鈴本演芸場12月中席夜の部 橘家文蔵師匠の「芝浜」12月19日(水)

日本人、いや江戸っ子が暮になると聴きたくなるのが「第九」と「芝浜」。まあ第九はこのプログでは番外なので、やはり注目は「芝浜」なんです。

最近JR山手線の品川と田町の間の新駅の名前が決まって、それが「高輪ゲートウェイ」ですって!なんと無粋な!落語ファンとして許せない!!みんな「芝浜駅」を期待していたんですよ。そんな癪な思いは別として、今上野の鈴本演芸場では、日替わり演者による「芝浜」が上演されています。そして今日は橘家文蔵師匠の出番。それを目当てに行きました。

さて開場時刻前に着くともうすっかり日が暮れてました。今は一年中で一番日暮れの早い時期、1日があっという間に過ぎてゆきます。そんな鈴本演芸場前には入場待ちの行列ができてました。今日はかなり客の入りが良さそうです。

入場していつもの2列目の右側に陣取りました。前座の開口一番の始まることろには、前の席はかなり埋まっていました。出演者も気合が入ることでしょう。そして三遊亭あおもりさんが上がってきました。

もうこの人もかなり前から見ているます。その名の通り青森県出身ということですが、江戸弁がかなり板についてきた感があります。そろそろ二つ目になる時期でしょう。演目は『黄金の大黒』でした。

次が古今亭始さん。やはり前座が終わって二つ目以上が出てくると、芸歴の違いを感じます。落ち着いた雰囲気で、演目は『二人癖』でした。

続いてはダーク広和さん。赤いジャケットを着て登場です。そしていつもと違う手品を見せてくれました。スカーフをつないだに結んだり、球が指の間に出たり引っ込んだり。そして紐が繋がったり切れたり。なんということはない、古〜〜い手品で、160年前に考案されたものだそうでした。

次が柳家小ゑん師匠。今日はマクラから絶好調で、会場は笑いの嵐です。そしてこの人は創作専科で今日の話は。演題はわからないが、家のリフォームの話でした。

そして続々出てくるのが鈴々舎馬るこさん。蕎麦の話から入ったのがおなじみ『時そば』でした。この人は古典根多をかなりいじるのだが、今日は標準通り?でもずいぶん早口で、初めの人物はすぐ終わってしまいました。

でも次のボーッと生きてる人物の時に、いじり始めました。今日は舌の回転も、いつもにも増して好調でした。

さらに春風亭一朝師匠。いっちょう懸命聞かせてくれたのが『壷算』でした。いつも思うのだがこの噺は実によく出来ている。聞いてる方も騙されてしまう話です。

次は色物で翁家社中の江戸太神楽。ちょっと息をつくひと時です。今日は和助さんと小花さんの二人で登場。いつもの傘回し、五階茶碗、土瓶、そしてナイフの取り分けでした。

そして仲入り前は講談、宝井琴調先生です。この時期に講談といえば、忠臣蔵や赤穂浪士にまつわる話。今日は『赤穂義士外伝~小田小右衛門』でした。初めて聴く話だが、改めて忠臣蔵というのは裾野の広い物語です。仲入りがあってから再び幕が開きました。

そういえば今日出演予定のホンキートンクが病気で休演とありました。その代演者が出てくるはずと思ってたら、出てきたのは柳家小菊さんでした。寄席の彩りです。

まずは鈴本、いや吉原へご案内〜〜、そしてさのさ酒尽くし、寄席の大作三部作、蛙、蛇、ナメクジ。気前よく、そして品川甚句で締めてくれました。

続いてが柳家甚語楼師匠。今日はもともとの出演順序の入れ替えもあって、本当はもっと早い上がりだったのがこの順序で出てきました。あんまり時間もなかったのかな、演目は『金明竹』。あの仲買の弥一の使いの口上を、一気に一息で息継ぎもせず語り尽くしてました。

そしてトリ前は林家楽一さんの紙切りです。何だか高座に上がる時の歩き方からお辞儀まで、師匠そのままのような感じです。まずは横綱の土俵入りでご機嫌伺いです。

切りながら話してたのが、幼稚園などでの出張公演で出てくるリクエストが、象さん、キリンさん、カバさん・・・。なんだかこの人が子供の前で紙を切ってるのが目に浮かんできたのでした。あとは「大谷翔平」「立川談志」。こんなのしか出てこないんだったら、「象さん」をリクエストしたらよかったと後悔しました。

いよいよ最後は橘家文蔵師匠の『芝浜』です。後ろを振り返ると客席も7割8割埋まってたようです。登場と同時に「待ってました」「待ってました」と怒鳴る声。文蔵師匠苦笑い。でも演者にとって掛け声は嬉しいということです。

マクラも短く本根多が始まりました。ずいぶん声を抑えてる。いつものド迫力のイメージとは違います。しっとりと語っています。会場もシーンと聴き入ってました。

「芝浜」という噺は、現代のドラマと比べると抑揚の乏しい噺。でもなぜこんなに人気があるのか。やはり歴代の名人たちの名演が残されて、ファンもそこから入ってゆくからなのかな。また江戸の人情豊かな庶民感覚にホッとさせられるところがあります。冬の寒風の中で心が暖ったまってきます。

そんなことを考えながら聞いていると、やがてサゲの「夢になるといけない」、で終わりました。

鈴本の芝浜週間もこれが最後で、予定を見ると明日は「柳田格之進」。2018年の今年も残すところあと2週間もありません。

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