鈴本演芸場特別興行「狂言噺若戯」〜落語と狂言〜 11月16日(火)

1111shungiku01これは実にユニークな趣向です。落語と狂言の共演。何と鈴本演芸場160年の歴史の中で、狂言が行われたのは初めてだそうです。狂言だけでなく、なぜか上方落語作家の小佐田定雄さんも登場するのです。そして狂言演目「佐渡狐」から小佐田さんが創作した噺を聞かせる趣向です。それを受け持つのが柳家三三師匠です。

こういう珍しいものを見るチャンスを逃すことは江戸っ子の恥。。。。なんてそこまでは言わないが、やはり向学のためにも見過ごすわけには行きません。

その一方今日は二の酉のお酉さまの日です。鈴本へ行く前に時間があったので、浅草の鷲神社へ赴いて酉の市を見物してきました。とにかく凄い人の出です。参拝者の行列は入り口の鳥居から表通りにはみ出して、狭い歩道を右と左に泣き別れ状態でした。

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そんな人混みをかき分けかき分けと市の中をぐるっと一回り。そして上野広小路の鈴本演芸場に向かったのでした。

鈴本の入り口に着くと、当日売りのチケットは立ち見とのこと。事前キャンペーンが行き届いてたのでしょう、鈴本の夜席が満席になるというのは実に目出たい話です。

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会場が18時でその直後に入場。まだあまり客はいません。でもしばらくするうちにどんどん増えて、19時の開演時刻にはほぼ満席です。そして始まりました。

特別興行ということで、いつもの前座の開口一番はありません。幕が上がると今日の出演の4人、落語の柳家三三師匠、狂言師の大蔵基誠師、落語作家の小佐田定雄師、そして鈴本演芸場の鈴木敦氏が頭を下げていました。それから座談になりました。今日は客席からやいのやいのの声がかかります。どうやら関係者の動員集客がたくさん来ているようです。

座談も芸談のようなものではなく、狂言の見方と実演が主でした。多くの観客が狂言を見慣れてないということを想定していたようですが、「今まで狂言を見たことがありますか?」という問いに対して、半分以上が手を挙げたのです。

それでも予定していたのでしょう、笑いの型、怒りの型、悲しみの型、など狂言の表現を披露。もともと屋外で行われていたことで、万事大袈裟なんです。無表情の役者が突然大声で笑い出し、再び無表情。その表情の落差が面白い。その後に狂言の冒頭で必ず行われる名乗りの実演を見せてくれました。言葉は室町時代の言葉で、いささか解説が必要なくらいわかりにくいものです。

その間いささか三三師匠の存在感が薄かったが、その後スポットライトが当てられました。今日の根多出し演目が実は狂言と関係の深いものでした。「金明竹」もそのルーツに狂言が関係してたようなのです。

その後主催者側からのサービスで、いつもは固くお断りという公演中の写真だが、四人の出演者の舞台でのポーズの写真を撮っていいとのこと。多くの観客がデジカメやスマホタブレットでパチパチと撮っていました。

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そうこうしているうちに座談が終わり、柳家三三師匠の『金明竹』が始まりました。「金明竹」と言えば最近では前座噺になってしまっていますが、真打以上の「金明竹」は久しぶりです。でもやはり真打の実力は違います。松公と傘、猫、そして旦那。このボタンの掛け違いの笑わせどころ。そして加賀屋佐吉方の仲買の弥一の使いの大阪弁。しっかり笑わせてもらいました。

次は狂言になるのだが出囃子はありません。一瞬鈴本の舞台が静まり返って『寝音曲』が始まりました。主人と太郎冠者が登場。

『寝音曲』と言えば何度か観ているのですが、一番記憶に残ってるのが北澤八幡での素人狂言の発表会です。その時には役者が母親と男の子。母親が主人役で子供が太郎冠者でした。その時の太郎冠者の子供の言い草が実に面白かった。

でも今日は太郎冠者は大蔵基誠さんで、この人はかなりの大柄です。そんな基誠さんが主人の膝に枕してゴネるのです。同じ『寝音曲』の演目でも、演じる役者の個性によって全く異なった雰囲気になるものです。

そこで仲入りがあって、再び狂言です。今度は『佐渡狐』。これは初めて聞く演目です。最後まで見ていたら、この噺には落ちがありました。狐の鳴き声が「トーテンコー」。そういえば最初の座談で動物の鳴き声の実演で、鶏がトーテンコーと鳴くのを見せてくれたが、実はこの噺の落ちの仕込みでした。もうひとつこの噺に出てきたのが袖の下、これが次の落語の『亀の甲』への仕込みになっていたのです。

そして最後が柳家三三師匠が『亀の甲』。これは「佐渡狐」インスピレーション落語となっていましたが、これをヒントに小佐田定雄さんが書き下ろした創作なのです。共通点を見つけてくださいと、観客へお題が出されていました。

最初が八っぁんと横町のご隠居さん。そのご隠居は知ったかぶり屋で、まるで「つる」や「やかん」のような始まり方です。そのうちに「やかん」路線から外れて独自の創作の世界に入って行きました。それは亀の甲羅場で亀が甲羅を脱ぎ捨てて、もっと大きな甲羅に着替えるという話?そしてサゲになったと思いきや、続きがあったのです。

作り話と思ってた亀の甲羅場が実在した。そのあとは狂言のような話の組み立てです。そしていくつもの狂言の最後に出てくる「やるまいぞ、やるまいぞ」を摸したサゲで終わりました。その間に鳴りものも入り、実に手の込んだ演出。これは今日の一期一会の芸となることに違いない。

1117tawamure12実に珍しいものを見せてもらったという気分で終わりました。最後は再び四人の出演者が舞台で頭を下げて、幕が下りたのでした。帰り際、前座さんがいつもの追出し太鼓を叩いていました。

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