しもきた寄席「落語ヲ観る」 北沢タウンホール 7月19日(金)

久しぶりの北沢タウンホールの落語会、と言っても今回は「落語ヲ観る」ということで、落語家の喋りをもとに役者が口パクの演技をする趣向のようです。

お目当は三遊亭金時師匠が北沢タウンホールに来てくれるということで参加したのでした。北沢タウンホールも指定管理者が変わって、ここでの落語会もすっかり雰囲気が変わってしまいました。そして今回の趣向は、テレビで放映していた「落語ザムービー」にあやかったようなものです。

一方演劇を担当するのが劇団Rということです。さてどのような演技を観ることができるのでしょうか。そしてやはり金時師匠が気になります。数年前に鈴本演芸場定席のトリで見せてもらったた「夢金」が脳裏にあるからでした。

今日の公演は昼の部夜の部の二部になっていて、夜の部の方でしたが、どうも客足は今ひとつのようです。以前の広瀬和生氏プロデュースの北澤落語会とは客層も違うようです。そしていつも受付で公演チラシの束をもらうのだが、今回は落語会のチラシが一枚もない?、うーーーーん。あっ、1枚あった。

開演して開口一番は三遊亭歌武蔵師匠です。根多出し演目は『禁酒番屋』です。高座も中央ではなく上手に設えてあります。今日は時間的な余裕があるためか、毒と皮肉がいっぱいのマクラです。でも会場の乗りが今ひとつのようです。

その毒マクラの中でやはり相撲の話が出てきました。相撲協会から排除されてしまった元関脇力士と同期だったということで、その人がオーナーのレストランの応援を請う一言。

そんなマクラを振りながらも羽織を脱いで本根多に入ってゆきました。舞台では酒屋と酒好きの森安芸守の藩中家臣北村氏とのやりとりです。でも考えてみるとこのような趣向は落語家にとって大変かも。

とにかく自分の発する言葉で役者が動くのだから、責任重大です。本来の落語ならトチってアドリブで埋め合わせるということができるのだが、これは一語一語正確でなくてはなりません。そして客は役者を見るのか落語家か、どっちに目をやるのか。でも最初はが落語家に合わせようといているのが見えていたが、慣れてくるとだんだん役者が自分で発声しているように見えてくる。ここが落語家の腕の見せ所なのかもしれません。

いつしか役者を中心に見て、歌武蔵師匠の存在が見えなくなってゆきました。でも時々歌武蔵師匠を見ると、酒を飲む手が役者と反対だったり、微妙に違う。でもあまり大勢に影響はないですね。

番屋の侍の顔が、最初の水カステラとのときは普通だったが、次の油徳利の時には頬が赤くなって、さらに小便徳利の時には真っ赤になっていた。舞台の上でメークしていたようです。そして歌武蔵師匠のオーバーな表現に合わせて、役者も精一杯オーバーな酔っ払い侍を演じていました。

そして一席目が終了でお仲入りもなく次が、ストレート松浦さんのジャグリングです。これは西洋太神楽とでもいうものか、これは見ている方も多少疲れます。なぜなら拍手を要求されるから。そして最初の会場の拍手は、かしわでのような拍手だったのです。やはり会場の乗りがイマイチ、それも舞台から見ていて会場の右と左とウケ方が違うようなのです。

そんなな中演技は進んで行きます。見ていてめまぐるしい技に次ぐ技。お手玉から始まって、中国ヨーヨー、煙草の箱、輪投げ、踊る棒、最後はお椀回しに桶回し、その桶がだんだん大きくなるという具合です。最後は道路工事用の三角コーンを棒で踊らせて終わりました。その間何度も何度も汗を拭いてそのタオルを楽屋裏へポイ。見ている方も汗の出てくるひと時でした。

そしてまたまた仲入りなしで二席目に入りました。今度はお目当の三遊亭金時師匠の登場です。そこで大ニュースを耳にしました。それは来年秋に五代目三遊亭金馬を襲名するとのこと。調べたら実父の当代金馬師匠は金翁という隠居名になるとのことです。

あまり長いマクラはありませんでした。この人はあまり落語家としての自己主張をしませんね。話の登場人物を観客の目の前に見せて、自らは黒子に徹するような芸風です。

そして今日の根多出し演目は『死神』です。貧相なヤクザっぽいのが出てきて人生に行き詰まったから死にたい、から始まって出てきました死神が。顔は灰色のメークで背中を丸めてる。どうやら女性の役者のようです。

金時師匠は淡々と語っているが、その語りがこの噺の差筋が寒くなる空気を醸し出しています。役者も金時師匠の黒子役の語りに乗って、口パクではなく本当に喋ってるように見え始めました。

もう観客も舞台の役者を観ているだけです。この俄か医者の診療へゆく時には、布団に寝ている病人が本当に出てきました。最初は死神は足元に。そして最後は枕元に座ってる。そこで4人がかりで病人の床をぐるっと半回転。「あじゃらかもくれん・・・・・てけれっつのぱ」。

最後の命の蝋燭の場は、スクリーンでの演出でした。くしゃみで自分の命の灯を消してバタン!!そして金時師匠は鉦を鳴らしてチーン、南無阿弥陀仏・・・・。

てな具合で今日の「落語ヲ観る」の公演が終わりました。改めて集客用のチラシを見ると、この舞台の場の写真が貼られている。これまでもこのコラボレーションで同じ根多を演ってきてるようですね。

テレビの「落語ザムービー」もそうだったが、演劇付きの落語もなかなか面白い。鹿芝居とはまた違う趣があります。落語ブームに乗って、今後流行ってゆくかもしれませんね。

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