酒米「亀の尾」を使った美味い酒

贔屓の柳家小満ん師匠のエッセイ「小満んのご馳走」を読んでいたら、妙に心に引っかかる一節がありました。それは新潟県の久須美酒造の醸造する「亀の翁」という銘柄を絶賛しているのです。

「獺祭」のような大量販売の銘柄ではない、希少銘柄です。でも小満ん師匠が推薦するなら、何か際立った特徴があるのではと、その久須美酒造を訪ねたこともありました。残念ながら予約なしに行って見学したり、その場で購入できるものではありませんでした。そこで長岡市内にある酒販店で求めてみました。

そのオリジナル銘柄の「亀の翁」は720mlで9千円代。ちょっと手が出ない、と思ってたら、その酒販店の店主が、「亀の翁」と同じ酒米を使って、同じ杜氏が別の酒蔵で作ったものがあるということ。純米大吟醸で価格も1900円だったので迷うことなく購入したのでした。正月に飲んだら実に美味かった。

その時はそれで終わったのだが、あれから「亀の翁」が頭から離れない。調べるうちに同じ酒米「亀の尾」を使った銘柄はいろいろあり、新潟県だけでなく、東北地方一円の酒蔵で作られていることがわかりました。

「亀の尾」はもともとは山形県が起源の米の品種で、寒さには強いが、害虫に弱い一方化学肥料が使えないなど、栽培が難しいということで、一時は米農家から見向きもされなくなった。

ところがこの米を使った酒が美味いという伝説を頼りに、久須美酒造が酒米として栽培を始め、それを使った銘柄として「亀の翁」は製品化されたそうです。さらにその米を他県の酒蔵にも伝えて、これを使った銘柄がいくつも誕生するという経緯がありました。

そして東京でも、通販抜きで手に入ることがわかったのです。渋谷のデパ地下で、酒コーナーの店員に聞いてみると、最近ずいぶん入荷することが多くなったと言っていました。そこで購入したのが「亀仙人」。山形県の銘柄で、「亀の尾」100%精米歩合42%の純米大吟醸。そして生酒。生酒だから冷蔵保管しなくては、味が変質してしまう。1升瓶から冷蔵庫に入るボトルに移したのでした。

以前、二子玉川のデパ地下で宮城県の「阿部勘」という銘柄を購入したことがあったが、「亀の尾」を原材料とした酒には共通の風味があります。酒米として有名な「山田錦」とは明らかに風味が違う。美味いだけでなく、何か強烈な自己主張を感じるのでした。

美味い日本酒の銘柄は沢山ある。「浦霞」「一ノ蔵」「鮎政宗」「妙高山」「八海山」「天狗舞」「獺祭」・・・。でも「亀の尾」の酒は、何か日本酒党として、これが求める酒のゴールなのだという感触を抱いたのでした。

「亀の尾」の由緒

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