「くわいのきんとん」 あの百兵衛さんも目を白黒

きんとんってぇのは、栗が入ってるのが当たりめぇ。ほとんどの人がそう思ってることでしょう。
しかしお江戸の時代は必ずしもそれだけではなかったようです。

落語の『百川』には「くわいのきんとん」なるものが出てきます。高級料亭『百川』に奉公人として来たばかりの田舎者の百兵衛さんが、客の注文を聞き違いして事もあろうに、くわいのきんとんを丸呑みしてしまうのです。

これが実話だとしたらさぞ苦しかったことでしょう。この『百川』という噺は、本当にあった出来事を元に作られた噺だそうだからです。
しかしこのくわいのきんとん、なぜか気になって気になってなりません。

たまたま我が家では毎年大晦日に、蒸したさつま芋を裏漉ししてきんとんを作っています。もちろん栗の甘露煮を入れてきたのですが、今年はくわいを入れたものもやってみよう。この廃れたレシピの再現です。

と言ってもくわいそのものを裏漉しするのか、普通のきんとんの中に栗の代わりにくわいを入れるのか。
またその場合にはくわいの下ごしらえをどのようにするのか。

そこでインターネット検索すると、くわいを裏漉しするものと、普通のきんとんにくわいを入れるのと両方出てきました。
本当にどっちも正しいのか、どちらかが嘘ではないか。何となく釈然としません。

仕方がないので自分的に一番抵抗感のないものを選びました。それは普通のきんとんに栗の代わりにくわいを入れるというものです。

まず八百屋からくわいを買ってきて皮を剥き、砂糖を入れた湯で下茹でしました。そこに梔子を入れると綺麗な黄色に色づきます。
蒸したサツマイモを裏漉ししたものにくわいの茹で汁を入れて、砂糖、塩少々、そして味醂で味付けすると丁度良い味になってきます。従来のきんとんと比べて、煮汁に染み出ていたくわいのホロ苦さが加わります。

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なにっ、QC使いはフードプロセッサーでやった方がよいですって?はい知ってます、確かに裏漉しではなくフードプロセッサーでやれば、世話無しで時間も省けます。できあがった滑らかさも裏漉しと遜色ありません。

でも江戸趣味人はお江戸にこだわります。お江戸の昔、フードプロセッサーなんて無かったのです。
江戸趣味人とは合理性抜きに、昔のやり方に喜びを感じる人種なのです。

あとは弱火でゆっくりと煮て、頃合を見計らってくわいを入れます。
角があまりきれいでなかったので切り落としました。
食べてみたら、従来のきんとんとは一味違った新しい味覚でした。

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あとからわかったのですが、「大江戸料理帖」にも載ってたではありませんか。ここにはくわいそのものを裏漉しして作るとありました。その中に栗を入れるのです。
そのようにして作ったきんとんは、芋のきんとんよりも高級品とありました。

わかった結論は、「くわいのきんとん」の流儀は3つあるということです。

  1. 芋のきんとんにくわいの甘露煮を入れる
  2. くわいそのもののきんとんに、くわいの甘露煮を入れる
  3. くわいそのもののきんとんの中に、栗の甘露煮を入れる・・これが最高級品!

要するに何でもありなのです。何でもいいんです。くわいが入っていれば。
お江戸の料理ってそんなものなんですね。

でも丸ごと吞み込むのはやめましょう。子供が真似すると大変です。

「「くわいのきんとん」 あの百兵衛さんも目を白黒」への1件のフィードバック

  1. いやぁ お見事❗蛤大好き❗
    蛤の時季にしか行かない小料理屋があって 狭い店に割り込むので余り歓迎されないのですが 今年の旬も長くはない 今夜にでももう一度行ってみます

    慈姑も美味い❗あの食感と仄かな苦味甘味が 特に正月のお節料理と酒に馬鹿になった舌と口内を引き締めて また飲み食いが
    金団は未体験 いずれ—- 楽しみに

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