて聴く根多、そして何と大山が出て来るではありませんか。大山根多と言えば「大山詣り」が有名だが、それしかないと思ってたら違う根多が出てきました。

頭のネジが何本か飛んでいる男が、新しい猪の肉を買いに大山へ行くという筋書きです。いや、聞いたことがあるような気もする。終わってから手持ちのiPadで調べてみたら、やっぱり。上方の『池田の猪買い』でした。

後から藤兵衛師匠に直に訊いたら、『池田の猪買い』を江戸へ持ってきて自身で改作中。でもまだ完成品ではないという話でした。そういえば前回聴いた藤兵衛師匠の「あかんべ」も改作中で、練って磨いて完成品になるには三年かかるということでした。

この「池田の猪買い」の江戸版の演題は?『大山の猪買い』とでもなるのかな。おそらく各場面での時代考証など、裏を取りながら、練ってゆくのでしょう。少なくとも今日の筋書きでは、鉄道が出てきたので江戸時代ではない。昭和の初めあたりを想定していたのでは。そして何よりも大山を選んだのは、鉄道でゆく距離感が丁度良いという事でした。

もし現代の時代背景にしたら小田急で1時間で行けるから近過ぎでしょう。ちなみに亡き談志師匠がこの根多を秩父にして演っていたそうですが、藤兵衛師匠の想定で秩父では遠過ぎるという感覚です。

続いては高座に釈台が置かれて、宝井琴柳先生の登場です。根多出しはしてなかったが演目はすぐにわかりました。元禄時代の学者荻生徂徠が、徳川幕府に仕える前の下積み時代の話といえば『徂徠豆腐』。落語根多として何度も聴いているものでした。でも公団じゃない、講談として聴くのは初めてです。

もともと講釈根多だったものと思うが落語でも講釈調でサゲもない。琴柳先生の調子も今まで聞いてきた落語と、とりたてて変わるところはありませんでした。

お金も何もなく毎日豆腐しか食えない徂徠さんの生活感、そして名も知らなかった上総屋七兵衛さんが世に出た徂徠と再会したときの喜んだ顔などが実感がこもっていました。

そしてこの話の中には赤穂浪士の討ち入りのことも出て来るが、話の筋書きとは直接関係ない。でも荻生徂徠が主君に対する忠義を通した義士に対して、武士の情けとして切腹を進言したというところで接点を持っているのでした。

仲入りがあって初席恒例のお年玉抽選会。桂藤兵衛師匠が仕切って始まりました。今年の景品は出演者の手拭い、落語協会のカレンダー、相撲協会の番付付きカレンダーなどなど。あまり数はありません。

いつもは当たらないのだが、今回は三番目に当たってしまい。もらった景品は桂藤兵衛師匠の手拭いでした。開けてみるとなかなか洒落ています。

そしてその後は橘右樂師匠の寄席文字。会場からのリクエストに応じてその場で色紙に寄席文字を書いて、リクエストした人にあげるというものです。出たリクエストは「當」「樂」「燕」「穂」「喜」「寿」「酉」、でした。

隣に座ってた人が「當」をリクエストしてもらってきたのを近くで見ると、墨の香りがして筆跡の濃淡もある。まさにパソコンの書体ではなく、肉筆の寄席文字です。

そして最後が柳亭小燕枝師匠です。この会では毎回トリは持ち回り。今回は小燕枝師匠。やはり紋付で上がってきました。そして正月の挨拶の後、マクラは酒、そして蕎麦、うどんなど冬の食べ物の話。そして入ったのが『うどん屋』でした。売り声も二八蕎麦などは粋に流すが、うどん屋はどこか間の抜けたところがある。「な〜べや〜き〜うどん」。。。。。

そして酔っ払いが同じ話を何度もする。寒い場面なのだが、この酔っ払いの語り口が何とも牧歌的。でも長い。このままだと二回りしたらかなり時間がかかるのではと思ったら、一回り半で次の場面に移りました。時間が押してるようでした。何となく話を聴いてるだけで体があったかくなってくる小燕枝師匠の高座でした。

そんなところで今日の初笑いはおしまい。次回の席は2月4日ということだったが、これはスケジュール的に行けないのでした。残念。

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