完全通し狂言「仮名手本忠臣蔵」第2部 国立劇場 11月25日(火)

1125kanadehon01 1125kanadehon02国立劇場開場50周年記念公演の「仮名手本忠臣蔵」、今日は第二部を観にゆきました。第一部では四段目まで。判官切腹と塩冶家のお家取潰し、そして城の明け渡しで終わり、今日はその続きになります。

この講演も千穐楽間近、11月も下旬となってすっかり寒くなりました。会場の国立劇場に着いたらすでにチケットをもぎってる。

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入るとまだ客席の入り口は閉まってる。どうやら客を寒い屋外ではなく、ロビーに入れて会場待ちをしてもらう取り計らいだったようです。すぐにその入り口も開いて中に入りました。今回の席は1階の真ん中左寄りの席で、花道からもかなり近いところの位置です。

1125kanadehon03今日の構成は、
浄瑠璃 道行旅路の花聟
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場

実に単純な構成なのだが、一つ一つの場が長〜いのです。

待つ事暫し、舞台の緞帳も定式幕に変わっていよいよ開演です。その定式幕の開き方がなんだか変?何故か右側の上手から引かれてゆく。これには訳があるとのことです。

とにかく「仮名手本忠臣蔵」元禄の昔から数多く上演されて来た演目ということで、様々な演出上の取り決めがなされており、この幕の引き方もその一つなんでしょう。

場面は「道行旅路の花聟」夜明けの東海道戸塚の場面です。舞台は明るいがまだ夜明けの街道で、背景には富士山が見え満開の桜です。この場面は重苦しい場面が続くこの狂言の息抜きという意味もあるということです。

早野勘平役は中村錦之助(萬屋)さん、お軽役は尾上菊之助(音羽屋)さんです。でも華やかな演出の舞踊にもかかわらず、勘平は主君の大事に居合わせなかったことを悔やみ自害しようとする。深刻な心境です。

それをお軽になだめられながら、そしてお軽に横恋慕して追っかけて来た鷺坂伴内(坂東亀三郎/音羽屋)を追い払って、お軽の故郷の山崎に落ち延びたのでした。

そして続けて五段目に入りました。まず雨と雷の山崎街道での早野勘平と、塩冶家家臣の千崎弥五郎(河原崎権十郎/山崎屋)との出会い。そこで勘平が鉄砲渡しをして、相手を確かめたところ同じ塩冶家家臣であることを確かめて、仇討ちに加えて欲しいと懇願。その資金調達を申し出たのでした。このやり取りは雨の中の真暗闇の中でという設定です。

次に五十両を懐にした与市兵衛の登場、稲藁の前で一休みしたところを山賊の斧定九郎(尾上松緑/音羽屋)に殺害されて、その定九郎も二つ玉の場で、猪と間違われて勘平に撃ち殺されてしまう。

この場は落語根多では「中村仲蔵」の中に出て来ます。元々は四段目と六段目のつなぎの段で、それまでの観客はその上演中に食事をしたりなどしていたのを、二代目中村仲蔵が見せ場にしてしまったとあります。それが定九郎の死に方で、撃たれてから口から鮮血。足を真っ赤に染める演出。今日もこの中村仲蔵の演出を継承して見せると言っていましたが、思いの外鮮血も少なく控えめでした。その間わずか数分です。そこで勘平が定九郎の懐から五十両を抜き取ったのが運の尽きでした。

ここで35分の幕間があって弁当タイムです。そして勘平の腹切裏の場である六段目が始まりました。四段目では判官切腹、六段目では勘平腹切り。この違いは勘平の方がより凄惨ということなのか。

お軽が祇園に身売りされ、与市兵衛の亡骸が届けられ、与市兵衛女房おかや(中村藤蔵/加賀屋)に与市兵衛殺害を疑われて、勘平の立場が悪くなってきます。千崎弥五郎と原郷右衛門(中村歌六/播磨屋)が現れて、先に渡していた五十両を受け取ってもらえずさらに窮地に。そこで腹を切ってしまった。

そこからが長い。やがて疑いが晴れて仇討ちに加えてもらうことになって、なんと腹から臓物を取り出して血判状に。その間30分くらい経過してたと思うが、介錯もしてもらえず最後の幕まで勘平は死ぬことがありませんでした。

この間おかやの役というのも芝居を締める重要な役柄だそうです。解説を見てみると中村藤蔵さんの演技を讃えている記述がありましたが、なんとも渋い役ですね。

この狂言での早野勘平の役作りは、代々の音羽屋によって為されていたそうです。その伝統の継承者ということで菊五郎さんが務めたのでしょう。イメージ的には錦之助さんの方が合うかなと思ったのだが、やはりここは音羽屋として譲れないものがあるのかもしれません。

そこで20分の幕間。お茶タイムです。そして七段目が始まりました。六段目よりさらに長い、2時間弱の段です。そしてこれも「七段目」という落語根多として取り上げられています。

この段のテーマの一つは、敵と味方の両者を欺くための大星由良之助(中村吉右衛門/播磨屋)が、本懐を隠して遊びふける場面。そしてもう一つがお軽(中村雀右衛門/京屋)と兄の寺岡平右衛門(中村又五郎/播磨屋)とのやり取り。その間探りを入れている獅子身中の虫、斧九大夫(嵐橘三郎/伊丹屋)。この段は忠臣蔵の中でも、関連する役柄の内面的な展開が見せ所ですね。その意味でも最も中心となる段とも言えるかもしれません。

落語の「七段目」では芝居好きの若旦那が親父の旦那から幽閉されて、その見張りに遣わされた定吉と芝居の真似事。これがまさにこの七段目の平右衛門になったつもりの若旦那が、が定吉のお軽に死んでくれと斬りかかる場面でした。階段から転げ落ちて、どこから落ちたのか。七段目。。。

その後平右衛門から父与市兵衛の死や、勘平腹切の話を聞かされたお軽の驚愕した心情。これは舞台の暫しの静寂で表現されていました。義太夫もその間は語りを止め、実に重苦しい静寂の間が続きます。お軽絶望の間でした。

その後全てを聞いていた由良之助が現れ、床下に潜んでした斧九大夫を引っ張り出して成敗し他のでした。この展開はまさに人間国宝の吉右衛門さんの独壇場でした。平右衛門も四十七士に加わることが許され、一気に仇討ちに向けての機運が高まったところで七段目も幕切れになりました。続きは来月です。

それにしても今日はなんとも長〜い公演でした。11時開演で終演は16時15分。終わったらもう国立劇場の外は夕闇近し。今は日の入りが一年で一番早い時期なのでした。

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