落語協会真打昇進披露 林家たけ平 鈴本演芸場 3月23日(水)

1213hikomaru10この春落語協会所属の5人の噺家さんが、晴れて二つ目から真打に昇進しました。そしてこの21日から真打昇進披露公演が、鈴本演芸場を皮切りに、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、そして国立演芸場へと、寄席会場を渡りながら行われます。

今回昇進するのは、林家たけ平さん、林家彦丸さん、林家ぼたんさん、月の家小圓鏡さん、そして台所鬼〆改め、おさんさん。そのうちたけ平さん、彦丸さん、おさんさんは贔屓をしている人たちなのです。あたしの場合一度でも個人的に言葉を交わした人を贔屓と呼んでいます。

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今回はこの3人の公演日に1回は訪ねて行こうと画策、そして第一号が林家たけ平さんの日なのでした。たけ平さんとは高円寺のちとしゃん亭でのお馴染み。「たけ平・小夏の勉強会」を開催していました。そこでこの人の声の良さに注目したのでした。無理せず地声で後ろの隅々まで届くというのは、落語家が天から授かった才能ですね。でも今日、たけ平さんの声を聞けるのは最後の最後です。それを楽しみに入場です。今日は満員札止めになる予想でしたが、開演前ということで前から四列目の席が確保できました。

0323takehei01 0323takehei02開演になるまで、途切れることなく客が入ってきます。8割位埋まった頃に前座の開口一番、ではなかった、古今亭志ん吉さんはもう二つ目でした。演目は、ってぇとあまり聞いたことのない噺。馬鹿の与太郎が頓智を聞かせるのです。後らか調べたら『穴子でからぬけ』でした。でも落語に出てくる与太郎って、単なる馬鹿ではないのです。洒落っ気のある馬鹿なのでした。

続いては伊藤夢葉さんの手品。いつもの鞭も出てきました。そして3枚の輪を繋いだり外したりの芸。いつも見ているのだが、その芸の演題を知らなかった。「チャイナリング」と言うんですね。

その後は長さの違う3本の紐の長さを同じにする芸。そして最後に「寿」のスカーフが出てきました。林家たけ平さんへのエールでした。

次が三遊亭歌奴さんが『佐野山』。今大相撲大阪場所開催中です。稀勢の里どうなるかな。そういえば鈴本演芸場へ向かう道中、どっかで見た人が横断歩道を渡ってきた。それが歌奴さんでした。そして鈴本の楽屋に消えて行きました。

そこで色物が入り、漫才のニックスのコンビ。この二人は実の姉妹でお爺さんがアメリカ人。それで姉さんがボケで妹がツッコミでした。そして話題は茶道、裏か表かどっちかわからないが、どっちでもいいようです。

続いては林家正雀師匠です。正雀師匠のお弟子さんの林家彦丸さんの披露公演は今日ではありませんが。今日はたけ平さんへの激励出演でしょうか。そこでやたらに出てきたのが浪花千栄子さんとオロナイン軟膏の話題。演目は初めて聴く話で演題はよくわかりませんでした。

今日は本当にめまぐるしく入れ替わり立ち替わり、五明楼玉の輔さんは新作根多でした。どうもいつもと違い、今日は演題のわからない根多が多い。ちょっと悔しい思いです。

続いては林家正楽師匠の紙切りで、いつもの「相合傘」から始まって「花見」、そして客席からのお題で「竹馬」「松竹梅」。よく見ると今日の紙切に刻まれる人のシルエットは、すべてたけ平さんの横顔だったのでした。やることが洒落てますね。

そして落語会最高顧問の鈴々舎馬風師匠。持ち時間も少ないということで、週刊現代とか週刊大衆のような週刊誌に出てきそうな時事根多に終始して言いたい放題、そして次にバトンタッチです。

仲入り前は落語協会会長の柳亭市馬師匠。馬風師匠の後に出てくると、やけに真面目そうに見えます。祝辞を述べた後すぐに本根多、『親子酒』でした。持ち時間のためか、かなり端折ったようです。お父っあんの酔っ払い場面も短く、すぐに息子が帰ってきました。そして「顔が七つもある、こんな化け物に身代は譲れない」「こんなぐるぐる回る家は要らない」

そして仲入りがあり、再び幕が開くと今日の主役の林家たけ平さん、いや師匠です、を中心に左は五明楼玉の輔師匠、春風亭小朝師匠、右は柳亭市馬師匠、鈴々舎馬風師匠、そしてたけ平さんの師匠の林家正蔵師匠が並んでました。

一人一人口上を述べてゆくが、もはや堅苦しい空気など微塵にもありません。これまで見てきた落語界のお披露目の中でも、今日は特に砕けてました。砕いた人は馬風師匠で、きっとこの人は、この世にもう怖いものなんて何も無いんでしょうね。

たけ平さんに関するいろいろなエピソードが語られたが、何と言っても正蔵師匠にとってこぶ平時代に入門した一番弟子です。デリケートそうな正蔵師匠のお顔にも、落語人生の節目を迎えた一つの安堵感が感じられたのでした。

最後が柳亭市馬師匠が自慢の喉を披露しました。市馬師匠の相撲甚句と馬風師匠の三本締めで終わりました。

それから後も小刻みに続々高座に上がってきますが、その前に翁家小楽さん翁家和助さんの江戸太神楽。いつも見ている芸と思いきや、和助さんが土瓶回しを始めました。これは非常に難しい芸と聞いてたが、運動神経抜群と思える和助さんも、苦労の跡が見えました。まだ根多下ろしに近いものなのかもしれません。

そして春風亭小朝師匠の登場です。鈴本のような寄席で小朝師匠が見られるというのは、大変珍しいことなのではと思います。でも今日はたけ平さんの日なので、きっと控え目に済ますだろうと思ってたら、これは意外な根多、『目薬』でした。かなり際どい下ネタですね。

そのあとすぐに林家正蔵師匠。『鼓ヶ滝』です。西行法師の和歌修行という、思いっきり格調の高い根多でバランスをとったのでしょうか。

いよいよトリも近くなりましたがもう一人、林家あずみさんの三味線漫談。でももう時間が押してるようです。「梅が咲いたか」ともう一曲で降りて行きました。

もう客席は立ち見も出る満席状態、そんな中に林家たけ平さんの登場です。「待ってました」の声もかかりました。音響効果の良い鈴本で、たけ平さんの声は実に心地よく響きます。

二日前の初日には『扇の的』を演ったと聞いたが今日はいかに。豆腐の話から入ったのが『徂徠豆腐』でした。徳川綱吉将軍に仕えた荻生徂徠の出世物語で、まさに真打昇進披露にふさわしい演目でした。

0323takehei07たっぷり語ってくれました。笑いどころは少ないが、満員の観客はしっかり聴き入ったのでした。たけ平さんも今日は本当に手応えがあったのではないでしょうか。

ちとしゃん亭で親しくなって贔屓先になった林家たけ平師匠の晴れの舞台を、しっかり堪能しました。終わったのは21時20分頃でした。

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