三遊亭鳳樂独演会 日暮里サニーホール 4月27日(木)

どうも贔屓の三遊亭鳳樂師匠の独演会の時に限って、何か他のスケジュールが入って行けないことが続きました。そしてこの日暮里の独演会は1年ぶりなのです。今回は北信濃行きを延ばしたのでスケジュールが空いて、駆けつけることができました。

もう4月も終わりで随分日も長くなり、開場時の18時はまだ真っ昼間。折しもこの独演会と並行して行なっていた、圓生百席に挑戦が終わったところで、一区切りついたお祝いの雰囲気がありました。また新しい挑戦というところでしょうか。

開場待ちをしていたらすぐに開場。とは言っても受付にいる顔ぶれは知ってる人ばかり。本当に鳳樂師匠の追っかけ隊が支える落語会とも言えます。

     

この日暮里サニーホールの客席は、前半分が平らな床にパイプ椅子を並べたものです。一方高座があまり高くないので、座る位置によっては前の人の頭が邪魔になります。福禄寿みたいな人が前に座ったら目も当てられません。そんな邪魔されない位置に陣取り、開演を待ちます。

 

そして開演で開口一番は三遊亭鳳月さん。前座とはいえ落語以外での芸歴の長い人だから、安心して聴いていられます。今日の演目は『手紙無筆』でした。

次が三遊亭鳳志師匠です。一瞬もう出てくるのと思ってしまったが、いつも必ず出てくる人が今日は姿が見えません。三遊亭鳳笑さん、どうやら今日は他の席へのお座敷なんでしょう。何しろ「かわら版」を開くと、毎日都内で100箇所くらいで落語会が行われています。そして落語ブームに乗ってあちこちに出演することは嬉しいことでしょう。

そして鳳志さんはちょっと珍しい噺を始めました。ガチャガチャ女房のお松がご隠居さんのところに現れた。お松といえば上方では雀のお松、雷女房のお松ですが、落語の世界でお松というのは、亭主に嫌がられるがさつな女の代名詞ですね。それが焼きもちを焼く。

そこでご隠居さんがお説教、その題材が「風吹けば沖津白波たつ田山 夜半にや君がひとり越ゆらん」。これは在原業平の奥方の井筒姫の詠み歌で、これで業平を自分のところに引き止めた逸話。少しは気の利いた洒落で亭主の心を引き留めなさいというところ。そのあとはいつもの落語のパターンの展開です。

でも演題は「洒落小町」。小野小町は名前程度であまり出てきません。でも「雨乞い小町」「通い小町」に「洒落小町」・・やはり小町でなくては話が始まらないんですね。ちなみにこの噺は、「圓生百席」の一つにもあります。

続いてが三遊亭圓福師匠です。これまた珍しい噺を始めました。何と『疝気の虫』のようです。「洒落小町」で教養高い知的な空気になったのが、思いっきり知的レベルが落ちました。

最近疝気なんという病名を聞いてもピンとこない。医学の発達によって無くなったのかと思えばそうではない。男の患う下半身の痛みを伴う病を「疝気」と総称してたのが、医学の発達で細分化された挙句、総称の「疝気」がとっかへ飛んでいってしまったようです。

この噺、以前立川志らく師匠のを聞いたくらいで、あまり出会ったことがありません。志らく師匠はそこに出てくる疝気の虫を実にキモチ悪く演じていました。圓福さんはそうでもありませんでした。

そしてこの噺はサゲが微妙です。演者によって演じ方がみな異なります。そして圓福さんはといえば、「別荘はどこだ別荘はどこだ・・・」と首を傾げなが下りてゆきました。

そして次が三遊亭鳳樂師匠の根多出し演目『雛鍔』。これは金坊のキャラの表現が聴かせどころですね。「初天神」もそうだが、憎たらしく聞かせる人と、そうでもない人とが分かれます。鳳樂師匠は比較的あっさり目に演じてたようです。

この話の大元にはは、銭金というのは汚れたもので、それを知らないお大名の若様は清いという価値観があります。今はそんな時代ではないと言いながらも、聴いていてその価値観がわかってしまうところに、この噺が生き残る要素があるのかな。それにしても当時の銭をお雛様の鍔に見立てるというのは、実に洒落てます。

そこで仲入りがあってあとは鳳樂師匠の二席目、根多出し演目の『百年目』、これぞ鳳樂師匠の世界ですね。また師匠の目標とする圓生の名人芸がありました。春の話です。お長い話です。その長い話しをしっとりと語ってくれるひと時でした。

この噺もその底辺にある価値観が、今のビジネスの世界とは大きく異なる。でも人を育てるという事は、むしろ昔の方が良かったのではと思わされる。今のグローバリズムに毒された経済社会では成り立たない話です。情の豊かな旦那と、真面目な不器用な、しかし遊び心のある番頭の話でした。

終わってからはいつもの打ち上げ。ホールの脇のイタリアンレストランでした。今日の参加者はあまり多くない、3つのテーブルの島に収まる人数でした。しかし酒は豊富です。それも美味い酒が用意してある。これが鳳樂師匠独演会の打ち上げの特徴です。今日は鳳志さんや圓福さんからいろいろ話を聞きました。

もちろんその後鳳樂師匠も回ってきたので芸にまつわる話を色々聞いて、気がついたら23時を回っていました。

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