国立演芸場11月上席 橘家文蔵襲名披露 11月6日(日)

1106bunzou01橘家文左衛門師匠は高円寺のちとしゃん亭でも何度か言葉を交わした贔屓の噺家さんです。その文左衛門師匠が、師匠の名前を継承して三代目橘家文蔵を襲名するおめでたい席です。

この襲名披露公演は9月の鈴本演芸場を皮切りに、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場と休む間もない連続公演です。おめでたい反面、楽じゃあないですね。

もともと文蔵師匠はコワモテで鳴らしてきましたが、この襲名披露のアップのチラシも、何か圧倒してくるようなオーラが出ています。これをみて本当は、9月の鈴本の席へ行くつもりだったが、行きそびれて今月まで予定を伸ばしてるのでした。

1106bunzou02 1106bunzou03 1106bunzou04 1106bunzou05早めに国立演芸場に着くと、いやでも目立つのが文蔵師匠の幟です。これも何か他を圧倒するような存在感を感じます。それを横目にロビーの席に座って、開場を待つこと暫し、ようやく開場となりました。

席は右側の前から4番目、近すぎもなく遠すぎもなく丁度良い席です。やがて開演になり、まずは前座の開口一番。春風亭一花さん。一度見たことがある。今年7月に見に行ったこはるぴっかりの女性だけの落語会の前座で出ていたのでした。何だか中性的なキャラだが声は女の子。でもあまり違和感を感じさせずに『たぬき』のような根多を演る。さてこれからどんな芸風を確立するのかな。

次が古今亭志ん吉さん、この人も何回か見ているが、過去記事を見るとずいぶん試練に満ちた高座だったようです。でも今日は演目は『子ほめ』普通に演じていました。

続いては入船亭扇辰師匠。悋気は女の慎むところ、疝気は男の苦しむところ。 焼き餅は遠火で焼けよ焼く人の、胸も焦がさず 味わいもよしということで、どうやら演目はやきもちの話のようです。早い上がりでは重い噺はない。『悋気の独楽』でした。

そこで幕が下りて再び開くと、ぺぺ櫻井さんの登場です。オレンジ色の派手なジャケツとにギター漫談です。ここで面白い芸を見せてくれました。それはギターで「禁じられた遊び」を弾きながら、全く関係ない演歌調の歌を歌う。寄席でこそウケる特技と言えるかもしれません。

続いては桂藤兵衛師匠です。つい先日も神田神保町文化寄席で出会ったばかりです。今月は九州場所ということで相撲の話題で、『こり相撲』の一場面。あの酔っ払いの徳利に小用してしまう話。これで終わるかと思ったらもう一つ。上方から帰ってきた相撲取りの話。帰る道中の富士山の半分雪と、カミさんの謙遜した『半分垢』。これを景気良く演って下りてゆきました。

次が三遊亭吉窓師匠です。噺家さんのスキンヘッドは別に珍しいものではないのだが、なぜかこの人のスキンヘッドはよく目立ちます。以前は落語界のジダン(・・古い!)なんて言ってみたり、とかく自虐的な笑いを振ります。

そのあと世間知らずのお殿様の話から入ったのが『目黒の秋刀魚』でした。あまり尾鰭もつけず短くまとめた「目黒の秋刀魚」でした。そして仲入りだが、時間的にずいぶん早い。前半の演者さんは皆な短く話を終えていたようです。

そして拍子木が鳴り橘家文蔵師匠の襲名披露が始まりました。並んでいるのは下座から入船亭扇辰師匠、三遊亭吉窓師匠、真ん中が橘家文左衛門改め橘家文蔵師匠、春風亭一朝師匠、そして桂藤兵衛師匠でした。

一瞬あまり関係の薄い人が並んでるようにも見えましたが、橘家というのは林家の一門で紋(光琳蔦)も彦六一門と同じものを使ってるんですね。という意味で林家の親戚が居並んでお祝いの口上を述べていました。

あと吉窓師匠はお世話になった兄さん、扇辰師匠は一緒に「三K辰文舎落語&ライヴ」のような企画を進めている仲間内と言うところのようです。

9月の鈴本での披露公演皮切りから46日間連続出演と言っていたが、おめでたい一方大変なんですね。名跡継承も体力勝負のできるうちにやっておかないといけない世界ではと思わされました。

三本締めが終わってアサダ二世さんの手品。最近寄席の手品は種を見せてしまう演出がよく見られますが、この人も同じ手法で笑いを取ります。そうなんです。寄席という場では摩訶不思議な手品で唸らせるより、笑わせる方が優先される場なのでしょう。しかしいつも気になるのは、アサダ二世さんの時の下座の三味線なのです。あの脱力感満点のかったるい響き。。。

次が春風亭一朝師匠が上がってきました。いつもの歯切れ良い江戸弁で『壺算』。この噺は実によくできた話で、話の中で壺を売る店の店員を混乱させるだけでなく、聴いてる観客の頭の中も混乱してきます。テンボが早いと聴いてる方も頭の混乱したままで話が終わってしまいます。その混乱が面白いんですね。

続いてはロケット団の登場。そう言えばずいぶん久しぶりに見た気がします。最近売り出し中の母心のような元気の良い漫才コンビを見るにつけ、ふっと思ったのは、ロケット団はどこへ行っちゃったのかな。。。

そんな想いの中、帰ってきたロケット団。でも不在の原因がわかりました。コンビの一人三浦さんが膝のお皿を破る負傷で、入院していたと言ってました。そして今日は元気一杯の山形お国自慢。でも心なしか倉本さんの存在感が薄かったような。。。

そして最後が橘家文蔵師匠のトリです。固定的になっているコワモテイメージを思いっきり払拭するような繊細な根多、『文七元結』が始まりました。長い噺です。そうか、これがあるからその前に上がった演者さんは短めに終えていたのか。

会場には贔屓筋の関係者も少なからずいたようですが、皆んな文蔵師匠の語りを静かに聞き入っていました。そして人情味豊かなこの噺、涙も誘われるこの噺。気が付いたら1時間を超える長講でした。文蔵師匠の『文七元結』は何度か聴いているが、彼はこの噺が本当に好きなように感じられました。
1106bunzou06終演が17時10分前。秋の夕暮れはつるべ落とし。もうすっかり日も暮れて薄暗くなっていました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください