「扇辰日和」入船亭扇辰独演会 なかの芸能小劇場 12月2日(日)

今日は先輩から誘われての落語会です。でも「扇辰日和」の名のごとく贔屓の入船亭扇辰師匠の独演会です。考えてみたらこのところ大好きな落語も1ヶ月お留守にしていたのでした。

なかの芸能小劇場は何度も来ていたのだが、久しぶりに中野駅に着いたら歩道橋などができていて、北口近辺は大きく様変わりしていました。会場の小劇場へゆく道順は、北口広場から中野サンモール商店街を通ると、雨に濡れずにたどり着けます。でも今日は天気は晴れで、傘の心配もない。中野通りの反対側から会場へ入りました。ここの会場での落語会ではいつも整理券が発行されます。今日は誘ってくれた先輩があらかじめ取得したものを渡してくれました。

開場時刻になるとその整理券番号順に入場して、あとは自由席で好きな場所に陣取ります。小劇場の名の通り、収容末も少ない会場なので、最後列でも出演者の顔が見えなくなるなんということはありません。今日はちょうど会場の真ん中あたりに陣取りました。

さて開演で開口一番は柳亭市坊さんです。名前を見れば柳亭市馬師匠の一門であることは一目瞭然です。愛想の良い好感を持てる前座さんですね。演目は『子ほめ』。八五郎がご隠居のところに飛び込んで、只の酒を飲ませろという時の表情が凄かった。

続いて扇辰師匠の一席目です。番組表ではお楽しみとなっていたので何が出てくるか。ここ1ヶ月寄席の出番がなかったとのこと。そうでしょう海の向こうまでドサ廻りをしていたのですから。そして今月はいきなり鈴本の夜席でのトリを務めるなどなど。今日もこの席が終わったら、鈴本演芸場が待ってるのでしょう。

そして本根多はあまり聴いたことのない話です。田舎の若旦那の恋煩い。相手は糸屋の娘お糸さん。その雪の降りしきる夜に、その逢瀬を色男に横取りされてしまう。その色男はお祭り佐七ということで、演題は『お祭り佐七』?でもこの噺は『雪とん』という演題で語られているものでした。

「お祭り佐七」という噺の一部ということですが、この佐七という色男は、まだ他にも多くのエピソードがあります。歌舞伎にもなっているものでした。

仲入りがあってゲストのストレート松浦さんのジャグリング。ジャグリングは日本式にいうと太神楽です。同じ曲技でも太神楽は色々伝統的な作法があるようだが、ジャグリングは演者の自由。今日も色々見せてくれました。

まずは白緑黄の3個のお手玉。その3個を自由時代に操る。次が糸の上を踊り回る中国独楽。次が色の変わる3つのリング。次がくっ付いたり離れたりの3つの箱。次が踊る棒で、傘を空中で踊らせる。さらにおわん回し、桶回し、その桶がだんだん大きくなる。そして最後が道路工事現場で見かける三角コーンを、2本の棒で踊らせるという具合です。演者のストレート松浦さん、もう汗びっしょりでした。診ている方も手に汗握るという塩梅でした。

そして最後が扇辰師匠に二席目、今度は根多出しされていた『江戸の夢』、これは劇作家の宇野信夫さんが、あの三遊亭圓生師のために書き下ろした作品です。

マクラはこの作品には著作権がかかっているので、宇野信夫さんのご子息の管理している著作権の使用許諾を得るところから始まりました。ご子息といってももうかなりのご高齢で、コンタクトを取るのに随分苦労をしたとのことでした。でも幸いに口演の許諾を得て今日この席という具合です。そしてこの話は若い演者には扱いづらい話ということを言ってました。

人情話とは言っても煎茶の世界の茶人が出てくる、非常に格調高い話です。演者にも人生を積み重ねた風格というものが求められます。そういう扇辰師匠も、もう円熟期を迎えてると言えるのです。

話は淡々と静かに進みました。会場なんとも言えない静寂感。たしかにいくら上手くても若手では、なかなかこの雰囲気は出せないかもしれません。そして気になるのが往年の三遊亭圓生師。学生時代に見た圓生師の残像が、扇辰師匠に重なって見えてきました。

そう言えば扇辰師匠は三遊亭鳳樂師匠からいろいろな噺を教わってきたと聞いたが、鳳樂師匠を通して圓生の芸を伝承したのかなとも思ってしまったのです。そしてサゲが、「氏(宇治)は争えないものだ」。。。これは一捻り考えないとわからないオチですね。会場も一捻り考えた間をおいて、拍手となったのでした。

今日の席がハネたあとは、お誘いを受けた先輩方との席が待っていました。でも話題は落語から鉄道へ。実はその先輩方は皆鉄ちゃんの端くれでした。世の中、「落」と「鉄」を兼ねてる人って案外沢山いるんです。

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