鈴本演芸場3月中席夜の部 桃月庵白酒主任 3月17日(土)

久しぶりの鈴本演芸場夜席。いつもの鈴本の夜席は客の入りが少ないと思ってたら、今日は様子が違います。今日は土曜でした。そして天気も落語日和。

開場15分前に着くと100人は並んでたかな。トリの桃月庵白酒師匠もずいぶん人気が出てきました。その白酒師匠が芸歴25周年感謝講演ということで、10日間の根多出しをしていました。今日は『火焔太鼓』を演るそうです。

待つこと暫しようやく番が回ってきたのでチケットを買ってもぎって入りました。もう後ろの席しかないかなと思って入ると、前から3列目に空き席が。どうも友達の少ない人が一人で来て一つ置きに座ってるので、間の席に入れてもらったのです。

     

さて開演、開口一番は柳家寿伴さん。あとで調べたら師匠は柳家三寿師匠ということですが、馴染みの薄い一門です。少し甲高い声が特徴で、演目は『浮世根問い』でした。

次が古今亭志ん松さん。どうもここ一年あまり寄席通いをしてなかったら、上がってくる前座二つ目の若手の顔ぶれが一変している。この人も初めてです。実に変化の激しい業界ですね。演目は『牛ほめ』でした。

続いて寄席の手品はアサダ二世さん。「今日はちゃんとやります」がお決まり文句。そして下座からはいつものかったる〜いお囃子が流れて、紐とハンカチの定番根多。タネ見せ根多ですが、観客の目線を見ながら演じてます。そして最後はカード当てでちょっと目新しい演出を見せてくれました。

そして古今亭志ん好さん。入れ替わりの激しいこの業界、この人以前名乗ってた高座名はと調べたら、古今亭志ん公でした。でももう2014年には真打昇進して志ん好を襲名してたので、こちらが時代について行ってない。芸人さんも生き残りは大変でしょうが、ファンもついてゆくのが大変。演目は『強情灸』でした。

次が柳亭燕路師匠です。この人は以前と変わらない。何度も聴いて来たお馴染みの人。ようやく時代に追いついた。もう客席もほぼ埋まり、満席の客席を前に何だか気分も良さそうです。前の演者の根多を混ぜっ返してました。そして泥棒根多の『締込み』でした。

続いて林家正楽師匠の紙切り。ご機嫌伺いの「相合傘」から始まってお題拝借。「ゴジラ」「白酒師匠」「桜」「正楽さん」・・とリクエストがつづきました。そう言えば「ゴジラ」の時のお囃子が、まさに「ゴジラ」のテーマソング。下座の何気ないレパートリーの広さを披露してました。

そろそろ仲入り前も気分が乗って来て、出囃子が「白鳥の湖」。出て来た三遊亭白鳥師匠は赤と黒のツートンカラーの着物に、胸には白鳥のワンポイント。もちろん噺は創作根多で寄席の近未来。高齢化社会で前座のいなくなった寄席に、シルバー人材センターから前座役の老人が派遣されてくるところから話の幕開けでした。案外こんな時代が本当にやってくるのかもしれない。

そして仲入り前は隅田川馬石師匠。再び古典の世界に入ってゆきました。仲入り前は持ち時間が少し長いようなので演じた根多は『野ざらし』の前半。出て来た八五郎、図々しく非常識ではあったがあまり破茶滅茶ではありませんでした。向島でハゼ釣りをしていた釣り人とも適度に仲良くという演出でした。
仲入りがあってトイレタイム。今日は満席なので男女共々用を足す人の長蛇の列。後ろに並んでる人、用を足し終わったらもう後半が始まってるのではという余計な心配。

10分の短い仲入りから、後半が始まりました。まずはぺぺ桜井さんのギター漫談。ギター漫談をする人は日本で二人、世界でも二人しかいない絶滅危惧種です。東京のJRや地下鉄の駅の発車チャイムの披露でご機嫌伺いです。そのあといろいろ声帯模写ならぬギター模写を聴かせてくれました。

次が柳家小せん師匠。今日は春風亭百栄師匠の代演です。まあのんびりとゆきましょう調です。そして演目も『あくび指南』。陽春の昼下がりの、まったりとした平和な空気が流れてました。

続いて翁家社中の太神楽曲芸。出て来たのは翁家和助さんと小花さん。和楽師匠が他界されてからすっかり世代交代のようです。見せてくれたのは傘回しとナイフの取分け。特に和助さんは今が脂の乗り切った時期と思うのだが、心なしか元気が感じられない。大御所が去って自らが扇の要になるのにはまだ時間が必要なのかな。。。

そして今日の目当ての桃月庵白酒師匠の登場です。この中席10日間は全て根多出ししてあり、今日の演目は『火焔太鼓』です。これは落語ファンなら誰でも知っている、志ん生の有名根多です。

昔は志ん生師匠に忖度して、他の人はあまり演らなかったと思うのだが、最近はそんな垣根も忖度もなくなり、誰もが演ります。それだけに演者によってさまざまな演出がなされる噺ですね。でも白酒師匠は師匠の師匠を辿ってゆくと志ん生にたどり着く、ということで古今亭本流の「火焔太鼓」なるのでしょう。

この根多が出て来た時の楽しみは、源頼朝の髑髏、岩見重太郎の草鞋、平清盛の尿瓶、巴御前の鉢巻、そして小野小町の手紙です。でも今日は出てこなかった、その代わりに出て来たのが羽柴秀吉が懐で温めた草履でした。

白酒さん息つく暇もなく喋りまくる。まあ忙しや忙しや。道具屋の甚平さん火焔太鼓を仕入れてからお殿様のところに行って300両儲けて帰ってくる。この道中を一気に駆け抜けたのでした。その儲けをおジャンにしないようお気をつけあれ。

てな具合で久しぶりの鈴本の夜席も終わりました。今日は花粉もさほど気にならなかったので、気分良く帰ることができました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です