歌舞伎鑑賞教室「日本振袖始」国立劇場 7月8日(日)

毎年6月と7月の国立劇場では、歌舞伎鑑賞教室が行われています。これは中学生、高校生、大学生、社会人、そして外国人向けの歌舞伎のPRを兼ねた公演です。入場料も安く有名演者の歌舞伎が観れるので、大変お得感があります。但し一幕だけなのですが。

更に言えば歌舞伎のイロハから若手の役者さんが説明してくれるから、イヤホンガイドなどなくてもよくわかります。なのでこの時期になると必ず1回は観に行くのでした。

昨日までの雨がようやく収まり、と言っても東京ではさほど降らなかったが、岐阜県と関西以西は大変な水害です。被災地の人たちの無事を祈らずに入られません。そんな中国立劇場に足を運んだのでした。

ここではも鑑賞教室としての対象者が優先で、一般客はその後ろの席になります。その対象者が中学生高校生の場合は、入場前から賑やかそのものです。そして席に着いても劇場の空間全体がガ〜〜〜と唸ってるのです。そして今日はというと、少なくとも中高生ではない。社会人なのかな?いつもより若い人たちが多いように思われました。

今月の演目は『日本振袖始』。でもこの演題から実際の物語は全く想像ができません。実は素戔嗚尊の八岐の大蛇退治の話なのです。それがなぜ「日本振袖始」なのか?誰もが抱く疑問なので、前半の「解説歌舞伎のみかた」の中でしっかり説明がありました。

開演で場内が一時真っ暗になって、花道のスッポンから現れたのは、坂東新悟(大和屋)さん。今日は稲田姫役で出てきます。いつもの通り歌舞伎用語の説明に入りました。舞台装置の説明、スッポン、花道、揚幕、定式幕・・でも今日は回り舞台の装置などは省略していました。

上手下手や黒御簾などの説明をしてから、舞台裏から小鼓、大太鼓、笛が出てきて実演。ツケが鳴って立ち回りの実演のあとに見得を切る。その後女方の演じ方の実演。そして義太夫節の竹本が出てきました。そこで一趣向。

昔の難解な言葉回しを、あえて現代の言葉に置き換えて、竹本が唸って聞かせてくれたのです。よくわかったのだが何だか言葉が軽くなったような感じ。そして場外乱闘のような立ち回りを見せてくれました。

そのあと今日の演目の『日本振袖始』の解説に入りました。これは「古事記」「日本書紀」に記されている題材を元に、近松門左衛門が書き上げた作品です。その演題の意味とは、八岐の大蛇の生贄に出された稲田姫の袖に、名剣一振りを忍ばせていた事が、「振袖」の起源ということです。

この中で八岐の大蛇とは八つの首を持つ大蛇、これをどのように表現するかが最大の見どころとして観てほしいということで、前半の「解説歌舞伎のみかた」が終わりました。幕間です。
20分の幕間の後、「日本振袖始・出雲国簸の川川上の場」ここは八岐の大蛇の棲む窟に8つの瓶が置かれていました。八岐の大蛇の8つの頭が各々酒を飲む想定です。そして室の中には生贄の稲田姫がいました。

そしてスッポンから岩長姫(中村時蔵/萬屋)が出てきて、8つの瓶に入った酒に誘われて、それを飲みながら酔って行く場面がしばらく続き、そのうち次第に大蛇の本性を現して、稲田姫に襲いかかってひと呑みにしてしまうのでした。

次に素戔嗚尊(中村錦之助/萬屋)が威勢よく現れて、八岐の大蛇との一騎打ちです。そこに現れたのが、中村時蔵さん演ずる八岐の大蛇本体に加えて、分身が七人現れて合計8人。

ここでは激しい立ち回りというよりも、八岐の大蛇と素戔嗚尊を加えた9人で、さまざまな形を決めて行くような演出です。そして形を決める瞬間に、大向こうから「よろずや!」の掛け声が入りました。

そして稲田姫が隠し持った名剣で大蛇の背中を破って現れ、7人の大蛇の分身も討たれて消えて、本体だけが残りました。でもそこで討たれて倒れるのではなく、素戔嗚尊と稲田姫も加えて、3人で形を決めて終わりました。

まあ、今日は話もシンプルで実に分かりやすかった。これならば中高生でも、解説なしでもよくわかったのではと思うのでした。

終演の後外に出るとまだ十分に明るい。でもちょっと残念なのは、劇場のロビー横の和風カフェが、3月をもって閉店していました。いつも国立劇場へ行った時時間つぶしで入って、気に入っていたのですが。蒸し暑い中を、ちょっぴり寂しい気持ちで帰宅したのでした。

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